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轢いた話

2020.06.22 (Mon)
こんばんは、山本ともうしまして、主婦をしております。
これからお話するのは、今月の3日の夜にあったことです。
私の主人は、ある公団に勤めているんですが、先月、
勤務中に吐血して倒れたんです。大きなプロジェクトに
関わっておりまして、無理が重なったようです。
救急搬送された先の病院で、出血性胃潰瘍と診断されました。
幸いなことに、開腹手術ではなく内視鏡で出血を止めていただき、
そのまま長期入院になったんです。はい、大変驚きましたが、
連絡を受けてすぐに病院に駆けつけました。そこは国立系の
病院でしたので、付き添いなどは認められず、でも、
ほぼ毎日、一人息子を連れて見舞いに行っていました。

それで、入院して2週間ほど過ぎ、輸血などの治療の結果、
症状も落ち着いて退院が見えてきたんです。その日も、息子と
夕方の6時から見舞いに行っており、8時前に病院を出ました。
息子は5歳の幼稚園児です。自宅から病院までは車で30分ほど、
病院は郊外にあり、帰宅ラッシュ時でしたが、あまり使われない
道のため、他の車はほとんどありませんでした。
両側にまだ田んぼが残るそのせまい道を走っていると、
車の前に急に白い小さなものが飛び出してきたんです。
何だかわかりませんでしたが、大きさから人ではないと
そのときは思ったんです。とっさに急ブレーキを踏んだものの、
車の前部にゴッという小さな衝撃があったのを覚えてます。

車は軽なんですが、路肩に停めて外に出てみました。
道には何もなかったです。けど、何かを轢いたのは間違いないと
思い、周辺をよく探してみました。そしたら、道から田んぼに
降りる土手の下の用水路に白い犬が落ちてたんです。
半ば水に浸かり、腹のほうを上にして頭は見えませんでした。
ピクリとも動かなかったので、もう死んでいるのだと思いました。
車に戻ってバンパーなどを確認しましたが、凹んだり
傷がついている様子はなかったです。どうすればいいんだろう、
死んだ犬を放置はできませんよね。そういうときは保健所に
連絡すればいいと、なんとなく知ってはいたんですが、
もう終わってて誰もいないだろうと思いました。

それで、車の中から110番通報したんです。本部の人が出たので
事情を話すと場所を聞かれ、現場の近くにある交番に
切り替わったんです。年配らしい声の警察官が出たので、
もう一度話しをすると、「うーん」と考え込んでましたが、
「もう一度死体を確認してみてください。本当に犬かどうか」
そんなことを言われました。スマホを持ったまま車外に出ると、
息子が「ぼくも見に行く」とついてきました。
飛び出してきたとはいえ、自分が轢いたのは間違いないですので、
見るのは嫌でしたけど、道端から側溝を覗き込むと、
犬の体はだいぶ沈んでて、脚2本の先が見えるだけでした。
そばにいた息子が「助けないの?」と言ったので、

「もう無理よ」と答えるしかありませんでした。スマホに、
「やはり犬です。間違いありません」と話すと、少し沈黙があり、
「・・・そうですか。わかりました。こっちからも連絡しますが、
 そちらのほうからも朝イチで保健所に連絡して下さい」
と言われたんです。それからまた少し間が開いて、
「これから帰宅されるんですよね、もし何かおかしなことがあったら
 110番ではなく、こちらに連絡してください」と、派出所の
番号を言われたんです。はい、そのときはどういうことか
わからなかったんですが、その警官の言うとおり登録しました。
車を発進させ、息子に「お腹すいたでしょ」と聞くと、
息子が「あの子、水の中に落ちてかわいそうだね。

 警察が助けてくれるの」と言ました。「あの子」という
言葉が気になったので、「ええ、お犬さん、可愛そうだったね」
と答えると、息子が「えー、犬じゃなかったよ。ぼくと同じくらいの
 男の子だったでしょ」って。それを聞いてドキッとしたんです。
まさかそんなはずは、と思いました。「〇〇、何言ってるの、
 犬だったでしょ、犬」やや語気を強めると、
息子は黙り込みました。それから数分走ったら、また車の前に
白いものが・・・さっきと同じように急ブレーキを踏み、
やはり小さな衝撃を残して車が止まりました。
え、また犬を轢いた? 車の外に出て愕然としました。場所が、
さっきと同じとしか思えなかったんです。

前方に見える信号機までの距離、そして右手にあるJAの倉庫も
何もかも同じに見えました。これ、いったいどういうこと?
数分とはいえけっこうスピードを出してましたので、1km以上は
走ったはずです。それなのに・・・怖かったんですが、
土手を降りて用水路をのぞき込みました。そしたら街灯の光で、
泥の中に頭を突っ込むようにして、子どもが落ちてるのが
見えたんです。汚れてましたが、白っぽい制服のようなのを着た、
息子と同年輩に見える子どもが・・・人を轢いてしまった、
でも、そんなバカな、さっきと同じ場所で、ありえない。
パニックになりかけていたと思います。いつの間にか息子が
そばに来ていて「犬さん、死んじゃったね、かわいそうだね」って。

でも、下に見えるのは少しずつ沈んでいく子どものズックをはいた
両足でした。あ、そうだ、さっき登録した派出所に通報しよう、
そう考え、スマホをかけると、さきほどと同じと思える警官が出たんです。
起きたことを話すと、「落ち着いてください。車の中に戻って
 路肩にいてください。今すぐそちらに向かいますから。けっして
 軽はずみなことは考えないでくださいよ。いいですね」こう強く
言われました。はい、車に戻って5分もたたないうち、
サイレンを鳴らさずパトカーが一台来ました、救急車はなしで。
パトカーは私たちの車のすぐ後ろに停まり、懐中電灯を持った警官が
2人出てきて、一人は田んぼのほうに降りていき、
年配のほうの人が私の車のウインドウをコンコンと叩きました。

ドアを開けて外に出ると、用水路を照らしていた警官が、
「何もありません。前と同じです」と大きな声で叫びました。
年配の警官が、「よく確認しろ、本物の事故だったら大変だから」と言い、
私に向かって、「驚いたでしょう。心配しなくても大丈夫です。
 ここは何というか・・・おかしなことが起きる場所で」
「どういうことでしょうか」 下に行った警官が戻ってきて、
「事故ではありません」もう一度報告しました。
年配の警官は、「気になるでしょうね。警官の私がこんなことを
 言うのは何なんですが、今年に入ってあなたで3回目なんですよ。
 ここで事故を起こしたって通報をしたのは。あれ見て下さい」と、
道路上を照らすと、私がつけたものの他にも急ブレーキの跡が

あるように思えました。警官は、「これは他の人に言わないでくださいね。
 本当の事故があったのは去年の暮れです。この付近の男の子が
 ちょうどこの場所で車に撥ねられたのが。もっと早い時間でしたけどね。
 ええ、遺体が発見されたのもあの用水路です。それからね、
 変なことが起きるようになった」 「その事故の加害者は?」
「轢き逃げで、残念ながらまだ見つかってないんです」
「・・・最初に犬を轢いたと思ったのはどういうことでしょうか」
「それもわかりませんね。犬を轢いたという報告は受けてないです。
 ただ、ここは交通量の少ない道で、スピードを出す車が多いので、
 そういうこともあったかもしれません。男の子と近い場所に
 撥ねられた犬の死骸が落ちたとか」こんなことを言われたんです。

キャプチャ



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