FC2ブログ

四凶と悪神

2020.02.29 (Sat)
xxxx (2)

今回はこういうお題でいきます。中国神話のお話ですね。
今日、2月29日は閏日ですので、最初はそれを書こうかと
考えてたんですが、どうしても長くなってしまうので、
別の話題を選ばせていただきました。

さて、世界の神話には「悪神」が登場するものがあります。
悪神は、邪神、魔神などとも言われ、これが強力な場合、
「善悪二元論型」の神話になります。代表的なのが、
古代ペルシアに起こったゾロアスター教で、善神アフラ・マツダに
対する悪神アンラ・マンユ(アーリマン)がいます。

善悪二元論型の神話・宗教では、最終戦争が想定されている
ことが多いですね。北欧神話では、終末の日ラグナロクが
ストーリーに織り込まれており、神々は最終戦争で巨人族と
相打ちになり、世界は火につつまれて破滅します。

素戔嗚命
xxxx (7)

ただ、悪神という言い方は、キリスト教の広まりとともに
廃れました。この意味はおわかりですね。
キリスト教では神は一人だけであり、神に敵対するのは、
悪魔です。他の宗教の神たちも悪魔に格下げされてしまいました。
キリスト教には、ハルマゲドンという最終戦争の教義があります。

日本神話はどうでしょう。記紀を読んでも、絶対悪というべき
存在の神は出てきませんよね。神々は気まぐれであり、
ときにイタズラ心を起こして世界を混乱させたりします。
その代表が三貴神の一人スサノオで、乱暴を働いて姉の
アマテラスを怒らせ、岩戸に隠れられてしまいます。

北欧神話の最終戦争 ラグナロク
xxxx (8)

このような存在を、比較神話学ではトリック・スターと言い、
物語の中で神界や自然界の秩序を破ることで、ストーリーを
先に進めていきます。ギリシア神話のオデュッセウスや
北欧神話のロキなんかもそうですね。

復古神道では、神は和御魂(にぎみたま)と荒御魂(あらみたま)が
あると説明され、荒御魂は神の荒々しい側面、荒ぶる魂で、
これに対し、和御魂は神の優しく平和的な側面を表します。
同じ神なのに、まるで別人格のようになってしまい、
別の名前が与えられてることもあります。

有名なのが、オオクニヌシの和御魂であるコトシロヌシで、
オオクニヌシが出雲大社、コトシロヌシが奈良の大神神社に
祀られています。あれ、悪神についての一般論を書いているうちに
ここまで来てしまいました。四凶の説明に移りますね。

混沌
xxxx (3)

中国神話では、善神と悪神の対立というはっきりした概念はない
ように思います。世界が始まったときにさまざまな神が生まれ、
その中で人間に害を与えるものがよくない神とされます。
そのうちの代表的な4つの神が「四凶 しきょう」ですが、
この他に「四罪 しざい」というのもいます。

四凶の最初は「混沌」、毛の長い巨大な犬のような姿をしてますが、
目はあっても見えず、耳もあるが聞こえない。脚はあるが、
いつも自分の尻尾を咥えてグルグル回っている。羽を持って描かれる
場合もありますが、飛べません。ほとんど何の役にも立たないような
神で、世界にはこれと似たイメージがけっこうあります。

饕餮
xxxx (1)

ギリシア神話にはカオスという神がいて、いつも大口を開け、その中は
何もない空間で、無限を象徴しているとされます。これは創作の話ですが、
クトゥルー神話のナイアーラトテップ(ニャルラトホテプ)も
顔なき盲目の混沌の神で、近づいた者は破滅します。

2番めは「饕餮 とうてつ」、牛または羊の体を持ち、体には毛が多く、
貪欲で人間を食べるとも言われます。黄帝と戦った牛の神
蚩尤(しゆう)と混同されることもあります。下の画像は、
「饕餮文 とうてつもん」が入った青銅器で、
所有者である王の威厳を表します。

青銅器の饕餮文 中央の2本角のある牛の顔のような部分
xxxx (4)

3番めは「窮奇 きゅうき」で、牛の体にハリネズミの棘を持っています。
邽山(けいざん)という山に住み、犬のような鳴き声をあげ、
やはり人間を食べるとされますが、別書では虎の体と出てきます。
人間の言葉を理解し、人間が争っているときには、正しいほうの
人を食べると言われる、よくわからない神です。

4番めが「檮杌 とうこつ」。虎の体に人間の頭がついていて、
猪のような長い牙と、長い尻尾を持ち、 尊大な性格で、荒野の中を
好き勝手に暴れ回っています。西方に棲むとも言われますので、
中国では珍しい、実在する猛獣なのかもしれません。

窮奇 大型のヤマアラシ?
xxxx (5)

さてさて、ということで、四凶について見てきました。
中国とは基本的に中原(中華文化の発祥地である黄河中下流域
にある平原)を含みます。それ以外は、古代においては異民族の地で、
そこで信じられていた神が四凶になったと考えられ、

饕餮はおそらく、揚子江下流域で信じられていた神ではないかと
推測されています。もう一つ、広大な中国大陸で、
見たことのない獣や旅中に害をなす猛獣に対する恐れも
あるのかと思いますね。では、今回はこのへんで。

檮杌 サーベルタイガーのようです
xxxx (6)




関連記事
スポンサーサイト




トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/2372-23716bd4
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する