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「実話」怪談と取材

2021.02.07 (Sun)
fff (1)

今回はこういうお題でいきます。怪談論ですね。
当ブログで書いてるのは、創作の怖い話、創作怪談です。
読んでくださる方はおわかりでしょうが、実際にはまず
ありえないような話ばかりですよね。

これが実話だと言っても、信じない人がほとんどでしょう。
では、なぜ自分が創作怪談と明言しているのか。これには
いくつかの理由があります。まず一番大きいのは、
当ブログには1000話以上の話がありますが、
一人の人間が1000も実話を収集できないからです。

二つめは、創作と最初に宣言しておいたほうが、書く内容の
自由度が高まるからです。オカルト知識を活かしながら
想像の翼を広げ、かなり奇抜な話を創り出すことができます。
これが、書いていても楽しいんですね。

みなさんの中で実話怪談を収集された方が もしいればわかると
思いますが、実際に人から取材する話って類型的で、
しかも深みがないんです。怪談の分類で言えば「〇〇を見た」系
のものがすごく多い。例えば、出張時にホテルの部屋で寝たら
金縛りになり、血まみれの女がのしかかってきたとか。

それを体験した本人はたいへん怖かったと思いますが、
でも、どこにでもあるような内容でインパクトがないですよね。
しかも、見る前に睡眠麻痺になっているところから、自分で
作り出した幻覚である可能性がきわめて高い。これは、
のしかかってきたのが落武者とか兵隊さんでも同じです。

それから、体験談は「虫の知らせ」系がやはり多いんです。
例をあげると、仏間で風もないのに鴨居の遺影が落ちた、
ロウソク立てが転がった。それからほどなくして、長く入院してた
親戚や友人が亡くなったという知らせがくる。ただの偶然である
可能も高いし、そんなの聞いてて面白いですか。

ですから、実際に取材して話として使える怪談というのは、
20に一つあるかどうかくらいです。これ、その怪談作家が
雑誌やラジオなどでやっていて、視聴者からたくさんきた
お便りを見るというなら、話もハイペースで集まるでしょうが、

fff (2)

体験者一人ひとりと実際に会って話を聞くとなると、ちょっと
ありえないほどの時間と費用がかかるんです。もしプロとして
やってるなら、採算が取れるとは思えません。自分はプロでは
ありませんが、本業があって時間が足りません。ということで、
これらの理由から、創作ということを明言してやってるんですね。

創作のいいところは、構成を工夫し、伏線を入れることができる
ところですが、伏線もあまり張りすぎると、あざとくなって
しまいます。そのあたりの調整が難しい。あと、小説ではないので
必ずしもオチは必要ではなく、謎が残ってもかまいません。
そのほうが不気味な余韻がありますよね。

さて、では理想的な実話怪談というのはどういうものか。
これはあくまで自分の考えで、賛同されない方も多いと思いますが、
実際の情報が多く、しかもそれが検証されてるものと考えます。
どういうことかというと、こんな話を聞いたとします。

「3人で地元で心霊スポットと言われている廃病院に行った。
そこでは何も起きず、写真を撮り、一人が手術室からハサミを
拾って持ってきた。その後、3人の携帯それぞれに電話が
かかってきて、女の声でハサミをお返し下さいと言われた。
後に確認したら、携帯に着信履歴はなかった」

この話では、不法侵入してるでしょうから、体験者3人の氏名は
さすがに明らかにはできないでしょうが、廃病院の名と住所くらいは
発表したいですよね。まあ、そうするとその話を聞いて
そこに凸する人が増えるからマズいということもあるので、
そこもゆずって、発表できないとします。

じゃあ、どうすればそれが「実話」となるのか。取材者はその3人に
個別に会うべきだと思います。話を聞いて、それぞれの話に齟齬が
ないかを突き合わせる。また、現場で撮った写真も見せてもらう。
ハサミも、まだ持ってるなら見せてもらいたいですね。
さらに、実際にその廃病院に行ってみる。

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許可を得るのはなかなか難しいでしょうが、そこはなんとか。
もし廃病院に入れなくても、近所に住む人から
取材することはできます。もちろん、ここまでやっても実話という
確証が得られるわけではないです。3人が口裏を合わせて
嘘をついている可能性もあります。

でも、これならかなり信憑性が増しますよね。取材者も
後日談を得られるかもしれません。「実話です」と
言い切るのなら、そこまでやるべきかとも思います。
たんに「人から聞いたものだから実話」とするなら、
どんどん実話のハードルが低くなっていくんじゃないかな。

さてさて、とは言っても、最初のほうで書いたように、
ここまで取材をすると、まず採算が合わなくなります。
集まる怪談も年に10話程度。それではやっていけません。
もしこれが、北野誠氏らの「お前ら行くな」のように、

検証そのものが番組になり、DVDになってお金を産む
というのならまた話は別ですが、一般的な怪談作家はそうは
できません。こういった難しい問題が実話怪談を取りまいて
るんです。では、今回はこのへんで。




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コメント
いつも楽しみに拝読しています。
当記事を読んで思ったのですが、
綺堂の「青蛙堂鬼談」「三浦老人夜話」あたりを意識されていますか?
過去記事で既出でしたら御免なさい。


| 2021.02.07 22:29 | 編集
コメントありがとうございます
岡本綺堂は読んでますが、特に意識したわけではないです
作家の山口敏太郎氏は、綺堂のようなのを文芸怪談としてますね
bigbossman | 2021.02.08 00:23 | 編集
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