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火災を招く絵

2020.06.26 (Fri)
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今回はこういうお題でいきます。オカルト論になりますが、
この話、かなり有名ですので、オカルト好きのみなさんには
ご存知の方も多いと思います。さて、自分は、絵や彫刻など
美術系の芸術は、作者と鑑賞者の関係が直接的だと考えています。

どういうことかというと、音楽と比較してみればわかりやすい
でしょうか。音楽だったら、ある作曲家が曲をつくって
楽譜に残します。それを作曲家自身が演奏することも
あったでしょうが、多くの場合、オーケストラなどのプロが
演奏したものを観客が聞きます。

あるいはロックなどでも、ライブに行って聞く人の数は
たかがしれていて、多くの人はCDを買ったり、ネット配信で
聞いてますよね。作者からワンクッションあるわけです。
これに対し、美術品の場合は、美術館に行って見るにしても、
購入して自宅に飾るにしても、作品そのものに直にふれるわけです。

「泣く少年」には多くのバージョンがある
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ですから、絵画や彫刻、古美術品などもそうですが、より直接的な
影響を受けてしまう。まあ、とは言っても、絵画にも複製と
いうものがあります。ゴッホやルノアールなどの名画を買える人は
かぎられてますので、複製品を自宅に飾る。これからする話は、
そのことと少し関係があるんですね。

イギリスの話です。始まりは1980年代。ヨークシャー地方の
ある家が火事になりました。室内のものはほぼすべて燃えた
状態でしたが、その家に飾られていた一枚の絵だけが、
どういうわけかほぼ無傷の状態で残っているのが発見されます。

この絵、「泣く少年 The crying boy」と題されたもので、
特に怖いような絵柄ではありません。粗末な服を着た5歳以下と
思わる少年が涙を流している顔のアップ。作者は有名な画家ではなく、
ヴェネツイアに住む、イタリア人のブルーノ・アマディオ
という人が旅行者向けに売っていたシリーズ物です。



ここも注意すべき点で、シリーズ物ということは、「泣く少年」と
一口に言っても、複数の種類があることです。後の調査で、
65種類のバージョンがあることが確認されています。
で、この絵が60~70年代に百貨店で売り出され、たいへんに
イギリス人にうけたんですね。購入した家庭がひじょうに多かった。

もちろんそのほとんどは印刷された複製です。ちなみに、
この絵のイタリアでの題名は「ジプシーの少年」。
また、作者のアマディオ氏は1981年に亡くなっていますが、
不審な死というわけではないようです。

イギリスオカルトの発信源の一つである「ザ・サン」紙
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1985年、イギリスのタブロイド紙で、オカルトの中でも
エイリアン物を積極的に取り上げた紙面づくりをしている(笑)
「ザ・サン The Sun」が、この絵についての特集を組みました。
火災現場になぜか一枚の絵だけが焼け残っている。

1回だけなら、たまたまと考えられますが、同様のケースは
何十件も報告されていて、それらはみな同じ「泣く少年」の絵。
ある消防士は、自分が出動した火災現場で、なんと7回も
この絵が焼け残っているのを見たと証言しています。
で、サン紙がこの特集をした5日後、ボウトンという町にある

ブライアン・パークスさんの自宅が全焼。そして焼け跡から
無傷の「泣く少年」が発見され、大騒ぎになります。
サン紙編集部には、パニックを起こした読者から2000枚
以上の「泣く少年」が送りつけられ、消防署員立ち会いのもとに
焼却処分されているんです。

「ザ・サン」紙による焼却処分
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さて、ここからは種明かしですが、自分が考えたことではなく、
イギリス国営放送のBBCの検証です。建築研究所でスタッフが
この絵を燃やしてみたところ、絵はほとんど焼けず、
額縁が焦げただけにとどまったんですね。理由は、絵の
キャンバスには硬質繊維板という素材が使われており、

防炎処理が施されたようになっていて、燃えにくいことが判明
したんです。絵はインク印刷であって油絵ではない。
さらに、絵の入った額縁はヒモで壁に吊るされていることが多く、
まずそのヒモが焼き切れ、絵は下向きに床に落ちて炎から
守られやすくなる・・・だいたいこんな内容でした。

あと、向こうの火災は日本のイメージとはかなり違います。
日本の家屋の多くは木造なので、全焼だと外壁まで焼けてしまう
ケースが多いんですが、イギリスはレンガ造りの家がほとんどで、
内部は蒸し焼き状になっても、外までは火が及びにくいんですね。
家の中の場所の酸素の状態によって、燃え方も異なります。

BBCによる検証実験 youtubeに動画があります
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ここまでをまとめると、イギリス家庭で「泣く少年」と題される絵が
飾られている家はたくさんあり、絵が火事を呼んだというわけではない。
絵は燃えにくい素材でつくられている。また、火災時の条件からも、
絵が焼け残る可能性は高い。こういうことになりますか。

さてさて、ネットでは、この絵の話は完全に都市伝説化していて、
モデルの少年は、じつは「ファイアスターター」という超能力者で、
嫌がる少年を無理やりモデルにした画家はアトリエが火事になって
焼死。少年は10年後、交通事故で車が炎上して死亡・・・
まあ全部デマなんですが、これはこれで面白いなあと思います。
では、今回はこのへんで。

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