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転送される佐藤の話

2020.06.03 (Wed)
中学2年生 佐藤航平さんの話
あ、こんばんは。じゃあ、僕の話を始めます。うち、神社なんです。
父が宮司をしてますけど、それほど大きいとこじゃありません。
父から聞いたところでは、1日の参拝者が200人くらいだそうです。
家は神社から歩いて5分ほどの場所にあるんです。
話が変わりますけど、僕、写真が好きで、将来はカメラマンに
なるのが夢なんです。それで、欲しいものがあったんですよ。
いや、カメラはもう持ってます。お年玉を貯めて買ったやつ。
僕が興味を持ってるのは自然の風景の写真です。ほら、南極の氷山の
上のペンギンとか、あくびしてる北極のシロクマとか。
欲しかったのは、そういうのを専門に撮ってる外国のカメラマンの
写真集なんですけど、すごく高かったんです。

僕の1年間の小遣いを貯めても買えない値段でした。
父に相談してみたら、「悪いものではないから買うのはかまわないが、
 その分働いてもらおうか。その奉仕料をお前に払おう」
こういうことになりました。それで、朝早く起きて神社の境内を
掃き清めるのをやったんです。5時から6時ころまで。
その時間は父はまだ神社には来てませんが、お年寄りの参拝者は
いました。今の季節なので、5時だともう明るくなってます。
で、やってみると、ゴミなんかはほとんどないですけど、
落葉がすごかったです。夏なのに落葉、と思われるかもしれませんが、
神社のまわりの林はほとんどが常緑樹なので、年中、寿命が来て
黄色くなった葉が落ちるんです。僕もやってみて初めてわかりました。

それで、境内には摂社が左右に6つ並んでます。どれも小さいお社で、
僕には、どれが何の神様なのかわかりません。神社では、
摂社でお祀りしてるのは、御祭神の后神、御子神、あと神話上で
関係の深い神様です。で、その朝も箒とちりとりを出して
境内を掃いてたら、社殿に向かって右の一番奥の摂社全体が
オレンジ色に光ってたんです。そんなの見たのは初めてでした。
ぼうっ、ぼうっと、摂社から火柱が上がり続けてる。
けど、本物の火とはどこか違ってて、うまく言えないんですが、
映画のCGみたいな感じでした。それに煙が上がってない。
近づいてみると、まったく熱さは感じなかったんです。父からは、
もしおかしなことがあったらスマホで連絡しろと言われてたので、

家にかけてみました。すぐ父が出たので、起きていることを話すと、
「ふうん、それは陰火だな。右の一番奥は〇〇神様。どうやら
 火急の用事があるみたいだ。怖がらなくてもいいから
 扉を開けてみなさい」こう言われたんです。僕が、
「でも火が」と返すと、「陰火だから熱くはない」ということで、
開けてみました。たしかに手を突っ込んでもまったく何も感じません
でした。中は、前のほうにお供えのセットがあるんですが、
その後ろに、見慣れない箱があったんです。箱は15cmくらいで、
白い木でできていて、上になにか記号のようなのが書かれてたんです。
父は「そうか、これは珍しい。その箱は神様から送られてきたものだろう。
 お社から取り出してみなさい」僕がそうすると、オレンジの火は

ふっと消えました。箱は中に何も入ってないくらい軽かったです。
「これどうするの」 「他のお社を見てみなさい」ふり向くと、
今度は左側の手前から2番めののが燃えてました。青い色です。
そのことを言うと「うん、そこへ届けろということだろう。
 中に入れなさい」で、そのとおりにして扉を閉めたら、
青い火も消えたんです。お社に焼けた跡はまったく残ってませんでした。
「今、そっちに行くから待ってなさい」それから数分で父がやってきて、
僕に青い火が燃えたお社を開けて見せてくれたんです。そしたら、
さっき入れた箱はそのままでした。父は、「神様同士でやりとりを
 されたかったんだろう。もちろん意思疎通は人間の手を
 借りなくてもできるが、実体のあるものはそういうわけにはいかんから」

こう言ってました。僕が「あの箱には何が入ってるの?」と言うと、
「それは場合によってさまざまだな。箱の上書きでだいたいのことは
 わかるが、これに入ってるのは少し怖いものだよ」って。
おかしなことがあったのはこれだけで、境内の掃除を3ヶ月続け、
父に写真集を買ってもらったんですよ。

アパレルショップ勤務 園田玲美さんの話
こんばんは、よろしくお願いします。今年のお正月のことです。
彼と初詣に行きました。行ったのはそんな大きいとこじゃなく、
彼のアパートの近くの神社です。ですが、やはり元日の朝なので
それなりに人は出てました。彼と並んでお賽銭を投げ、お参りをしたんですが、
そこで彼、手を合わせたまま動かなくなちゃったんです。固く目を閉じたまま、
そうですね3分くらい。ふだんはそんな信心深い人だとは思ってなかったので
びっくりしました。後ろにも人がいますし、あまりにも長かったので、
横からつついたら、はっとわれに返った感じで。それで、鳥居をくぐって
境内から出て、手をつなごうとしたら、彼、両手で木の箱を
持ってたんです。白くて四角い、15cmくらいの。
「え? それ何、いつから持ってるの?」と聞いたら、

「いや、わからんけど、気がついたら手の中にあった」って。
そんなわけないんですが、お参りする前に持ってなかったことも確かです。
「えー、どういうこと?」 「いやあ・・・ さっき長く
 お参りしてただろ。そんときに何かを命じられた気がするんだ。
 ええと、あ、そうだ。この箱を宅配便で送れって言われたんだ」
「言われたって、誰に?」 「うーん、神様だと思う」 「どこに送るん?」
「〇〇県〇〇市・・・・・・・・」 「どこの住所?」 「いや、
 わかんないんだよ。今、急に頭に浮かんできた。とにかくすぐ送んないと」
ということで、近くのコンビニに入ったんです。そのとき、
箱の中身が何かって当然気になりますよね。「開けてみてもいい」
そう聞いたら、彼、急に怖い顔になって「死にまするぞ」って言ったんです。

これにも驚きました。いつもとはぜんぜん違う口調だったし、
「まするぞ」って・・・ねえ。とにかくコンビニの人からダンボールを
もらって、その箱を中に入れて送ったんです。お金は彼が払いました。
まあ、これだけなんですけど、もう一つ、彼が変なことを言い出したんです。
「あ、そうだ、神様から宝くじ買えって言われたんだ」
でも、お正月だから年末ジャンボが終わったばかりですよね。
高額賞金の宝くじって、やってなかったんです。でも、彼が言い張るので、
その日のうちにふつうのを3枚買ったんです。結果は・・・1枚当たり
ましたけど、6等の3000円でした。宝くじが900円、宅急便の代金、
神社でのお賽銭の合計がちょうどそれくらいですね。
え? 彼の名字ですか。佐藤っって言うんですけど、それが何か??

投資会社勤務 村上雄太さんの話
あ、どうも、今、大変なんですよ。ご存知かもしれませんが、弊社の
社長が急死しまして。ええ、じつは自殺なんです。会社の社長室で
首を吊って・・・ でもねえ、死を選ばなければならない動機が
思いつかないんです。警察にもそう話しましたよ。
だって会社の経営は順調で、その前日、会議で社長は新しいプランを
すごい意欲的に話してましたし。あと、家庭生活も問題はなかったと
思います。ついこの間、上の娘さんに孫が生まれたばかりでした。
箱? ああ、社長が自殺した日の午前中に宅急便で会社に送られてきました。
差出人も私らの会社になってましたね。それも今考えれば変だとは
思いますが・・・ で、社長の自殺を発見したのは私なんです。
自分で壁にフックを打って、それに座るような形でぶら下がって。

箱ですか? それが社長の自殺と何か関係があるんでしょうか。
はい、白い木でできた箱で、大きさは15cmくらいでした。
上蓋に何か変な記号のようなのが書かれてましたね。社長のデスクの上に
蓋が開いた状態で載ってましたよ。中はからっぽでした。
検視に来た警察も、特に変には思わなかったようで、
持ってはいきませんでした。おそらくその日のうちに清掃員が捨てたと
思います。とにかく困ってます。これからどうしたらいいのか。
え? 社長の名字ですか。佐藤って言いますけど、それが何か??





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