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真空の話

2020.03.15 (Sun)
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真空パック

今回はこういうお題でいきますが、あんまり面白い内容には
なりそうもないですね。スルー推奨かもしれません。
さて、みなさんは真空というと何を思い浮かべられるでしょうか。
真空パック? 真空掃除機? それともキックボクサー沢村忠の
真空飛び膝蹴り・・・

自分は沢村さんの活躍した時代にはまだ生まれてないので、
これはビデオでしか見たことがありません。さて、例によって
Wikiの記述を見てみると、真空とは「通常の大気圧より低い
圧力の気体で満たされた空間の状態」と出てきます。
真空パックなんかはこの定義でいいでしょうね。



ここで注意しておかなくてはならないのは、真空は
無とは違うことです。無と言った場合、ふつうは時間も
空間もない絶対的な無を指すことが多いと思うんですが、
さすがにそれは考えても意味がないと、歴史的には思われて
きました。でも、最近はそうでもないんですよね。

では、ここで真空の歴史を見ていきましょう。古代ギリシア、
哲学者のアリストテレスは真空はないと考えていました。
「自然は真空を嫌う」(真空嫌悪)と述べ、空間があれば、
そこには必ず何らかの「もの」が満たされていると考えたんですね。

アリストテレス
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これに対し、師のプラトンは、空気に圧力をかけることにより、
圧縮させることができる(先を閉じた注射器を押し込むようなこと)
と考え、その押し込まれた部分が真空であるとして弟子と
対立しました。うーん、プラトン、惜しかったですね。
もう少し考えを進めて空気を抜くことを思いつけば、

真空の発見者になれたかもしれませんが、当時の技術では
無理があったんでしょう。で、キリスト教が隆盛するにつれ、
古代ギリシア哲学は忘れ去られていったんですが、
十字軍の遠征で、アリストテレスらの著作がオリエント世界で
保存されていたのが再発見されます。

トリチェリの実験
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西欧世界はその精緻な内容に驚嘆し、アリストテレスの考えは
大きな権威を持ちましたが、真空はあると考えた人もいました。
1643年、アリストテレスの天動説を批判して地動説を唱えた
ガリレオの弟子、エヴァンジェリスタ・トリチェリは
上図のような実験を行って、真空の存在を証明しました。

これについては、煩雑になるので詳しい説明はしませんが、
真空と同時に大気圧の発見でもあったんですね。これを受けて、
オットー・フォン・ゲーリケは、ブロンズ製の半球を2つ合わせて中空の
球にし、内部の空気を抜いて真空にするという実験を行っています。

マクデブルクの半球


この2つの半球はぴったりとくっつき、16頭の馬で引っ張ることで
ようやく外すことができました。この球は、マクデブルクの半球と
言います。こうして真空は発見されましたが、何かの役に立てるには
技術的な課題がたくさんありました。ただ、これによって気体力学が
発展していき、ボイル・シャルルの法則などへとつながります。

さて、その後、真空は珍しいものではないことがわかってきました。
宇宙空間は真空と言っていいですよね。宇宙全体で見て、真空状態の
場所のほうがずっと大きいんです。ただ、完全な真空を人為的に
つくるのは難しく、それは仮想的に「絶対真空」と呼ばれました。

対生成と対消滅
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20世紀に入って量子力学が登場しますが、そこで真空の概念が
変化します。量子論では、何もない空間は、そう見えるだけであり、
じつはその内部は揺れ動いている。ハイゼンベルグの不確定性原理は、
原子内の電子の位置と速度についての他に、時間とエネルギーに
ついても成り立つことがわかっています。

ごくごく短い時間であれば、大きなエネルギーを借りてくることができる。
そのため真空はつねにゆらいでいて、完全な物質ゼロにはなれません。
無と有の間でゆらいでいると言っていいでしょう。そして、
真空のゆらぎからは、必ず粒子と反粒子がペアになって出てきます。
これが対生成。そして互いに打ち消し合って消えるのが対消滅。

量子論的な真空
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ですから、量子論的には、真空は「その物理系で最もエネルギーが低い
状態」と定義されます。もちろんこれは、真空掃除機などの
真空とはかなりかけ離れた概念です。さて、だいぶ残り字数が
少なくなってきました。次は宇宙論です。

1929年、エドウィン・ハッブルが宇宙膨張を発見。そして、
宇宙はある一点から始まったとするビッグバン理論が提唱されます。
宇宙の始まりの前は無なんですが、上記した量子論的真空と似ている
部分があります。現在では、宇宙はごく短い時間に、不確定性原理により
大きなエネルギーを借りてきて急激に膨張したとする、

虚数の時間
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インフレーション・ビッグバン理論が主流になってきています。
で、宇宙の始まりは、温度無限大、圧力無限大の特異点となるんですが、
この特異点が式に出てくると、その式は破綻してしまいます。
これをなんとか解消しようとしたのが故ホーキング博士で、
宇宙は無ではなく、虚数の時間から始まったという説を唱えました。

さてさて、特異点が出てくるのは、時間・空間をゼロにするからです。
虚数は2乗すればマイナスになる数で、それだとたしかに特異点は消え、
式の破綻はなくなりますが、虚数の時間が実際にあるのか、それはどういう
ものなのか誰も説明できません。さすがにそんなのはないのでは、
と考えている物理学者のほうが多数のようです。では、今回はこのへんで。

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