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家もの、部屋ものホラー

2020.01.15 (Wed)
geggt (9)
『ヘルハウス』

今回はこういうお題でいきます。怪談論になります。
さて、ホラー小説や映画には、「家もの」と呼ばれるジャンルが
あるのはご存知だと思います。映画なら、まずあげられるのが、
リチャード・マシスン原作のイギリス映画、『ヘルハウス』です。
これ、傑作ですよね。じつによくできていると思います。

「滞在すると必ず死ぬ館がある。そこでは過去に、
館の主を中心に、背徳的・悪魔的な儀式が行われていた」
そこに、科学者夫妻と心理霊媒師、前回の探索で一人だけ生き残った
物理霊媒師を加えたグループが入り込み、異常現象の調査をする。
まずこの設定が、その後の家ものホラーに大きな影響を与えています。

これはC級なのでお薦めしません
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内容は、派手に血しぶきが飛び散るようなスプラッターではありません。
また、悪魔ものとも言いにくい。異常現象を起こしているのは、
ネタバレになりますが、かつての館の主ベラスコ個人の残留思念です。
それが鉛で囲まれた隠し部屋に渦巻いている。

心霊を科学で解明しようとするストーリーも、当時としては
新しかったですし、その館で死ぬ人物は必ず足に傷を
負うのはなぜか、という謎解きの要素もありました。この
『ヘルハウス』影響を受けて、たくさんの家ものホラー映画が
つくられました。実話をもとにしたとされる『悪魔の棲む家』。

心霊でなくても、ここまで怖くできる
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スティーブン・キングの原作は超能力ものですが、かなり違った
ストーリーになっていた『シャイニング』。シャーリー・ジャクスンの
小説『山荘奇譚』を原作とした『たたり』。新しいところでは
『パラノーマル・アクティビティ』のシリーズなど、
枚挙にいとまがありません。

小説のほうでも、ホラー作家であれば一度は家ものホラーに挑戦して
みたくなるようで、日本の小池真理子氏の『墓地を見おろす家』。
加門七海氏の『美しい家』。心霊要素はありませんが、貴志祐介氏の
『黒い家』。映画で大ヒットした『呪怨』など、数多くの作品群があります。

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ここで、お前はどうなんだ、と言われそうですが、自分は本格的な
家ものと言える話は書いていません。理由はおわかりだと思います。
家ものホラーはどうしても長くなるので、短い怪談では
処理しきれないんです。じゃあ、なんで家ものは長くなるのか。

家は部屋数が多いからでしょうか。まあ、そういう要素もなくはない
ですが、それよりも、登場人物が多くなるのが問題です。
特にアメリカ映画は「家族」というのが一つの大きな共通テーマと
なっていて、家ものホラーも例外ではなく、
「家長を中心とした家族 対 家」という構図になることが多いんですね。

欧米ではルームシェアものも多いですが、日本では一般的ではありません
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ご主人、奥さん、子どもたち一人ひとりのエピソードを描いてれば、    
それは当然長くなってしまいます。では、短い怪談の場合どうするか
というと、家ものがスケールダウンした「部屋もの」になります。
これだと、多くの場合、登場するのはその部屋に住むことになった
人物一人だけですよね。話を短く収められる。

自分も部屋ものはたくさん書いています。では、部屋もののパターン
にはどういったものがあるか。よくあるのは、前の住人が殺されたり、
自殺や孤独死をしていて、その霊が出てくる。ただ・・・
これだと、話としてはストレートすぎて、たくさん怪談を読まれた
ツワモノの方には物足りなく感じられるんじゃないでしょうか。

実話をもとにしたというフレコミです
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もう一ひねりも二ひねりもほしい。それで自分は、何らかの意図で呪いが
込められた部屋というパターンで書くことが多いんです。不動産屋や
他の部屋の住人がグルになってる場合もあります。「剥製の家」
というのを書いてますが、これは家と言っても、一部屋しかない離れです。
そこは、かつて剥製師をしていた大家の一人息子の仕事場を改造したもの。

その押入の奥に隠しスペースがあり、息子の剥製が他の動物たちと
ともに収められていました。大家の老夫婦は、わざと未婚の
美術学生を選んでその部屋を貸し、息子の冥婚の相手に
しようとします。たんに死者の無念だけではなく、
生きた人間の悪意も合わせて書きたいと考えたわけです。

この場合はホテルの一室です
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ただ、たった一部屋にキッチン・バス・トイレだけですから、
怪異がひそむ場所は限られています。天井裏、床下、押入、
バスルーム、これくらいしか考えつかないですよね。自分も、
天井裏も床下も使っていますが、もう少し新味を出したい。
そこで知恵をしぼったのが、「夜が来る話」という話です。

ふだん何気なく見過ごしてしまっているガス検知器、この中に
なぜか「夜スイッチ」が入っていて、そのスイッチが下りると
停電になり、さらに死者がよみ返るという、かなり非現実的な
内容になっています。これ、賛否あるでしょうが、
自分では気に入っている話なんです。

アパート全体が水に関連した呪いを受けている
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さてさて、ということで、家もの、部屋ものホラーの話をしてみました。
みなさんが、自分も怪談を書いてみようと考えた場合、
これが一番とっつきやすいんじゃないかと思います。
あるアパートの一室があり、そこにどんな住人を入れて、
どんな怪異を起こそうか・・・何か、わくわくしてきませんか。

怪談を書くのは、ある意味、模型を組み立てたり、手芸の人形を
作ったりするのと似ていると、自分は思っています。
パーツをいろいろ用意して、どこにどういうふうに組み込めば
より怖くなるか、考えながら作っていくのが楽しいんですね。
では、今回はこのへんで。

『エクソシスト』も部屋ものと言えます すべての怪異はリーガンの子ども部屋で起き、
登場人物も、実質的にリーガン(悪魔)とカラス神父だけ






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コメント
 印象に残る家ものといえば、邦画の「HOUSE」と「スウィートホーム」かなあ。前者は大人になってから鑑賞しましたが、なかなか衝撃的でした。ホラー、シュールギャグ、ソフトエログロを詰め込んだ狂気の(誉め言葉)一品。
 後者は幼少時のトラウマとして五指に入りますね。特に古舘伊知郎が真っ二つになるシーンは夢に見ました。カプコンがファミコンでゲーム化し、かの「バイオハザード」の原点にもなったとされます。
 基本的に逃げ場がない家ものは、それだけで充分に怖いですよね。仮にあっても、こちらから踏み込まねばならない事情が…w
| 2020.01.17 18:49 | 編集
コメントありがとうございます
HOUSEは映像や音楽が、それまでのホラーとは全く違ってて斬新でしたね
家ものもすでにアイデアが出つくしてる感があって
家自体が生命を持って人を喰うとかも
もう珍しくないですし
bigbossman | 2020.01.18 02:12 | 編集
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