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語りえぬ鹿の話

2020.03.01 (Sun)
bigbossmanです。今回は、ここ2週間ばかり自分の身の回りに起きている
話を書きます。どうにも説明のつかない不可解な内容で、人一人が
亡くなってるんです。2週間前の土曜日でした。吉田さんという
自分より年下の男性と、駅前の喫茶店でたまたまお会いしました。
まずはそこでの話。「あ、bossmanさん、怪談のブログをやってられ
るんですよね」 「はい、あんまり怖くはないですけど」
「僕ね、こないだ、バーでやってた怪談会に行ったんですよ」
「ははあ、そういう趣味があるとは知りませんでした」 「いやあ、
 怖いのは苦手なんですが、そのときは友人に誘われて」
「そうですか。会場はどちらでした?」 「神戸の〇〇っていう」
「ああ、知ってます。怖かったですか?」

「うーん、それがねえ、bigbossmanさんの前でなんなんですが、
 そんなに怖いとは思わなかったんです。もともと、幽霊とか
 信じてないし、もし幽霊がいるとしても、僕は生まれて一度も
 見てないですし」 「ああ、そういう方も多いですよ」
「ただ、最後の話だけは不気味な感じがしたなあ」 「どんな話でした?」
「えーとね、死んだ鹿が出てくるんです。その鹿が・・・あれ、あれ、
 何だっけ、鹿しか頭に残ってない」 「・・・最後の話って言いました
 よね。そこまでに飲みすぎてて忘れたんじゃないですか(笑)」
「いや、その日はそんなに・・・おっかしいなあ、鹿しか覚えてない」
「思い出したらメールでもください」 「あ、そうだ。今ね、そんとき
 一緒に行った友だちに電話かけて聞いてみます」 「大丈夫ですか?」

「自由業だから家にいるはず」ということで、吉田さんは友人にスマホで
連絡し、すぐに出てその怪談会のことを聞いてたんですが、
結局、最後の話の内容はわからなかったんです。吉田さんの友だちも、
「その話だけは怖かったっていう記憶があるけど、詳しい内容が思い出せない。
 鹿が出てくるのは間違いないけど」こんなふうに言ってたんです。
ここで、自分はがぜん興味を持ちまして。怪談のパターンの一つに
「語られない話」ってあるんです。ものすごく怖い、忌まわしい怪談があって、
それを話した人は死んでしまうっていう。もともとは、明治維新のときに
非業の死をとげた田中河内介という人についての話が日本では最初のはずで、
もしかしたら、これはその類のものかもしれないと思いました。
ただ、河内介の場合と異なるのは、吉田さんも友人も、

間違いなくその話を聞いてるのに内容が思い出せないということ。
吉田さんは、さらにスマホで友人と話してましたが、「友だちがね。
 その夜のパンフレットを持ってるってことなので、今、写真に撮って
 メールで送ってもらいますから」で、それを2人で見ました。
「ははあ、怪談師は全部で5人ですか。時間はどのくらいでした?」
「2時間はかからなかったですね。1時間半ちょっと」
「5人のうち3人は知ってますよ。会ってお話をしたことも。
 その鹿が出てくる話をしたのは?」 「最後に書いてある△△って人です」
「あ、それならよく知ってます。今は忙しいだろうから、
 夜にでも電話で、最後にどんな話したか聞いてみますよ」
「お願いします。どうにも気になってしかたなくなりました。

 鹿がねえ・・・もう少しで思い出せそうなんですけど」 
こんなことがあったんです。自分が吉田さんから怪談の話を聞いたはずなのに、
いつのまにか自分が吉田さんにどんな内容だったか教えるってことに
なってしまいました。ただこのときは、もちろん△△さんに聞けば
わかると考えてたんですが。自分と△△さんは、何度かイベントで
ご一緒させていただいたことがあって、その夜に出た怪談師の中では
一番親しいんです。その日の夜、10時過ぎ頃に電話してみました。
「△△さんですか、bigbossmanです。いつもお世話になってます。
 いきなり何ですが、◯日の夜にバーで怪談会をやってますよね。
 そのとき、最後にしたのはどんな話でしたか」こう聞きましたら、
「最後は・・・ちょっと待ってくださいよ。ええと、あれ、おかしいな

 記憶が飛んでる」 「思い出せないってことですか?」
「そんだはずはないんだけど、ちょっと出てこなくて」 「でも、何度か
 やってる話なんでしょ」 「いや、それが新ネタだったんです。そのときに
 始めておろした」 「鹿が出てきますか」 「あ、鹿、そういえば
 そうだったような・・・でも・・・ダメ、出てこない」
「不思議ですねえ」 「こんなことは始めてです」 「その話、取材した
 ものだったんですよね」 「そうです。聞いたのは、矢沢さんっていう、
 行きつけの美容室の男性美容師の人で、髪を切ってる途中で話して
 もらったんで、メモとか録音はないんです」 「どこの美容院?」
「梅田駅近くの〇〇〇〇」 「あ、なんとなくわかります。
 自分が行って聞いてみてもいいですよね」 「もちろん、かまいませんよ。

 後で僕も行きますから」こんなことになってしまいました。でもね、
このときはまだ、すごくワクワクしてたんです。矢沢さんは話した当人なんだから、
さすがに忘れてることはありえない・・・で、さっそく翌日、
物好きだと思われるかもしれませんが、その美容室に行ったんです。
矢沢さんを指名して髪を切ってもらいながら、いきさつを話しました。
矢沢さんはそのときのことを覚えてて、同じ怪談を語ってくれたんですが・・・
鹿なんて出てこないんです。内容も、どこにでもある、
アパートの部屋で自殺した前の住人の霊が出てくるってものだったんです。
「たしかにその話でしたか」 「はい、これ、友だちから聞いたんですけど、
 僕の知ってる怖い話ってこれくらいしかないんです」奇妙ですよねえ。
じゃあ、鹿が登場する怖い話って、いったいどっから出てきたのか。

オカルト研究家として、こりゃとことん追求してやろうって気になりました。
ですが・・・その3日後だったかな、自分はアメ車のジープに乗ってて、
その縁でオフロード雑誌にも原稿を書いてるんです。それ関係の集まりが
六甲のほうであって、夜の9時ころに車で家に戻る途中でした。
場所を書けばわかる方はわかると思うんでボカさせていただきますが、
車通りの少ない山中の道を走ってると、左手の崖の斜面から
ドドッという感じで大きなものが飛び出てきたんです。鹿だと思いました。
そこらへん、ニホンジカが増えて植生に影響が出てるんで
問題になってるんです。とっさにブレーキを踏んだんですが、
間に合うはずもなく、鹿を轢いた・・・成体の雄鹿と見えたんで、
少なくとも100kgはあるはずです。

それなのに、衝撃がほとんどなかったんです。空の段ボール箱に
ポコンと当たったような感じ。まあ、自分の車は2トン以上ですが、
それにしても変だ。高速道路ではないので、路肩に車を停めて
車外に出ました。バンパーを見ても凹みや塗装の剥げたところは
ないみたいで・・・かなり離れた前方の草の中に鹿の残骸が見つかった
んですが、血は一滴も流れてない。その鹿、カサカサに乾いてたんです。
どうやればああなるんですかねえ。剥製ってわけでもないけど、
水分をすべて抜かれてミイラみたいになった鹿。
さわってはみませんでしたが、すごい軽いんだろうと思いました。
でもね、そんなはずないんです。だって、鹿が斜面を滑り落ちてきて、
足を踏ん張って止まろうとするのも見えた・・・と思ったんですよ。

でね、それを見下ろしてるとゾーッと怖くなってきました。
他の車の障害になるところではなかったんで、鹿はそのままにして
逃げるようにして帰りました。道々、警察と保健所には連絡しましたよ。
でね、まだ続きがあるんです。その2日後ですね。最初に出てきた
吉田さんから、「話の内容を思い出しました。怖すぎです」って
メールが来たんです。おり返し連絡したら、電話では言えないような
ものだということで、翌日、また前と同じ喫茶店でお会いすることに
なったんです。ですが、吉田さん、時間になっても現れなくて、
スマホでも連絡がつかず、そのときは帰ったんですが、夜になって
事情がわかりました。吉田さん、まだ30歳前半なのに、
喫茶店にくる途中のJRの駅で、心臓発作で亡くなってたんですよ!

キャプチャ




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