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「人獣共通感染症」って何?

2020.04.26 (Sun)
森の中で1匹のダニが、人の背丈ほどもあろうかという
高さの草をよじ登る。そして、前脚を目いっぱい伸ばし、
誰かが通るのを待っている。こうした草むらにハイカーが入れば、
ダニはハイカーの体に必死にしがみつき、最適な場所に移動する。

そして、皮膚にかみつき、口器を突き刺すのだ。ダニがライム病の
原因となる細菌を保有していれば、病原菌が体に入り込み、
ハイカーは「人獣共通感染症」になる。
(NATIONAL GEOGRAPHIC)

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今回はこういうお題でいきます。新型コロナウイルスに
関係した話題です。さて、この言葉、お聞きになったことがあるで
しょうか。たぶんあまり聞き慣れないんじゃないかと思います。
というのは、日本の厚生労働省では「動物由来感染症」という
用語を使っているからです。

どちらも、英語の zoonosis の訳語で、このところ話題になってる
WHOの定義によれば、「ヒトと脊椎動物の間を自然に伝播しうる
すべての病気または感染症」となっています。米国立衛生研究所
によれば、全世界の死因の16%近くが感染症によるものと推測され、
そのうちの6割がズーノーシスと考えられています。

具体的な数字をあげると、アメリカ疾病対策センターは、
世界のズーノーシスの症例数は年間25億件、死者数は270万人
になると推定しています。すごい数ですが、これには
飼っている猫に引っ掻かれた場合の、猫ひっかき病など
死に至らないケースも多いんです。

野生のコウモリ
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ではまず、どんな病原体があるのか?これは大きく、寄生虫、
原虫、細菌、真菌、ウイルスと分けることができるでしょう。
この他には、狂牛病などのブリオン病があります。
世界で猛威をふるっているマラリアは原虫感染症です。
引用記事のライム病は細菌感染症になりますね。

さて、日本では昔は寄生虫病がたいへん多かったのは
ご存知でしょう。特に知られているのが回虫によるものですが、
冷蔵庫の普及、衛生観念の進歩、効果的な虫下しの開発
などによって、今はほとんど聞かなくなりました。回虫は
人獣共通感染症です。(ぎょう虫は違うようです。)

寄生虫アニキサス
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あと、アニキサス症というのがあります。アニキサスは回虫の
仲間で、全ての種が魚介類に寄生しています。日本人は古来、
刺身という形で海の魚を生食してきたので、これにかかる
危険性は大きいんです。実際、イカやサケ類の刺身から
感染した例があり、激しい胃痛を起こします。

日本ではずっと、海の魚や貝類は無害と考えられてきましたが、
1999年、アニサキスが食品衛生法で食中毒の原因物質と特定
されました。このあたり、コウモリを食べる中国人や
アフリカ人が野蛮だとは一概にいえないんですよね。

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細菌感染症は、結核、ペスト、サルモネラ症、赤痢、O157症
などなど。医療の歴史は、感染症との戦いの歴史でもありました。
で、抗生物質の発見によって細菌感染症は克服されてきた・・・
とまでは言えないんですよね。たしかに、ストレプトマイシンの
登場によって結核は激減し、死亡者も少なくなりました。

ですが、人間の体の中には多種多様の細菌がすみついています。
善玉菌、悪玉菌などの言葉を聞かれたことがあると思いますが、
常在菌の中には、宿主である人間にとって重要な役割を果たして
いるものもあり、すべてを退治してしまうことはできません。
それが、例えば抗癌剤治療などで免疫力が低下したときに、
体の中で暴れて高熱や嘔吐を引き起こしたりします。

さまざまな腸内細菌 人間にとってよいものも悪いものもあります
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今回のCOVID-19はウイルスです。ウイルスによる人獣感染症は
エボラ出血熱、狂犬病、日本脳炎、デング熱、SARS、MERSなどがあり、
これからの医学は、ウイルスとの戦いになっていくことになりますが、
かなり厳しいものになると思います。理由は後述します。

次に、人獣感染症の伝播のしかたですが、直接伝播と間接伝播が
あります。直接伝播は噛み傷、引っ掻き傷からの感染で、映画の
ゾンビ化と同じです。間接伝播には、ノミやダニが媒介する場合、
病原体で汚染された水や土壌と接触したり飲んだりする場合、
病原体を持っている動物を、熱を加えずに食べたりする場合。

細菌とウイルスの大きさの違い
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で、日本はこれらの人獣感染症を引き起こす可能性が高いと
言われています。アフリカの奥地でもないのに、と思われるでしょうが、
日本の特殊なペット事情によります。日本は、室内犬など、
世界では考えられないせまい住環境で飼育すること、珍しい動物を
ペットとして飼う人がいることが危惧されてるんですね。

今、エキゾチックアニマルといわれるペット市場が拡大中です。
自分も、プレーリードッグ、フェレット、ショウガラコ
(夜行性の小型サル)を飼っている人を知ってますが、これらの
動物が人獣感染症を引き起こす可能性が高いのはご理解いただけると
思います。日本発のパンデミックが起きたら大変です。

ショウガラコ かわいいですが、こういうのを飼うのがいいかどうかは疑問があります
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さて、では、どうして人獣感染症が防ぎにくいのか。天然痘ウイルスは
撲滅されましたが、これは基本的にヒトからヒトへしか感染しません。
ですから、世界の人全員がワクチンを打てば寄生する場所がなくなります。
しかし人獣感染症の場合、世界の野生動物すべて、また蚊やダニの
全部にワクチンを打つなんてことはできないですよね。

さらに人獣感染症の中でもウイルス感染症はワクチンを作りにくい。
エイズのワクチンは世界中で研究しても完成していません。
対処治療薬があるだけです。そしてウイルスは自在に変異していきます。
これが、人類VSウイルスの戦いが厳しい理由なんです。

エボラウイルス、コロナとはだいぶ形が違います
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さてさて、新型コロナウイルスについてもいろいろなことがわかって
きました。基本性質は風邪ですよね。その致死率が高い。
いまだかつて、人類は風邪の流行を防いだことはありませんし、
もしインフルエンザのようにワクチンができたとしても、何種類も
必要になってしまうはずです。ということで、今回はこのへんで。




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