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山の怖い話

2020.03.30 (Mon)
bigbossmanです。みなさんは山へ行かれるでしょうか。
自分は登山の趣味はありませんが、10年ほど前までは渓流釣りを
していたので、沢を登ったりすることはありました。
さて、山の怖い話というと、怪談の中でも一つのジャンルを形成
しています。もちろん山は怖いですが、それは実際に遭難する
怖さですよね。ちなみに、去年1年間で山で遭難した人は約3100人。
遭難死が350人ほど。日本全体の死亡者が140万人くらいですから、
それからすればわずかな数と言えます。では、山は霊的に怖いんでしょうか。
ここも難しいところです。例えば単位面積あたりの死者は
都会のほうが何百倍も多い。もし幽霊がいるとして、山で遭遇する
確率はかなり低いはずですよね。このあたりのことは昔から疑問でした。

そこで今回は、高卒で某県の営林署に採用後、40年間山の現場で過ごして、
退職されたばかりのAさんに、そのあたりのことをインタビューさせて
いただきました。Aさんには、この場であらためて御礼を言わせて
いただきます。ありがとうございました。場所は、東京のスポーツバーです。
「じゃあ、さっそく伺いますけど、山って怖い場所ですか?」
「うーん、冬場は間違いなく怖いよ。吹雪で視界がきかなくなったり、
 いつツルッといくかわかんないし、夏ならなんでもない山でも
 死と隣り合わせの場所に変わる」 「あ、そうでしょうねえ」
「それとね、これは山が怖いとはちょっと違うけど、知識のない人は怖い」
「山の素人ってことですか」 「そう、日帰りハイキングでもね、
 高尾山だって遭難する人はいるから。知識と装備は大切」

「なるほど、登山人口が増えるとともに、そういう人も多くなった」
「うん」 「それでですね、じつは自分は、オカルト・・・幽霊なんかの
 研究をしてるんです。そういう意味での怖い話ってありますか」
「山で幽霊を見たかってこと?」 「はい」 「いやそれはない。
 遭難死した人の遺体を運んだことあるし、遺体と山小屋に泊まった
 こともあるけど、はっきりした幽霊は見たことないな」
「ああ」 「ごめんね、期待にそえなくて」 「いやいや、いいんです。
 あの、自分も前はよく山に行ったんですが、絶対に人がいるはずの
 ないとこで、笑い声とか歌みたいなのが聞こえたりしませんか」
「それはあるよ。私も最初は不思議だったけど、どうやら風みたいだね。
 風に乗って遠くの声が聞こえてくる。ほとんどの場合、

 低地の声が上昇気流で上に昇ってくるみたい」 「ははあ」
「まあ、科学的に証明できることじゃないけど」 「あとですね、ヒダル神って
 ご存知ですか?」 「いや、知らない」 「あの、山を登ってるとき、
 急にお腹が空いて動けなくなったりする」 「ああ、それはハンガーノックの
 ことだろう。長時間激しく動いてて極度の低血糖になる」
「医学的なものなんですね」 「うん、山登りだと、大学の山岳部の新人訓練で
 入ったばかりの子がなることがあるね。要は自分のペースで登れてないとき。
 ある程度慣れてくれば、この計画だったら食事は何カロリー必要か、
 計算しなくてもだいたいわかるし、私はなったことがないね」
「ヒダル神は餓鬼が取り憑くので、そうなったときのために弁当を少し
 残しておくなんて話もあります」 「アメやチョコなんかはいつも持ってるけど」

「なるほど、じゃあ、これまで怖い目に遭ったことはない?」
「うーん、40年も山で過ごしてきたから、怖いというか不思議なことは
 いくつかある」 「あ、ぜひお聞かせください」 「私が署に入った頃は、
 それこそ豪傑みたいな先輩がたくさんいてね。戦争をくぐってきた人たち。
 酒は一升じゃきかないくらい飲むし。けどね、化け物みたいな体力があったなあ」
「なんとなく想像できます」 「でね、中村さんって先輩がいて、私が
 20歳のときに50代だった。その人がね、木の声が聞けたんだ」
「木の声?」 「そう。といっても木がしゃべるってことじゃなく、
 こう、木の肌に手をあててね、すると木が考えてることがわかるらしい」
「木って考えるんですか?」 「いや、知らんけど中村さんはそう言ってたし、
 実際にそれで遭難者見つけたり」 「遭難者?」

「そう、私らの仕事とは違うんだけど、管轄してる山で山菜採り、キノコ採りの人が
 遭難したら駆り出されるわけ。そんなとき、中村さんと組むと高確率で
 見つけてしまうんだ」 「見つけてしまう」 「そう。中村さんは
 道々で木に手をあてて、そのうち人が倒れてるとこに行きあたる」
「木に聞いてる?」 「そうみたい。私はまったくできなかった」
「どんな木でもいいんですか」 「うーん、まず手のひら全体をあてられる
 太さのある木。あとね・・・松とかああいう皮の固い木ではあんまり
 やってなかったな。ブナなんかが多かった」 「ははあ」
「いつだったか、中村さんが何気なく木に手をあて、それから血相を
 変えて駐在を呼んできて、藪の斜面を掘ったことがあった」 「で?」
「どんぴしゃで その場所から出てきたんだよ。遭難じゃなく、殺人の被害者」

「うわ」 「なにしろピンポイントだったから、信じないわけにいかんのよ」
「それ、まさか中村さんが埋めたんじゃないですよね」 「まさかまさか。
 東京のヤクザ者の抗争だったらしいね」 「うーん、すごい話です。
 Aさんご自身では、何かないんですか」 「そうだな、じゃあこの話するか。
 けど、どういうことなのか説明とかはできないから。
 あれは私が30代はじめの頃、秋口だったな。紅葉が始まる前。
 一人で山登ってたけど、そこは里山で危険も何もない。測量してる仲間に
 合流するとこだったの。のんびり歩いてたら、道脇の木の陰に
 白いものが見えた。何だろうと立ち止まると、神主さんなんだよ、
 黒い烏帽子をつけた。変だなあと思って見てたら、神主さんが一人で
 着物にたすきをかけて、手斧で枝を払ってたんだ」

「で?」 「長く伸びた横枝が一本むき出しになって、神主さんは下に
 置いてあった縄をそれにかけたんだよ」 「で?」
「これが国有林だったら何してるか訊くんだけど、私有地だったし、
 神社で何かに使うのかと思った。まあでも、どうしましたか?って
 声はかけた」 「で?」 「そしたら木の間で振り向いてこっち見たんだけど、
 その顔が真っ黒でね」 「黒い?」 「黒人さんってことじゃないよ。
 そうだなあ、かぶってる烏帽子よりも黒い、穴みたいな顔」
「穴」 「そうとしか言いようがなかった。でね、それ見て私、
 思わず神社でするみたいに拝んじゃったの。両手合わせて。
「で?」 「そこから記憶がないのよ。気がついたらその場所を過ぎた
 山道を登ってて」 「その後は?」 「仲間と合流してからも、

 そのことは言わなかった。何でなのかなあ、口から出なかった」
「で?」 「仕事が終わって、日が暮れる前に山を降りようってことで、
 皆で下ってたら、さっきの場所に今度は赤いものが見えた。
 女の人が首を吊ってたのよ」 「う」 「こりゃ大変だって、当時は
 携帯なんてなかったから、一人が駐在のとこに走って、
 残りで木に駆け寄った。まだ生きてるなら助けなきゃいけない。
 でも、完全に死んでた。目がぐるっと裏返って真っ赤に充血しててね」
「どうしました?」 「駐在が医者といっしょ来るまでその場で待ってた。
 事情を聞かれたけど、そんときも神主の話はしなかったよ。
 できなかったって感じ」 「それは怖い話ですねえ。その女の人は?」
「後でわかったとこでは、麓の集落の若い娘さんで、まだ20代だった。

 東京で就職したのが、仕事が上手く合わなくて実家に戻ってきてた
 みたいだな。結局、自殺ってことになった」 「うーん、まだありますか」
「・・・あるけど、信じちゃもらえないだろうな」 「ぜひ」
「私らの仕事は空中写真てのもあるんだよ。地図用にヘリから撮影する。
 もちろん写真はプロが撮るんだけど。最初にヘリに乗ったときは怖かったけど、
 それもだんだんに慣れて、4人乗りのヘリである山地を飛んでた。
 そしたら、カメラマンがあっ!!って大声で叫んでね。私も下を覗いたら、
 真っ黒な蛇が尾根にいたんだ。けどね、周囲との縮尺を考えたら
 100m以上ある蛇だよ。ありえないだろ。カメラマンが、
 あれは撮りませんから!って叫んで、見てるうちに蛇はずるっと 
 谷に落ちて消えたんだよ。な、信じられないだろ」 「・・・・」


 




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