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妖怪談義6(鬼)

2014.01.12 (Sun)
 みなさんは「鬼」というとどんなイメージを持つでしょうか。
一般的には、虎の皮の褌をまとった半裸の姿で筋骨隆々、頭には角が生え金棒を持つ
という姿を頭に思い描かれるという人が多いのではないでしょうか。
自分はこの鬼について、大ざっぱに3つほどの概念が重なり合ったものとして捉えています。

 一つ目は、日本古来の「オニ」です。
日本の古い「オニ」は目に見えないものであったと考える説があります。
「オニ」の語源は「オヌ(隠)」が転じたもので、元来は姿の見えないもの、
この世ならざるものであることを意味していたという説です。(「陰オン」説もあります)
もともと「鬼キ」は漢語で「オニ」は訓読みの和語ですね。
この鬼は古い時代の『日本書紀』や『万葉集』では、「モノ・シコ・カミ」などと訓読みされています。
「シコ」については「黄泉醜女」の項で少し触れました。
「黄泉醜女」
それがおよそ平安末期頃から「オニ」という訓読みに定着していったようです。

 平安時代の詩物語である『伊勢物語』の第6段で、
『ある高貴な女を男が盗みだして背に負って逃げた。芥川というところで女がつゆの玉を見て
男に「あれは何」と聞いた。風雷が激しくなったので、男は女をとある蔵に厳重にかくまい、
弓矢で守ったが、女は知らぬ間に鬼に一口で食われてしまった。』

という話が語られますが、この鬼はまだ日本古来の「モノ」のイメージを濃く残しているようで、
虎の皮の褌の鬼を思い浮かべるとちょっと違うと思われます。

 二つ目は中国の鬼です。中国では「鬼」の語は「幽霊、亡魂」の意味で古来から使われます。
祖先の霊という意味でも用いられるようですが、
やはり、本来は目には見えない霊魂の働きをさすものであったとすれば
日本古来からの概念とも近く、「鬼」が最終的に「オニ」と訓読みされたのも理解できる気がします。
 余談になりますが、邪馬台国のことが書かれている『魏志倭人伝』では、卑弥呼のことを
『鬼道につかえ、よく衆をまどわす。(事鬼道能惑衆)』
と書いています。この『鬼道』については、「五斗米道」(中国の初期の教団道教)であるとか、
「祖霊を祀る道」であるとか「(魏の国教である儒教ではない)蛮夷の邪道な宗教」を指しているとか、
さまざまに論じられています。

 最後に鬼のイメージを決定づけたのは、インド由来の仏教です。
仏教の鬼は、仏法を守護する羅刹や、
もっと一般的には地獄の閻魔大王配下の獄卒のイメージとして民衆の間に広まりました。
鬼が牛の角と虎の牙と爪を持ち、虎の毛皮を身に付けているのは、
丑の方と寅の方の間の方角(艮)を鬼門と呼ぶことから広まったとする有名な説もあります。
 日本は古来から東洋文化(ときには西洋も)の流れ着く果てであり、
妖怪も江戸の黄表紙作者などが創作したもの以外はさまざまなルーツを持っています。
そこにいろいろ調べていく面白さがあるんですね。

『鬼のミイラ』大分県宇佐市大乗院



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