FC2ブログ

カビのオカルト

2020.03.14 (Sat)
vsfvfsv (2)

今回はこういうお題でいきます。うーん、どうでしょう。
カビが好き、という方はあんまりおられないんじゃないかと思います。
まず見た目が嫌ですよね。風呂場のタイルの目地にカビが生えて
黒くなっている。近づいてよく見ると、産毛のようにフサフサと・・・
これだけで生理的嫌悪感をもよおしてしまいますよね。

ですから、カビは怪談の小道具としてよく出てきます。
中古住宅に越してきたら、それほど日あたりが悪いわけでもないのに
物によくカビが生える。壁はもちろん、包装を開けていない食品にも
びっしり・・・というような描写は定番で、じつは自分の話にも
いくつか取り入れられています。

カビの菌糸
vsfvfsv (4)

暮らしに侵入してくる黒い影の象徴になっているわけです。
これは、霊は水場を好むという考え方とも関係しているのかも
しれません。湿気が強い場所には霊が住みつきやすく、
住人も体調を崩していく。カビ自体も、毒素やアレルゲンを
持っているものが多いですからね。

風水と関係しているかもしれません。カビの生える場所は陰の気が強いとして
嫌われる。また、こんな話もあります。霊がいるかどうかを
確かめるため、コップに日本酒を入れて置いておくと、味が変わって
飲めなくなる。アルコールが入ってるのにすぐにカビる。

色とりどりのカビ
vsfvfsv (3)

では、カビっていったい何なんでしょうか。少し調べてみましたら、
必ずしも学術的な定義があるというわけでもないようです。
いちおう、一般的な定義としては「子実体を形成しない、糸状菌の
姿を持つ、つまり菌糸からなる体を持つ菌類のこと」

とWikiに出てきますが、それ以外の微生物でも「カビっぽい」姿を
していればカビと呼ばれてしまいます。要は見た目の問題なんですね。
自分はアクアリウムが趣味で、飼育水を生物濾過していますが、
濾過バクテリアのコロニーはカビのようにも見えます。

麹カビ
vsfvfsv (5)

さて、ではカビは人類にとって有用なものなんでしょうか。
ここは難しいところで、たいがいのものは良い面と負の面を合わせ
持っています。カビの多くは森林に生息していて、木の葉や朽木、
動物の死骸などを分解して土に戻してくれます。
生態系の維持に重要な役割を果たしているんです。

また、カビの一部は、タンパク質をアミノ酸に分解し、デンプンを
糖化します。麹カビは、日本酒、焼酎、醤油、味噌など、
日本人にとってたいへん身近な食品をつくり出すし、世界的にも、
ブルーチーズなど、カビを用いた発酵食品はいろいろありますよね。
それと、特筆しなくてはならないのが、カビの持つ薬効です。

ブルーチーズ
vsfvfsv (6)

アレクサンダー・フレミングの発見したペニシリンが、アオカビの
分泌物から抽出されたことは有名です。これは世界初の抗生物質であり、
その後発見されたストレプトマイシンは結核の特効薬となりました。
前に少し書きましたが、戦前は結核に関係した怪談って多かったんです。
寄宿舎住む学生が夜トイレに行くと、口から血をしたたらせながら

何かを食べているものがいる。怖くなってそっと戻ってきて布団に
もぐり込むと、その人物が戻ってきて、寝ている一人ひとりの顔を
「お前か」と言いながらのぞき込む・・・こんな話も、
結核が治る病気になるとともに消えてしまいました。

とは言っても、よいことばかりではなく、カビの一部はマイコトキシン
という、人間の体に有害な毒素を持っています。何事も使いようだ
ということですね。ここからは、以前に自分が書いた、
ずばり「カビ」という話を再録して終わりたいと思います。

vsfvfsv (1)

カビ

ある会社の会計士をしています。この仕事、短期の出張が多いんです。
長くてひと月程度ですね。各支店を回って監査の対策をしたり、
経理業務の効率化をアドバイスしたり。
ですから、私のような女性って珍しいんですよね。
出張の間は、もちろんホテル暮らしなんて贅沢はできませんから、
短期契約で敷・礼金なしの、俗にいうマンスリーマンションです。
昔は壁が薄いとかいろいろいわれてましたが、今はだいぶよくなってます。
それで、そこは3月の初旬に入ったんですが、2週間の予定でした。
一部屋に簡単なキッチンと、バス・トイレ。家具付きですが、
どれもまだ新しく、清掃業者を入れてるのでキレイなものでした。
お風呂も、最初に見たときには何でもなかったと思ったんですが・・・

入居して2日目のことです。お風呂に入っていました。私はかなり長湯なほうで、
1時間は入ります。体を洗って、湯船に浸かっていたときのことです。
頭を蛇口と反対側の浴槽にもたせかけていたんですが、ちょうど顔のすぐ横の、
薄いブルーに白い目地のタイルが薄暗くなって見えたんです。
頭の影だと思ったんですが、指を伸ばしても影はできません。
おや、と触ってみましたらベトッとした感触。指先を見ると、
数mmほどの短い毛のようなのがたくさんついていました。
ええ、指先にヒゲが生えたみたいに。気持ち悪いと思い、
浴槽から出て手先を洗いました。それからあらためてタイルを見ると、
私が頭をもたせかけてた真横が、直径20cmばかりの円形に黒ずんでました。
「えー」と思いましたよ。入ったときはまったく気がつかなかったんです。

近づいてよく見ると、そこだけ全面に短いヒゲが生えたようになってて、
カビだ、と思いました。いったん上がってキッチンペーパーを取ってきて拭くと、
ひと拭きで取れたものの、紙がかなり黒ずみました。嫌だなあと、
タイルの他の場所も見たんですが、何でもなかったんです。そこだけ。
これ不思議ですよね。お風呂には最初の日も入ったので、
もしかしたら私の髪がそこに触れて、人の脂でカビが生えたのかなあ、
なんてことも考えたんです。でも、たった1日くらいのことでねえ。
それで、業者が清掃のときに拭き忘れたのかな、ってそう思うことにしました。
翌日、遅く帰ってきてお風呂に入る前に、タイル全体を確認しました。
何でもなかったので、昨日のはたまたまだったんだろう、
と考えることにしました。ところが、やはり湯船に浸かっていて横を見ると、

細かいカビが同じ場所にびっしり。「キャー」と叫んで、
まだ頭も体も洗ってなかったんですが、出てしまいました。それにしても、
私が入って数分のうちにカビが生えるなんてありえないですよね。
服を着ると、近くのコンビニに行って消毒液を買ってきました。
テイッシュをほとんど一箱空にしてそこのタイルを熱湯で拭いたら、
やっぱり細かなヒゲ・・・他の場所はやはりなんともなかったんです。
怖くなってきましたが、何か化学的な理由があるんだろうとも思いました。
それで次の日は、早めに社を出てドラックストアで「カビキラー」を買い、
丹念にタイル掃除をしたんです。そのときはカビは生えていませんでした。
それでも、その日お風呂に入るときには警戒して、いつもと反対、
蛇口のある側に頭が来るようにしたんです。

ええ、それでお湯に浸かりながら、タイルのその部分を見ていました。
1分、2分とカビは生えてきませんでした。「あたり前だよね」
なんとなく安心しましたら、ふっと眠気・・・ちょっと違うかもしれません。
私は経験ないですけど、首をしめられて気が遠くなるような・・・
そんな感覚があったんです。頭がゆらゆらと揺れてる感覚がかすかにあり、
ブクッと、口がお湯の中に沈んで気がつきました。「えええ!?」
立ち上がろうとしたとき、タイルに頬をこすりつけました。
ザラッ、「えっ、えっ!?」私は入ったときと体の向きが反対になってて、
あのカビのタイルに顔をこすりつけてしまったんです。
湯船を飛び出して鏡を見ると、右の頬にヒゲのようなカビがたくさんついてました。
「いやー」タオルで拭き取り、すぐゴミに捨てました。

それから、おそるおそる浴室の中を見たんですが、
やはりその部分だけタイルが黒くなっていて、私の頬でこすれたところも、
みるみるうちに同じカビで覆われていったんです。
しかもそのカビ全体の形が、うつ伏せになって浴槽の縁に頭の先をもたせかけてる、
短髪の人の頭に見えてきたんです。「これはダメ、こんなとこにはいられない」
そう考えましたが、あと10日程度のことですし、
支店に部屋を代えてくれと言うのはためらわれました。
それでネットで探して、バスで15分程度の健康ランドに行くことにしたんです。
部屋では寝るだけ。食事もすべて外食にしました。
その間、お風呂のドアはずっと閉めたままでした。残りの出張期間が過ぎ、
部屋を出る日に、不動産業者立ち合いで部屋の確認をしました。

そのとき不動産屋の方が、しばらくぶりでお風呂のドアを開けました。
「おや、お湯が残ってますね」不動産屋の方が言い、「えー、流したはずですけど」
そう答えてのぞいたら、あのカビの部分に人の後頭部がありました。
やはり短髪の男性で、体は見えなかったです。「いやー、頭、人の頭!」
「え、何です? どうかしましたか?」私が後ずさりしながら指差しても、
業者の方には見えてないようでした。「そこに人の頭が」 「ええ、どこですか?」
そうしてるうちに頭はぐるんと裏返り、真っ白になった両目で、
にやっと笑って消えた・・・そう思いました。「ああ、ここだけなんか
 カビが生えてますね。清掃業者に言っときます」不動産屋の方はそう言いました。
今は自分の部屋に戻ってるんですが、カビのことが気になりまして、お風呂は
1時間以上掃除してから入るんです。人にはおかしく思われるかもしれません。





関連記事
スポンサーサイト




トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/2386-7645a01c
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する