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アーカイブ お経と怪談

2020.09.22 (Tue)
今回はこういうお題でいきます。わりと真面目な内容です。
さて、怪談でよくある金縛りですが、寝ているときに、生きた人ではない
何者かにのしかかられる。それは鎧兜姿の落武者だったり、
血まみれの女だったりすることが多いですよね。このときにお経を
短く唱えるというシーンもけっこう出てきます。

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まあ、それで退散してくれればいいんですが、中には、
「そんなの効かないわよ」とか「それで消えると思ってるの」とか
霊が言う場合があります。怪談としてひとひねりして、
救いのない怖さを強調してるんですね。

でも、仏教的に考えれば、これは少し違和感があります。どうしてかは、
だんだんにお話していきます。このときに唱えるお経が「南無阿弥陀仏」
だった場合、これは浄土宗か浄土真宗の「念仏(名号)」です。また、
「南無妙法蓮華経」のときには、日蓮宗の「題目」になります。

浄土宗も日蓮宗も鎌倉新仏教といわれ、浄土宗は法然、浄土真宗はその弟子の
親鸞、日蓮宗は日蓮が始めました。では、これらの諸宗にはどういった
特徴があるんでしょうか。まずは、大衆を救済するための大乗仏教だと
いうことです。ですから、出家しなくても誰でも修行できます。

法然
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さて、鎌倉時代といえば、すでに末法時代に入っています。
お釈迦様が入寂して後、1000年が正法の世、次の500年が像法の世。
正法は正しい教えのもとで修行する人が多い時代、像法は、修行者に姿形が
似た者はいるが、悟りを開く人はいない時代です。そして、教えはかろうじて
残っているものの、修行する人がいなくなる1万年の末法時代が始まります。

日本では、1052年から末法時代に入ると考えられていました。
そして源平の争乱が起こり、鎌倉時代になると、地震や飢饉、
疫病が頻発し、人々は疲弊して、今が末法時代ということを体感するように
なります。そこで、立ち上がったのが鎌倉新仏教の担い手たちです。

末法の世の中で広く民衆を救済するため、彼らが考え出したのが、
「選択 せんじゃく」 「易行 いぎょう」 「専修 せんじゅ」です。
選択は、救済される方法を民衆の一人ひとりが選ぶこと。
易行は、難しい内容ではなく誰もができる形で修行すること。
専修は、それだけにひたすらうち込むこと。

阿弥陀如来
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浄土宗系であれば、まず、自分は阿弥陀如来に救ってもらいたいと願う。
その上で、誰でもできる「南無阿弥陀仏」の念仏を唱える。
「南無」の部分は、英語で言えば great みたいな感じで、
偉大な阿弥陀仏という意味。そして生活の中で、機会があるごとに
とにかく念仏を唱え続ける。これだけで救われるんです。

この当時は文字を読めない人も多く、まして漢文やサンスクリット語の
音訳で書かれているお経を唱えることができるはずもありません。
また、日々の暮らしに追われて、瞑想や座禅の時間もとれない。
そういう民衆こそを救済しようというのが、鎌倉新仏教の工夫でした。

阿弥陀仏は無量光仏とも言い、梵語の「アミターバ」の訳です。
仏教を修行して仏になった一人で、西方浄土に住んでいます。
鎌倉の大仏様は阿弥陀仏ですね。阿弥陀仏はもともとは人間で、
仏教を修行するにあたって48の誓い(大願)を立てました。
そして、悟りを開いて見事に仏になります。

その誓いのうちの一つが、「念仏を唱えるすべての大衆を救済する」
というもの。浄土宗の開祖 法然は、数ある中から阿弥陀仏のことを書いた
経に出会い、感動して、自分はこの大願を民衆に広めようと決意します。
そして、ただひたすら南無阿弥陀仏という念仏を唱えるだけで
極楽往生できるとしました。これがいわゆる「専修念仏」です。

親鸞
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法然の教えをさらに発展させた親鸞は、浄土真宗を開いて、
有名な「悪人正機説」を説きます。善人でさえ阿弥陀仏の力で救われるのに、
本当に救いが必要な悪人が救われないわけがない、むしろ悪人こそ、
阿弥陀仏の救済の対象としてふさわしい という内容です。

さて、最初の話に戻って、念仏は阿弥陀仏の力におすがりして、
自分自身が極楽往生するためのものですので、幽霊を祓うにはあんまり
ふさわしくないんです。南無妙法蓮華経のほうも、日蓮が、
あらゆる経の中で最高のものが「法華経」であり、この経の名を唱える
だけで誰でも成仏できるとしました。ですから、お題目と言うわけです。

霊になって迷っているものを祓う、成仏させるためには、どちらかというと、
隠された教えである密教系の「般若心経」などのほうが適しているでしょう。
あるいは「尊勝陀羅尼 そんしょうだらに」というお経。これも密教系で、
唱える事によって滅罪、生善、息災延命などの利益がこの世で得られるとして
日本でも古くから知られ、数多くの霊験談が残されています。

梵語で書かれた「尊勝陀羅尼経」
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『今昔物語』では、百鬼夜行に巻き込まれたとき、この陀羅尼を唱えたり、
書き写した護符を身につけていれば、鬼の目から自分の姿が見えなくなり、
命が助かるといった話がいくつか出てきます。尊勝陀羅尼を書いた紙は
お守りの中に入れたり、着物に縫いつけたりしました。

さてさて、ということで、お経の意味についてみてきました。
ここまで読まれた方がどのくらいいるでしょうか。かなり退屈な内容
だったかと思います。自分は仕事上、何人かの能力者の方にお会いしていますが、
仏教系の場合は、やはり真言宗の密教者が多いですね。では、今回はこのへんで。

真言密教の加持祈祷
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