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ダイエット神社の話

2020.04.07 (Tue)
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今晩は、よろしくお願いします。では、私の話をしていきます。
私は、事務機リース会社の経理課に勤めてるんです。
年齢は29歳です。それで、同じ課の同僚にB子さんという人がいて、
同期で入社したので同じ29歳です。それで、2人ともまだ独身なんです。
はい、もうすぐ30歳で大台に乗っちゃうんで、結婚はあせってました。
ええ、合コンに参加したり、仕事の合間をぬってそれなりに婚活はしていました。
これはB子さんも同じです。その点、
私とB子さんはライバル意識があったと言ってもいいかもしれません。
それでですね、今年の4月、経理課にAさんという男性が、
地方支社から転任してきたんです。それが、背がすらっと高いステキな人で。
年齢は31歳ということで、まだ独身だったんです。

会社で歓迎会をやったときの自己紹介では、つき合っている人もいなくて、
恋人募集中ですって言ってたんです。これは、って思いました。
ああ、この人と結婚できたらいいなあって。
でも、それはB子さんも同じ思いだったみたいで、
Aさんのところへお酒を注ぎにいった様子を見ててわかりました。
それで、これは負けられないって思って、私もAさんに積極的に話しかけて・・・
このことについて、その2次会のときB子さんと少し話をしたんです。
協定を結んだっていうか、お互いに正々堂々とAさんを張り合おうって。
それでもし、Aさんのほうから私とB子さんのどちらかが誘われたら そこで勝負あった。
遺恨を残さなように前途を祝福しましょうってことをです。
で、ですね、私はこの勝負、けっこう自信があったんです。

というのは、B子さんって体型がぽっちゃり型でスタイルがあんまりよくないので、
Aさんが選んでくれるとしたら私のほうかなって思ってました。
ところがです、それから2週間らいの間に、B子さんがどんどん痩せてきて、
見違えるようにスタイルがよくなったんです。それに、化粧の仕方も変えたのか、
肌の内側から輝いてるようにきれいになってきて・・・
これには驚くとともにあせりました。ああ、私も何かやんなくちゃいけないと思って、
週に何回もエステに行ったり、ネットでダイエットのページを見て、
よさそうな内容のものを実行してみたり。
でも、そんなに短期間で効果って出ないじゃないですか。それは、
断食すれば痩せるかもしれませんが、そうすると肌がガサガサになってしまうし。
マズイなあと思ってたら、B子さんのほうからこんなふうに話しかけてきたんです。

「ねえ、最近 私痩せたように見えるでしょ」
「ダイエットしてるんでしょ。まだ短期間なのにすごい効果出てるね」
「ありがと。どんなことをしてるか知りたい?」
「教えてくれるの?」 「まあそれは、友だちだからね」
で、聞かされたのがこんな内容だったんです。
「ダイエット神社ってあるのよ。もちろん正式な名前じゃないけど。
 ダイエットにばつぐんの霊験があるって、知る人ぞ知るってとこ。
 場所は県内のはずれのほうだけどね。ちょっとした山の上にあって、
 かなり長い石段を登ってかなくちゃならない。それでね、
 そこでお参りしてから、社殿の横にある湧き水、これが特別なご神水なの。
 ペットボトルに何本かくんできて、毎日、朝起きたらコップに1杯ずつ飲むの。

 それと、洗顔した後に顔につける。どう、こんなこと信じる?」
「でも、B子は効果出てるよね」 「まあね、他のダイエットももちろんやってるけど、
 2週間で8kgは痩せたよ」・・・こう聞いて私が考えたのは、
まず、何でAさんをめぐるライバルの私に、簡単に教えてくれたんだろうかってことと、
神社のお水なんかで本当に効果があるんだろうかってこと。
でも、B子さんが成果が出てるのは確かなんだし・・・
それで、次の休みの土曜日、車にペットボトルを何本か積んで、
B子さんに教えられた道を通ってその神社に向かったんです。
そしたら、場所は県の北の外れのほうで、車は、農家しかない田舎に入っていったんです。
そしてその細い道の行き止まりの脇に、ちょっとした小山があったんです。
山には細い石段の道が上に向かって続いていて、塗りのはげた鳥居が立ってました。

車を道に停め、1Lmのペットボトルを数本紙袋に入れて石段を登っていきました。
両側が林の中を石段はどこまでも続いていて、やっと着いたのが、
山頂にある小さな神社でした。私の他には参拝者はだれもいなかったです。
神主さんもいないようでした。とにかく、お賽銭をあげてお参りして、
神社の横に回ってみました、そしたら、岩の間からチョロチョロ水が落ちているところがあり、
そこでペットボトルに水をくんだんです。帰りがけに、社殿をもう一度見たら、
高いところに古い絵の額が何枚も飾ってあり、それはどれも、
花嫁と花婿を描いたもののように見えました。ただ、花婿は軍服姿のものもあって、
もしかしたら太平洋戦争中のものなのかと思いました。
とにかく、ここは縁結びの神様で、額は結婚したカップルがお礼に奉納したものだろうって、
納得して帰ってきたんですよ、それでさっそく、翌日からペットボトルの水を飲み始めました。

はい、効果てきめんでした。たった2日飲んだだけで、体重が2kgも減ってたんです。
正直スゴイと思いました。食事はそんなにひかえてないのに、
こんなに体重が減ったのははじめての経験でしたよ。
もちろん、顔をその水で洗うことも忘れませんでした。
ええ、体重のほうはハイペースでそれからも落ちていきましたが、
顔はそんなにきれいになったように思えませんでした。
むしろ頬がこけて やつれたような感じになって・・・
その頃には、B子さんはものすごく痩せて、しかも私とは違って、
顔も輝くばかり美しくなってたんですよ。それから数日して、
昼休みにB子さんからこんなことを言われました。
「昨日ね、この土曜日、食事をしないかってAさんから誘われちゃった。

 この勝負、私の勝ちみたいね」って。
ええ、それはショックでしたけど、きれいになったB子さんを見れば、
それもしかたがないかって思えたんです。ですから私としては、
約束どおり素直に祝福してあげるつもりだったんです。それで、その翌朝です。
くんできた神社の水がなくなって、最後の一杯をコップで飲もうとしました。
勝負がついちゃったんだから、もうあんな遠くまで水はくみにいかなくてもいいか、
そう思って、窓からの朝日に半分飲みかけたコップをかざしてみたら、
水の中に5mmほどの白いヒモのようなものがたくさん浮かんでいるのが見えたんです。
ええ、何十匹もいました。「匹」って言いましたが、生き物かどうかはわかりませんでした。
でも、それらはうねうね右に左に動いていたんです。
「キャー」と叫んで、コップの水を流しにあけ、水道の蛇口をひねって流しました。

それからトイレに駆け込んでしばらく吐いたんです。
ああ、なんてものを飲んでしまったんだろう、あの虫みたいなのはいつから入ってたのか。
もしかして最初から入ってたのに、今まで気がつかなかったのか、
体重が減ったのはそのせいなのか・・・嫌な考えが頭の中を駆けめぐりました。
で、神社の水を飲むのをやめたとたん、体重は元に戻っていったんです。
病院に行って事情を話して検査してもらったんですが、特に異常はありませんでした。
・・・B子さんとAさんの交際は順調に進んでいるようで、
B子さんからはいろいろ のろけを聞かされました。そして3ヶ月後、
B子さんとAさんの結婚式があったんです。同僚として、もちろん私も出席しました。
花嫁姿のB子さんはモデルのようにスタイルがよく、すごく美しかったです。
そして、式の直後に胸をかきむしりながら倒れて、そのまま亡くなってしまったんですよ。

怪奇ロマン『君待てども』
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