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式仕舞いの話

2021.02.15 (Mon)
bigbossmanです。今回もまた、ボランテイア霊能者であるKさんと
ごいっしょさせていただいたときの話です。
ただし、ホテルのバーでの会話だけでなく、後半は実際に現地に
行っての活劇もあります。これは今から2年前くらいのころですね、
「Kさん、最近は何か霊障事件がありましたか」 「ああ、あった。
 というか現在進行形なんだが」 「聞かせてくれますよね」
「ああ、それだけじゃなく、人手が足りないんで、お前にも
 手伝ってもらうかもしれん」 「あ、それはかまいませんが、
 自分は霊感はありませんよ」 「わかってる。プロが同行して
 くれるから心配はいらん。お前はまあ、雑用係だ」
「ああ、はいはい。発端はどんなことです?」

「ある町でのことだ。最初は、風呂場の覗きだ」 「え?」
「といっても、覗かれたのはジイさんだけどな」 「どういうことです」 
「仮にAさんとしておこうか。60代後半で、再雇用で町立病院付属の
 レストランで働いてる。一軒家で一人暮らしだ」 「今はたいへん
 ですよね。地方は特に、60代、70代でも働いてる人が多い」
「うん、貧困老人ということもあるが、若いやつがいないせいで、
 仕事があるんだよな。それでな、Aさん、2週間前の夜の9時過ぎ、
 自宅の風呂に入ってたんだ。風呂場は外に面してるが、道との
 間にブロック塀がある」 「はい」 「で、風呂場のくもりガラスに何かが
 映ってることに気がついた。ふだん、そんな影はないのに」 
「はい」 「しかもその影は動いてる。つまり、塀を越えて

 Aさんの家の敷地に何者かが侵入し、風呂場のサッシの前にいる」
「はい」 「泥棒? まさか覗きということはないだろう、年寄の
 一人暮らしというのは、地域のものはみんな知ってる、
 Aさんはそう考え、声もかけず、思い切ってサッシを開けてみた
 そうだ」 「はい」 「そしたら・・・」 「何がいたんです」
「道からの街灯の光で見えたのは動物の頭」 「なんだ人間じゃないのか」
「ああ、けどな、その動物に頭が3つあったとしたらどうだ」
「え?!」 「Aさんが見たのは、真ん中にタヌキ、その両側に
 ムジナとキツネの頭が生えたもの、それが直立して風呂場の
 窓の前にいた」 「ムジナというのはアナグマのことですね。
 3匹がいっしょにいたんじゃなくて?」 「いや、胴体は一つ

 だったそうだ」 「えー、信じがたいです」 「Aさんは確かに
 見たと言ってる。そのとき、驚きのあまり後ろにひっくり返って
 肘を骨折した。そのまま這うようにして風呂場を出て、警察に
 連絡したんだ」 「で、どうなったんですか」 「パトカーが
 駆けつけたときには何もいなかったそうだ。けど、下の地面に
 動物の毛らしいものが落ちてた」 「うーん、ジイさん、酒飲んで
 たんじゃないですか」 「ああ、晩酌はしたと言ってたが、
 缶ビール1本だけ」 「ジイさんがノラ猫かなんかを見間違えた
 というのが一番ありそうですけど」 「まあな、そんとき見たのは
 Aさん一人だけだからな。けど、その2日後に、町中がひっくり返る
 ような出来事があった」 「どんな?」 「その町は山沿いにあってな、

 ほぼ町の中央を流れの速い川が通ってる」 「はい」
「橋も何本もかかってるんだが、川の水面に近いところを顔が流れてった
 という通報がいくつも警察に入ったんだ」 「顔?」
「そうだ、しかもただの顔じゃなく、縦横2mはあったそうだよ」
「えー、嘘でしょう」 「いや、目撃者は40人くらいいるんだが、
 その証言はほぼ一致してる。巨大な女の顔、40代くらいの中年女性と
 いう意見が多かったが、それがニヤニヤ笑いを浮かべながら、
 流れに乗ってスーッと通り過ぎていったそうだ」 
「それ、顔を上に向けた巨人の女が、川の中を歩いてったってことですか」
「いや、体を見た人はいない。顔だけ」 「で、どうなったんです」
「通報を受けた警察も困ってしまってな」 「そうでしょうね」

「いちおう警官を出して川岸を捜索させたが、おかしなものは見つからない」
「で」 「しかし目撃者40人というのは重いだろ、それで署長が、
 町に一つだけある神社の宮司に相談した」 「はい」
「その宮司が神社本庁に連絡し、さらにそっから俺に話が回ってきた」
「どうしました?」 「最初はむろん、変な話だなあと思ったが、
 その町の場所を聞いて事情がすぐ飲み込めた」 「それ、どこですか」
「〇〇県の〇〇町」 「え? あ、もしかして」 「お前もわかったようだな」
「つい去年、教祖が亡くなって解散したばかりの新興宗教の霊堂が
 山麓にあるとこですよね」 「そうだ、集団生活してた信者も
 ちりじりになって、その建物は荒れている」 「えーと、たしか、
 珍しい陰陽道系の宗派でしたよね」 「そう、教祖は陰陽師を称してた」

「どうするんです」 「来週初めに、神社本庁の専門家と現地に行く」
「自分もついてっていいんですよね」 「さっきそう言ったろ」
「ありがとうございます」と、こんな会話があって、Kさんのレンジローバーに
自分と専門家が乗せてもらい、3人でその町に向かいました。
神社本庁のプロは40代くらいですかね。自分とKさんのちょうど
中間くらいの年配。神職の装束はつけておらず、ジャージ姿でした。
ここからは車の中での会話です。自分が「その新興宗教の教祖、陰陽師を
 名のるだけあって、式神をつくってたんですね」 「そうだ」とKさん。
「式神って、作った本人が亡くなると消えちゃうんじゃないんですか」
「普通はそうだが、タネのあるものは消えない」 「タネ?」
「力のある陰陽師なら、何もないとこから式を作り出せるが、

 半端な霊力だと、式のタネになるものが必要なんだ」 「意味が
 わかりません」 「粘土で人形を作るとして、中に針金とかで芯を入れないと、
 すぐ手足が くたっちゃうだろ」 「ああ、何となく理解できてきました」
ここで、プロの人が口を開き、「今度の始末はそう難しいことじゃないが、
 力仕事が必要でね。だからあなたに来てもらいました」そう言ったんです。
レンジローバーは町の中心部を抜けて山に向かい、やがてだだっ広い
道路に出ました。「これは?」 「教団の霊堂にしか通じない道だよ」
「立派ですね。お金が相当あったんでしょうね」 「ああ。ただ、その教団、
 後継者を決めてなかったから。教祖が一代で興して、後継者がいない場合、
 四分五裂してしまうことが多いんだよ」 「なるほど」
そうしてるうち、金色に塗られた下品な感じの霊堂が見えてきましたが、

放置されて1年、背後の山から飛んできた落葉がそこかしこに積もってましたね。
その前庭に車を停め、プロがカーゴから木材を出して祭壇を築きました。
神道式とは言えない見たことのない形の。「郷に入っては郷に従え」と
プロが言い、それで、古式陰陽道のものだとわかったんです。その前で火を焚き、
プロが祝詞ともお経ともつかないものを唱え始めると、風はなかったのに、
近くの落葉が舞い始めました。Kさんが車から木でできた剣を出して身構え、
自分もあたりに気を配ってると、ザザッと積もった落葉が盛り上がり、
こちらに一直線に進んできて、すぐ前まで来たと思ったとき、Kさんが木剣を
軽く振りました。クオンという鳴き声が聞こえ、中空に動物3匹が かたまった
ものが姿を現し、すぐに骨になって崩れ落ちたんです。「それが芯だ」とKさん。
で、骨と祭壇はそのままにし、プロが「水場を探そう」と言い、3人で霊堂の

裏に回ると、幼稚園児用くらいの浅いプールがあったんです。プールの
中も落葉だらけでしたが、くるぶしくらいまで水が残ってました。
プロはその場でまた呪言を唱え始め、するとプールの端のほうで落葉と
水がぶわっ持ち上がったんです。Kさんはズボンが濡れるのもかまわず、
そちらに走りより、真上から木剣を振り下ろし・・・ブチッと太い綱が
切れるような音がしました。で、そこに浮かんできたのは2m近い大きな
甲羅だったんです。亀じゃなくスッポンだと思いました。「大スッポンだ、
 アフリカから輸入したんだろう」 「これが式神の芯」 「そう、タヌキ、
 キツネ、ムジナの骨を混ぜたものとこの大スッポンで、2体の式神を作ってた、
 それを今、仕舞い終えたんだよ。さ、こっからはお前の仕事だ。
 この甲羅、かなり重そうだが、車まで運ぶぞ」 「う」

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