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「歴史の謎」について

2020.01.27 (Mon)

本能寺の変

今回はこういうお題でいきます。さて、みなさんは歴史の
謎といえば何を思い浮かべられるでしょう。やはり邪馬台国問題
でしょうか。あるいは赤穂事件の浅野内匠頭の刃傷の理由?
もしかしたら、現代史の3億円事件、グリコ・森永事件などを
あげられる方もいるかもしれませんね。

ただ、現代史の場合、評価が定まるまでにはまだ時間がかかり
ますので、今回は話からのぞかせていただきます。
本屋に行くと、「歴史の謎を考える」みたいな内容の本が
文庫で出ています。日本史と世界史があって、
やはり日本史のほうがずっと多いですね。

3億円事件 犯人のモンタージュ写真


各出版社から出されていますが、取り上げられている謎はどの本も
だいたい同じです。ですから、日本史、世界史、各一冊を
買っておけば十分だと思います。今ちょっと自分の本棚を見てみたら、
「日本人が知らなかった歴史のカラクリ」(歴史の謎研究会編、
青春文庫)というのがありました。

さて、この歴史の謎と言われるものですが、自分は3つくらいの
グレードに分かれるんじゃないかと考えています。
① きわめて重要な意味を持つ謎で、それが解決することにより
 歴史研究が大きく進むもの。 ② 興味深い謎ではあるが、
 あまり歴史的な意味は大きくないと思われるもの。

③ 荒唐無稽でとても謎とは言えないようなもの。
上で例としてあげた邪馬台国問題などは①に入るでしょう。
明治に入って、その所在地について畿内説と九州説に分かれ、
激しい議論が戦わされてきました。また、それ以外の候補地も
名のりをあげています。で、ひとまず畿内と九州にしぼるとして、

邪馬台国はどこに?
キャプチャ2

どちらに邪馬台国があったかは、3世紀の日本の状況を考える上で
きわめて重要です。もし九州だった場合、列島各地に小規模の
政治的なまとまりがバラバラにある状態、逆に畿内だとすると、
かなり統合が進んできていることになります。畿内説では、
このことを「ゆるやかな連合」と呼んでいます。

②については何を例にすればいいでしょうかねえ。あ、そうだ、
歴史フアンに人気の、坂本龍馬暗殺の謎なんかがいいかもしれません。
暗殺の実行は京都見廻組で ほぼまちがいないと思いますが、
実行者に竜馬の居場所を教えた黒幕がいるのではないか、
という説があれこれと出されていますね。

中には、西郷隆盛を中心とする薩摩藩説というのもあります。
ただ、その可能性は薄いですし、もし薩摩藩が黒幕だったとしても、
あまり違和感はありません。西郷は幕府を武力で完全につぶす
つもりで、公武合体論的な竜馬の存在がじゃまだったのは
確かだろうと思います。

近江屋事件 刺客に襲われる坂本と中岡
キャプチャ4

ですから、もしその決定的な証拠が出てきたとしても、
それで日本史の研究が大きく進展するというわけではないでしょう。
最初に書いた内匠頭の刃傷の理由や、今度ドラマになる明智光秀の
謀反の理由なんかもこれに入るんじゃないかな。

③は、荒唐無稽なものはたくさんあります。そうですね、
源義経=チンギスハーン説なんかがわかりやすいかな。
まあありえない話ですよね。検討するのは最初から
ムダなんですが、ただ、義経が衣川の戦いで死なず北方に逃れた
可能性は、わずかながらあるかもしれません。

最近大はやりの「聖徳太子はいなかった説」
キャプチャ

でも、そうだとしても日本史の流れに与える影響はほとんど
ないでしょう。ということで、歴史の謎といったたぐいの本を
読まれる場合は、この謎が解決すれば、それによってどう歴史が
変わるのか、教科書は書きかえられるのか、などのことを
頭に入れておくといいんじゃないかと思います。

あとはそうですね、解決した謎というのもあるかな。
東洲斎写楽別人説なんかはそうですね。江戸中期の浮世絵師、
写楽は活動期間が短く、忽然と画業を絶って姿を消して
いるので、別人が姿を秘して描いていたのではないかという説です。

義経はチンギスハーン?


写楽の候補としては、初代歌川豊国、葛飾北斎、喜多川歌麿、司馬江漢、
谷文晁、円山応挙、山東京伝、十返舎一九、版元の蔦屋重三郎など、
同時代の有名人が数多くあげられています。ですが、信頼性の高い
文献に「写楽斎は俗称斎藤十郎兵衛、八丁堀に住す。阿州侯の能役者也」
と出ていて、斎藤十郎兵衛が実在していた証拠も出てきました。

文献史学的には一定の結論が出た形で、これを覆すには、
新たな有力証拠を持ってこなければなりません。とは言っても、
いまだに写楽別人説を見かけることもあります。歴史の謎というのは
一部のライターや出版社にとっては飯のタネで、
簡単に解決されても困るんですね。

きわめて独特の装飾的な感覚です
キャプチャ3

最後に、誤解されてほしくないので言っておきますが、自分は、
こういう歴史の謎の研究に、アマチュア歴史愛好家の方がこつこつ
取り組まれることを否定するものではありません。キャバクラとかに
通うよりは、ずっと品もよく、お金のかからない趣味だと思います。

さてさて、ということで、今回は歴史の謎の話でしたが、邪馬台国問題
なんかは、これに取り憑かれると家財が傾き、友人を失い、
家族が愛想を尽かして最後には目が見えなくなる、
なんて冗談もあります。十分お気をつけください。では、このへんで。





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