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怖い話のパターン1

2014.02.23 (Sun)
怖い話のパターンについて少し書いてみます。
「~を見た、体験した」系
ネットで見る怖い話はじつはこれが一番多いんですが・・・
「夜道を歩いていたら、水を張った田んぼの中で人が這いまわっていた。
よく見たら首がなかった。驚いて逃げながら振り返ってみると姿が消えていた。
あれはいったい何だったんだろう」というようなものですが、
・・・これだとさすがにあんまりですよね。よい評価がされることはないでしょう。
もしこれ系で話を組み立てるとしたら、
見たもの、体験したことのイメージがよほど強烈でないと成立しないと思いますが、
首なしとか、血まみれの人を出したから怖くなるわけでもないんです。

次によく出てくるのが「タブーを破る」系の話です。
「見るなのタブー」と言われる、世界各地に昔からある神話のパターンを踏襲しています。
ギリシャ神話のパンドラの箱の話は有名ですよね。
日本でも『古事記』で、豊玉姫が産屋に入っているところを、
見るなと言われていたにもかかわらず山幸彦が見てしまう。
すると姫は巨大なサメに姿を変えていたという話があります。
これが『鶴の恩返し』とかに変形して後世まで続いているんでしょう。
『雪女』なんかもそうですよね。「私のことを人に言ってはいけない」
という約束を破った男を雪女は凍らせにくるわけです。

怪談だと「田舎に行ったら、じいさんに裏の山に入るなと言われた。
でもバカバカしいと思って入ってしまった。すると・・・」というような話が多いです。
そして何かの怪異に憑りつかれてしまい、
じいさんにボコボコにされた上で住職等の祈祷を受けることになるw
これ系の話もあまりに類似パターンが出てしまっているので、
よほど新味を出さないと評価は高くならないと思います。
おそらく「無用な好奇心を持つな」といった教訓が含まれているんでしょうが、
それだけでなく「言われたことを守らなかった」という罪悪感が怪異を受ける側に生まれます。
この罪悪感というのは、怪談の一つのキーではあるんです。
幽霊話が怖いのは、人間が無意識に持っている罪悪感のようなものに働きかけるからだ、
という説もあるんですね。

心霊スポット探訪の話も、タブーを破るという点では似ています。
心霊スポットというのは、他人の所有地であるからむやみに入ると不法侵入になるのとは別に、
現代の禁域的な場所と言えるのではないでしょうか。
昔は、入ってはいけない禁足地というのがありましたが、
そのようなものが信じられなくなったかわりに、
入ってはいけない場所としての役目を担うようになったと言えば大げさでしょうか。
ただこのパターンの場合、
遊び半分で入った当人らはタブーを破っているわけだから祟られれば怖いでしょうが、
話を読む側が、DQNが不謹慎なことをした報いだから祟られてザマミロ、
という感想を持ちかねません。そこらあたりが難しいと思います。

次に呪い系の話。自分の書く怪談はこれがかなりの割合を占めています。
なぜ呪い系の話が多いかというと、生きた人間の悪意を書くことができるからです。
この悪意には2パターンあって、一つは自分が他人に害を与え、
その復讐として呪われる場合。
これだと上記したように、悪人が自分の罪悪によって滅びていくのは痛快、
ととられることがあります。
『四谷怪談』なども基本は勧善懲悪の話ですよね。
もう一つのパターンは、自分は何も悪いことをしていないのに、
ただ存在が不都合だからという理由で呪いによって排除されてしまう場合、
あるいは実験のためなどの理由で呪いを受けてしまう場合です。

このケースは、自分には罪がないのだから理不尽ですよね。
この理不尽さというのも怪談の一つのキーになると思います。
「生贄」や「人柱」の話なども、当人にすれば理不尽この上ないことです。
・・・ここまでで書いた「罪悪感」「理不尽」この二つはかけ離れているようで、
じつは表裏をなしているのではないでしょうか。
これらをうまく組み合わせて怪談を書いていけたらいいなと思っています。
この項は続きます。

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コメント
なんだかわけもわからずに始まっていてなんだかわけもわからないうちに終わっているのにぞっとする話もありますよね。

ハーンの「盃の中」(でしたっけ?)なんてそういう意味の傑作でした。

わたしが恐怖小説の最高傑作だと思っているハーヴィーの「炎天」とか、これといった呪いもなければ悪意もないのに気がつくと恐怖のどん底にいる、そういうホラーを書けたらいいなあとつねづね思ってるんですがねえ。

そこには「運命」というアノニムな悪意があるといっちゃそうなんですけれども。
ポール・ブリッツ | 2014.02.23 08:10 | 編集
コメントありがとうございます。
ハーヴィーの「炎天」というのは墓石屋が出てくる話でしたよね。
作品背景のバックに炎熱猛暑があり、世界がぐんにゃりとゆがむような感じの話。
もちろん傑作ですし、着想が素晴らしいと思います。
ああいう発想は一生のうちに一度でるかでないかかもしれません。
作品としての構成も全体を覆う雰囲気もかっちりきまっている。
・・・ただ、自分はホラーや奇妙な味短編ではなくて実話(的)怪談を書いているので、
あそこまでピタッときまったものは、怪談ぽくないんですよね。
おそらくネットの掲示板に投稿されると、絶賛する人は多いと思いますが、
「あざとい」「できすぎ」というような評価もあると思います。
そのあたりがなかなか難しいです。

bigbossman | 2014.02.23 09:34 | 編集
> これ系の話もあまりに類似パターンが出てしまっているの> で、よほど新味を出さないと評価は高くならないと思います。

確かに新味がないと評価が高くならないというのはありつつ。
でも、今の怪談ファン(実話怪談ファン)って、ある意味パターン化されたお話こそ、面白いと感じる面があるような気がしません?(笑)

超-1系の怪談話なんか、
一時期は、ほとんどそんな感があったような気がするんですよねー(クスクス…)


あ、そうそう。
そういえば、超-1って今年はどうなっちゃったんですか?
昨年なんか、全然投稿がなかったこともあり、やっぱり中止ってことなのかな?とも思うんですけど。
もし、ご存知でしたら教えてください。

まー、いずれにしても。
私としては、
怪談は、一度ガラガラポンすべき時期なんじゃないのかなーって気がします。
ひゃく | 2014.02.23 17:58 | 編集
 こんにちは。
実話怪談のフアンもディープな層からライトな層までいると思うので一概には言えないんですが、
2chのオカルト板の専門スレだと、心霊スポット訪問のようなパターン化した話は嫌われてますね。
ただ、あまり新しい傾向の話を追い求めていくとかえって現実っぽさが薄れるような気はします。
下手なホラー小説みたいになるというか。
 自分もよくわからないですが、超-1はもうやらないんじゃないですかね。
怪談作家がもう飽和状態に達した感があるので。今後はあの中で力のある人はミステリとか
普通小説とか他分野い出て行くんじゃないでしょうか。


bigbossman | 2014.02.23 23:10 | 編集
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