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回転する神輿の話

2020.04.07 (Tue)
じいちゃんの話
あ、どうも、横山ともうします。高校卒業した2年前まで、◯◯県の
山間の町にいました。そこにはまだ実家があって両親が住んでます。
それで、これは僕が子どもの頃に、同居していたじいちゃんから聞いた話
なんです。あ、じいちゃんは4年前に亡くなってます。
まだ61歳で、病気じゃなく事故です。じいちゃんはJRの職員を退職して、
これから気楽な生活を始めるって矢先、庭の植木の剪定をしてて脚立から
落ちたんです。そのときに尖った枝で喉を刺してしまい、食道と肺を
傷つけちゃって。病院で手術をしたんだけど、予後が悪く、
2ヶ月ずっと苦しんで・・・ それで、これ聞いたのは僕が小学校の
4年くらいのときだったと思います。で、じいちゃんは小学校6年
だったって言うから、今から50年以上前のことですね。

じいちゃんが行った小学校と、僕が通ってた小学校って同じなんです。
まあ同じ住所なんだから当たり前と言えばそうですけど、
もちろん建物は建てかえられてて、同じ場所にあるって意味で。
で、じいちゃんが小学生のときから集団登校ってあったんだそうです。
6年生だったじいちゃんは列の先頭で、一番後ろが5年生。
間に何人か下級生をはさんで歩いていく。
小さい子の足に合わせても、小学校まで15分くらいだったそうです。
5月のことって言ってました。そのあたりは本当に田舎で、
通学路の両脇はずっと田んぼ。小学校の建物がかなり遠くから
見えてたそうです。学校も田んぼ中に建ってるんですが、その少し
手前まで低い山がせまってて、山の手前に5軒くらいの小集落があった。

そこにも小学生が2人だけいたんです。同じ家の子で、6年生の兄と
4年生の妹。兄のほうは、学年1クラスだけなので、じいちゃんと同級生。
その2人は集団登校には入ってないんです。だって学校まで
200mくらいで、歩いて2分、走れば1分。じいちゃんはいつも
兄のほうに、「お前の家近くていいな。寝坊し放題だろ」って
言ってたそうです。あ、すみません、説明が長くなってしまって。
その朝はよく晴れてて、じいちゃんが集団登校中に何気なく山の
集落のほうを見た。そしたら、かたまって建ってる家の上空、
20~30mくらいのところに何か黒いものが浮いてる。
その当時はまだUFOなんて言葉も一般的じゃなくて、
じいちゃんは何だろうと目をこらした。そしたら、それ、

お神輿だったんだそうです。2本の担ぎ棒のついた大きなお神輿が、
屋根を上にして宙に浮かび、ゆっくり回転している。
じいちゃんはびっくりして足を止め、小さい子じゃなく後ろの5年生に、
「あれ見えるか、お神輿が浮かんでる」って言ったそうです。
5年生はじいちゃんが指差すほうを見て目を細め、「え、何ですか?」
そんな反応で、「お神輿だよ。黒いお神輿!」けど、
他の子に確認しても誰も見えると言わない。ずっと立ち止まってるわけにも
いかず、そのまま学校に行ったそうです。で、6年の教室は校舎の2階で、
その窓から集落のほうが見えるんだけど、何もない。
それと、帰り道ですね。下校は学年ごとに時間がばらばらなので集団登校は
ないんだけど、夕方の空にはお神輿は見えなかったということです。

あと、そのお神輿は見たことがないものだとも言ってました。
町には神社があって、夏祭りのときはお神輿を担ぐんです。大人は大きな
神輿で、子どもは酒樽で作った小さいもの。けど、どっちとも違う。
神社の御輿は金ピカの飾りがたくさんついてるけど、宙にあるお神輿は
真っ黒で古い。不思議だと思い、翌朝の集団登校でまた見えるのか、
ちょっと楽しみでもあったそうです。で、次の日、山の陰になってた
集落が見えるところまで来ると、やっぱお神輿が浮いてた。
前日見たものと同じだったそうです。何であんなものがあるのか、
どうして自分にだけ見えるのか。どう考えてもわからない。
学校の先生に相談してみようかとも考えたけど、当時の担任は怖くて、
怒られるかもしれないと思ってやらなかったそうです。

で、そのお神輿は朝の時間だけ、ちょうど1週間見えてたということです。
そのうちの1日、たまたまその集落の兄妹が集団登校に合流してきた。
普段はもっと遅い登校なのが、その日は当番で家を早く出たんですね。
さっき話したように兄とは同級生で仲もよかったんで、
じいちゃんはお神輿の話をしてみたそうです。けど、じいちゃんの
言う方向をよくよく見てから、「なんもないぞ、お前ボケとるんか」
こう言われただけだったということでした。それで、土日をはさんだ
月曜日、お神輿に変化があったんだそうです。空中に浮かんだお神輿の
三角の屋根の上に女の人が立ってる。白い着物を着て両手を開き、
お神輿といっしょに回転してる。不安定なはずなんだけど、
よろめくこともなく立って、ときおり踊るように手を動かしてる。

ここで僕が、「その女の人、見覚えあったの? じいちゃんの知ってる人
 だった?」と聞いたら、じいちゃんは少し言葉をにごし、
「いやあ、かなり遠かったんで、はっきり顔まではわからんかった」
そのときはそう答えたんですよ。ただ・・・ でね、その日の夕刻から
すごい土砂降りになって、夜中に豪雨警報が出たんだそうです。
朝になっても激しい雨はやまず、連絡網で学校は休みという電話が来て、
午後になって山崩れが起き、学校近くの集落はすべて土砂に埋まったんだ
そうです。当時は公民館に避難とかもなかったから、その時間に家にいた
集落の人は全員が亡くなりました。じいちゃんの同級生もです。
ただ、4年生の妹だけはそのとき、運よく親戚の家にいて助かったんです。
けど、両親が死んでしまったため、町の外の別の親戚のとこで育てられた。

病院での話
ここまでが僕がじいちゃんから聞いた話です。あ、土砂崩れの跡ですか。
県のほうで遺体はすべて掘り出し、崩れた山の斜面はコンクリで固められ、
集落のあった場所は整地されて長くそのままでしたが、10年以上たってから、
農協の倉庫がいくつか建てられ、それは今もあります。
で、最初の話に戻るんですが、じいちゃんが事故にあったのは僕が
高校2年のときです。町の病院ではダメだってことで、近くの市の
大きな病院に運ばれたです。手術はしたものの、術後に菌に感染して、
じいちゃんは高熱が続いたんです。それとほら、ケガしたのが食道でしょう。
ものが食べられなくなって、じいちゃんはどんどん衰弱していきました。
僕の両親は医者から、手のほどこしようがありませんって
言われてたみたいです。でも、じいちゃんは意識があるときもあったんです。

両親といっしょに何度も見舞いに病院に行きました。ほとんどのときは、
じいちゃんは真っ赤な顔に玉のように汗をかいて眠ってたんですが、
会話できるときがあって、じいちゃんはうっすらと目を開け、
「もうだめだ、もうもうお迎えが来る。家のことをたのむぞ」って
長男だった父に弱々しい声で言ってました。僕のこともわかってたみたいですが、
会話はできなかったです。で、じいちゃんが入院して2ヶ月目、
その日の夕方に両親と見舞いに行くと、病院の駐車場から、
5階建てくらいの病院の上に何かが浮いてるのが見えたんです。
黒いお神輿だと思いました。それはゆっくりゆっくりと回転していて、
上に白い着物の女の人が立っているようでしたが、遠いのと角度が悪いので
はっきりとは見えなかったんです。あ、じいちゃんが昔、話してくれたものか?

印象に残ってたのですぐに思い出しました。父に「あれ見えるか?」って
聞いたんですが、見えてなかったんです。病室に入ると、じいちゃんの意識は
戻ってるようでしたので、枕元で大きな声で「じいちゃん、お神輿、前に言ってた
 お神輿が病院の上にあった」叫ぶように言ったら伝わったようで、
じいちゃんは目を開けて「女の人がいたか」と聞き、「いた」と答えると、
「あれはお前のばあちゃんだ。もういかんのだな」って・・・
その日、まだ僕らが病院にいる間にじいちゃんの容態は急変し、
次の日の未明に亡くなったんですよ。じいちゃんが結婚したのは、同級生の妹、
土砂崩れから助かった女の子だったんです。ただね、僕が生まれたときには、
ばあちゃんはもう亡くなってました。30代後半で血液の病気だったそうです。
まあこんな話で、いろいろわけがわかりませんが、質問されても答えられないです。





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