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ある鬼の話

2020.07.31 (Fri)
こんばんわ、山田ともうします。さっそく、私の話を始めさせて
もらいます。私は現在67歳で、その出来事が起きたのは
もう17年前になります。テレビニュースや全国紙で報道
された事件も起きてますので、ご記憶されている方も
おられるかもしれません。当時、私は地方新聞のその地域の
支社勤務で、記者としては一番 脂が乗っていた時期だと
思います。ですが、事件の全貌をなかなかつかむことは
できませんでした。まあ、無理のない話ではあるんですが。
あんなことが実際に起きたなんて、今でも信じるのは難しいですよ。
何から話していきましょう。やはり神社の火災のことからでしょうね。
今から考えれば、あれがすべての発端だったと思うんです。

風がそろそろ肌寒くなってきた10月でした。その神社は、
市では一番大きいんですが、観光客などはまず来ることのない、
地域の人だけがお参りするところで。御祭神などは、
ここでは言わないほうがいいでしょう。秋の収穫感謝の例大祭が
9月に行われ、それから10日ほどたった夜。神社の本殿が
火事になったんです。いや、火事というか、一切燃え広がることは
なかったんですが。夜中の3時ころです。突然ドーンという轟音がして、
本殿の檜皮葺の屋根に大穴が開いたんです。ええ、その近所一帯に
響くような音でしたので、社務所に詰めていた神職が飛び起きて
見回りに行くと、本殿の屋根の檜皮があたりに飛び散っており、
直径2mほどの穴が開いてたんです。すぐ警察と消防に連絡しました。

警察では最初、航空機の部品が落下した、あるいは隕石と
考えたそうです。ですが、本殿の中を調べても、散った屋根材以外
何もない。もし大きな物が落ちてきたのなら、床にも穴が開く
はずでしょ。ところが破損したのは屋根だけで、御神体などはすべて
無傷。屋根の穴の縁が焦げてたので、結局、落雷ってことに
なったんです。でも、落雷と言っても、穏やかな夜でね、雨も
降ってない。天気予報でもそんなことは言ってなかったんです。
これね、私も取材に行って囲み記事にしたんです。そのときの見出しが、
「ホントに落雷?」というものでした。まあ、火事にならなくて
幸いでしたし、屋根の修繕は雪が降る前に終わったんです。
次、2番めに起きたのが、老人介護施設の入所者の行方不明です。

落雷事件から1週間後、神社の裏手1kmくらいにある
介護老人ホーム、ここは有料施設ですが、そこの女性の入居者が
朝になったらベッドにいない。そこで警察に通報された。
その女性は80代で、トイレなどは自分で行けるものの、
遠くまで出歩くのはまず不可能。それと、かなり認知症の度が
進んでいたそうです。不思議なのは、施設は夜間完全に
施錠されているし、表玄関すぐの受付には警備員が3交代で
常駐してるんです。もちろんどこかの窓から出たということは
ありえますが、その女性の体力ではとてもとても。警察では
遠くまでは行ってないだろうと判断し、近距離中心に
探したんですが見つからない。それで、川に落ちたことを想定し、

下流域をずっと調べたんです。でも、女性は今も見つからない
ままなんです。あ、それでね、この女性と神社の関係ですが、
ずっと前に亡くなってる旦那さんが市の有力者で、氏子総代を
務めたことがあるんですね。これは後になってわかりました。
3番めは、これは神社のすぐ近く、門前町と言える場所にある
家の男性の高齢者が行方不明になったこと。長男夫婦と
同居してたんですが、やはり朝になって姿が見えないことに
家族が気がついた。でね、この男性、寝たきりの状態だったんです。
歩くどころか、介護ベッドで半身を起こすのも無理。
ですから、自力で歩いて出ていくなんてありえないんですよ。
それでね、じつは、この男性も神社の氏子総代を務めたことが

あるんです。それから1ヶ月の間に、老人の行方不明が4件
続きました。まあね、徘徊騒ぎはどこでもあることなんですが、
そのほとんどは発見されるんです。ところが、最初の施設の
女性を入れて全部で6人。みな末期癌などで寝たきりに近い方で、
一人も見つかってない。おかしいでしょう。で、私が記事を書いて
新聞で大きく取り上げたんです。そうすれば、たいがいは社に情報が
入ってくるもんですが、目撃したなんて投稿もなかったんです。
当時の編集長は、なんだか気味の悪い話だなあと言ってました。
それからまた半月ほどたち、12月始めに早い初雪が降りました。
私らの地方は雪国とまでは言えませんが、けっこう積もるんです。
次が殺人事件です。15cmくらい積もった雪の道で、

集団登校中の小学生が、歩道にあった雪の固まりを蹴ったら、
それ、ごろんと転がって黒い髪の毛と見開いた目が見えた。
・・・その小学生はショックだったと思いますよ。トラウマになって
なければいいんですが、生首だったんです。遺体の他の部分は、
近くから一部が見つかりました。下半身と胸から右腕にかけて。
警察の調べでは、損壊の状況は刃物などで切断されたのではなく、
ねじ切られたような形。もちろん、一番考えられるのは交通事故、
轢き逃げですが、近くの道路には急ブレーキの跡などはなかったんです。
ええ、その前夜から雪は止んでました。で、この事件に関しては、
最初に話したように全国ニュースになったんです。被害者の身元は、
着衣に身分証が入っており、最初の行方不明者が出た

介護施設の職員だってわかりました。年齢は30代前半で独身。
前日の夜8時で勤務が終わり、その後の足取りは、一杯飲み屋に
10時過ぎまでいたのがわかってます。ええ、その地方では
殺人事件なんて稀なことですから、警察もかなりの人員を割いて
捜査したんですが、迷宮入りになってしまいました。17年前のこと
ですから、殺人だとしたら、まだ時効ではありませんが。
次の事件はさらにショッキングでした。いなくなった寝たきり男性の
家の50代の主婦、その首が、自宅近くの橋の欄干で凍りついて
いるのが朝に見つかったんです。ええと、発見者は早朝ウオーキングの
ご夫婦。これも、さぞかし肝を冷やしたと思いますよ。
頭部以外は見つかってません。それでね、このときはまだ、

私を含めて誰も、神社の落雷と関係づけて考えるものはいなかったん
ですが、社に電話での情報提供があったんです。提供者は職業上の
秘密でお知らせできないんですけど、介護士の事件ね。その深夜、
事件があった路上で異様なものを見たって言うんです。
普通の人間の倍、3m以上もある生き物が道路にいたと。
最初は何だかわからず、車で近づいていくと、ヘッドライトに
照らされたのは、その人の話によれば、いくつもの裸の死体が
組み合わさって、一つの大きな人間の形をしたもの。恐ろしくて
はっきりは見なかったが、5,6体分はあったということです。
頭の部分は、大きく開いた人間の足が空に突き出した形で、
鬼の角にも見えたということでした。・・・でも、さすがに

信じるのは無理ですよね。その方は、警察に言っても本気にして
もらえないだろうから、新聞社に電話したと言ってましたが、こちらと
しては、やはり警察に連絡するようにお勧めするしかなかったです。
でね、後日、まったく別の人から情報提供があり、主婦が殺されたと
考えられる夜、橋の上を歩いてると、下の川原にバケモノが
いたという内容でした。街灯の光に照らされたそれは、最初の提供者の
目撃談と一致してたんです。数人の体が複雑に組み合わさってできた
巨大な人型のものが、首のない女性の死体を抱えて歩き、そのまま
川の中に入っていったという・・・ええ、天を向いて突き出した
2本の足が、鬼の角に見えたというのも同じです。ありえないんですが、
そんな嘘をついて、何か提供者に得があるわけでもありません。

それで、社として正式に警察に情報を持っていったわけです。
その後、警察では中央に連絡し、警視庁や、神社本庁などから多数の
人が来たみたいです。みたいです、というのは、この後、
情報が警察から一切出てこなくなったからで。取材拒否に近い
形でした。これは全国紙やテレビ局も同じ。ね、あるときを境に、
ニュースでもこの事件の報道ががくんと減りましたよね。おそらく、
上から手が回ったんだと思います。・・・この後、殺人事件は打ち止め、
高齢者の行方不明もなくなりました。ただ・・・後日談がありまして、
死んだ介護職員ね、施設の入居者にひどい暴力をふるってたことが
発覚したんです。あと、女性のほうも、寝たきりの舅を虐待していた
という噂が近所に広まっていたことがわかったんですよ。

キャプチャ




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