FC2ブログ

アーカイブ 七夕あれこれ

2020.07.03 (Fri)


今回はこのお題で行きます。前に「こどもの日」の話を書きましたが、
七夕も中国で始まった五節句の一つで、太陰太陽暦の7月7日に
行われていました。それが日本にも伝わったわけですが、
明治時代に太陽暦(新暦)に移行したとき、そのまま7月7日に設定したため
梅雨のさ中の日になってしまいました。

ですから、なかなか星が見られるような天候にならないんですね。
大阪は現在、小雨模様の天気ですし、7月7日の予報も雨です。
このあたり、なんとかならないかとも思うんですが、
今さら変えようもないでしょうしねえ。

さて、織女と牽牛のお話はご存知だと思います。中国の言い伝えでは、
天の川の東に織女がいて、天帝の命で機を織っていたが、
天帝はその独居を憐れんで、天の川の西にいる牽牛星のところへ嫁がせた。
すると、織女は機織りをやめてしまったので、怒った天帝は
織女を元の場所に戻し、1年に1度だけ牽牛に会うことを許した。

また、織女にちなんで、この日は裁縫の上達を願う日とされ、
7本の針の穴に美しい彩りの糸を通し、捧げ物を庭に並べて祈ったところから、
日本では、現在のように短冊に願い事を書いたものを
笹竹に下げるようになりました。奈良時代にはすでに行われていたようです。

さて、こっからは星の話をしましょうか。まず天の川ですが、
英語では Milky Wayと言い、乳の流れる川に見立てられています。
なぜ、たくさんの星々が川筋のように見えるかというと、地球を含む太陽系は、
宇宙にたくさんある銀河の中の「天の川銀河」に属していて、
その平たい円盤状の中から外側にある星を、横向きに見ているためです。
下の図がわかりやすいと思います。

天の川銀河

で、地球から見て、この天の川の東にあるのが織女星です。
英語でベガ(Vega)と言い、こと座で最も明るい一等星です。
地球からは25光年ほど離れています。
また、牽牛星は英語でアルタイル(Altair)。わし座で最も明るい星で、
やはり一等星です。地球からの距離は約16光年ですね。

では、ベガとアルタイルはどのくらい離れているのか。
これは年周視差の難しい計算をしなくてはならないんですが、
だいたい14~15光年ほどと考えられています。ですから、織女と牽牛が
会うためには、光の速さで15年もかかってしまうわけです。

夏の大三角形


もし両者が同時に出発しても、その半分の7年半かかります。
相対性理論では、光速度を超えて移動はできないことになっていますが、
まあ、そこはそれ、愛の力の前には、
物理法則は通用しないということなんだろうと思います。

で、上で書いた雨の話に戻って、過去の7月7日の天候を調べてみると、
統計のある1961年から2016年までの56年間で、
晴れていたのはわずか17回。確率は約3割しかないんですね。
もしこれが旧暦だったら、七夕の日は現在の8月26日ころになり、
それだと晴れる確率が雨の場合を上回ります。

さて、七夕の日に降る雨のことを「催涙雨 さいるいう」などと言います。
これは会うことがかなわなかった織女の流す悲しみの涙とされますが、
それだとあまりに可哀想だということで、もし雨で天の川が渡れない場合、
カササギが橋を架けて渡してくれるという話があります。

これも中国由来で、前漢時代の『淮南子』という書物には、
「カササギが河を埋めて橋となり、織女を渡した」という文章が出てきます。
カササギはカラス科で、もともと日本には生息していない鳥でした。
ですから、催涙雨には、困難を乗り越えて会うことができた2人の
嬉し涙の雨だという説もあるんですね。

カササギ


ここで少し話を変えて、百人一首に選ばれた、
『万葉集』の編者である歌人、大伴家持の歌に、
「かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける」
というのがありますが、これ、なんか変だと思いませんか。

大伴家持


「かささぎの橋」は上記伝説の七夕の橋のことで、七夕は夏の行事なのに、
なんで霜が白く降りてるんでしょうか。
これは、平城京の宮中にあった建物を結ぶ橋や階段などを、
天上に例えて「かささぎの橋」と当時 呼んでおり、武人でもあった家持が、

冬のさなか、宿直(とのい)の役目を果たしているとき、その上に、
真っ白く霜が降りているのを見て詠んだものだろうと考えられています。
自分は和歌は不勉強でよくわかりませんが、
夏の象徴である七夕の縁語を用いて冬の情景を詠んだところに
家持の技巧があり、百人一首に選ばれているのかもしれません。

さてさて、まとまらない話になってしまいましたが、
七夕に関するうんちくを少し書いてみました。自分の本業は占星術ですので、
雨が降らず、星が観測できる夜が続いてくれるとありがたいです。
では、今回はこのへんで。

関連記事 『こどもの日って怖い?』



 


関連記事
スポンサーサイト




トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/2576-cfea72e4
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する