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2014.04.20 (Sun)
つい昨日起きたことだが、場所とか詳細はしゃべれないんだ。
いろいろとマズイんで勘弁してほしい。
俺のアパートに今の彼女のU美がきてたときに、友達のことを相談された。
それが実に気味悪い話だったんだ。
その友達・・・Fさん、としとくか・・・は俺らと同じ大学の理系の学部の3年生で、
女性だけのアパートに住んでる。

で、Fさんはその3日前・・・だから今から4日前、
研究室で他の仲間と実験をしてかなり帰りが遅くなったそうだ。
まだ12時前ではあったそうだが、駅からアパートまでの住宅街の人気のない道を歩いていた。
ちょっとした児童公園の横を通りかかったとき、
トイレ脇の街路樹の枝に大きなものがかすかに揺れてるのを見つけてしまった。
何だろうと思ってもう少し先に進むと、トイレの常夜灯があたってて正面から見てしまった。

40代くらいのスーツを着た男が首を吊ってた。はっきり見えたんだそうだ・・・
涙と、舌でも噛んだのか口から吐いた血でべしょべしょの苦悶に歪んだ顔。
ショックで後ろに倒れそうになったものの、なんとかしゃがみこんで携帯で警察に通報した。
あとは必死に近くの民家まで走っていってチャイムを鳴らして知らせたんだそうだ。
時間が時間だけになかなか出てこなかったが、やっと主人が顔を見せたあたりで、
パトカーと救急車がほぼ同時に到着した。

首吊り男は救急隊員が死亡判定をし、まだ自殺を試みて間もないということで病院に搬送され、
Fさんは1時間近く警察に事情を聴取された。
やっと解放され、アパートに戻ってシャワーを浴びて寝たら、
その明け方にだれかがアパートに来たらしいんだ。
ドアを叩くというか、力なく膝をぶつけるような音がくり返されていて目が覚めた。
時計を見ると朝の4時。

すごく怖かったそうだ。そんな朝方に訪ねてくる人はいないし、昨夜のことがあったから。
それでドアにはいかずにベッドの中で身を固くしていた。
「ズルッ、ベタン」という音は3分くらい続いて気配が消えた。
朝、明るくなってから部屋の外に出たら、
スチールのドアの上部に茶色い字のようなものがあった。
何と書いてたかわからなかった。よく見ずにキッチンペーパーで拭き取って捨てたから。
その後大学に出たが、その日は早く帰った。
もう一度事情聴取に警察署に寄るように言われてたからだ。

警察署で、昨夜の男を発見したのは首を吊って比較的すぐのことで、
病院で蘇生を試みたものの亡くなったということを聞いた。
そしてその夜も何かがやってきた。
前の日と同じ時間、同じ音と気配、そして朝に見つけたドアの文字・・・
これもすぐに消したが、「次」と読むことができた。
まったく前夜とそっくりのことがくり返されたんだそうだ。
その日大学で友達だったU美に相談し、U美が俺に話した。

「で、何?それを信じろっていうのか」
「それだけじゃなくて、何が起きてるか確かめてほしいの」
「誰が?」
「〇〇(俺)に決まってるでしょ、Fはずっと彼氏とかいないんだから」
「えー怖いよ w ・・・って真面目な話、それ、えーとPTSDってやつだと思うぞ。
 あまりに衝撃的な出来事に遭遇して、
 心身の調子がおかしくなってるとかじゃないかな」

「夢だってこと?」
「うんまあ、夢かもしれないし、想像かもしれない。
 医者に行くように勧めるのが一番じゃないか」
「じゃあ、ドアの外にあった字はどう解釈するわけ?」
「うーん、たまたまとか自分で書いたとか・・・」
「自分で書くわけがないじゃない。とにかく今からFの部屋にいくから支度して」
「えぇ!?」

ということで夕方6時ころ訪れたFさんのアパートは、
マンションといって通るくらい立派だった。
とはいえアパートはアパート、コンクリートの廊下は外に面してた。
中に通されると内装も俺の部屋とは大違いで、
Fさんはかなり真面目そうな雰囲気の人だった。そこであらためて話を聞いたんだ。
前にしゃべった、男の自殺前後の様子がやけに詳しいのは、
U美の話というよりFさん本人から直接に事情を聞いたからなんだよ。

俺が医者に行くように勧めたら、Fさんは顔を曇らせて「そうしてみます」と言った。
そしたらU美が「明日病院にいってみるのは大賛成だけど、今夜も来るかもしれないでしょ。
ホントに幽霊とかだったらどうするの?」
「いやでも・・・」
「朝4時にくるってわかってるんだから、
 その時間にもう一度ここにきて何が起きてるのか確かめようよ。
 そのほうがFも安心だろうし」
「えぇ!?」

ということになってしまった。
まあ次の日の授業は11時からだから時間は問題はないとして、
Fさんのアパートは女性用の一間で、U美といっしょでも泊まり込むわけにもいかない。
かといって朝の4時にここの廊下を見張ってるとかもできないだろう。
俺自身が変質者とかストーカーにされてしまう可能性がある。
そうU美に言うと「じゃあ私もいっしょにくる」
・・・こうまで言われてやらないわけにはいかないだろ。

U美も翌日はあまり予定がないらしく、3時過ぎまで起きて俺の部屋で過ごし、
歩きでFさんのアパートを再訪した。
街路からFさんのアパートの廊下が見える。街灯もあって明るいし、
ここにカップルで立ってる分には変質者と間違えられることはないだろうと思った。
「今、3時50分」U美がささやいた。
4時・・・少し前にFさんの部屋のドアが開いて、Tシャツ姿のFさんが出てきた。
「・・・えー」低い声でU美が言った。

Fさんはスチールの一枚ドアにもたれかかるようにして、ヒザをぶつけ始めた。
音は下までは聞こえてこなかった。
「ほら、やっぱり自分でやってるんだ」「どうしよう」
「今は催眠状態に近い感じになってるだろうから、U美、携帯で動画を撮れよ。
 後で見せてあげればFさんも自分がやってたって納得するだろう」
「・・・うん、わかった」
そのときFさんが右手をあげ、その指が黒く見えた。血で染まってるように思ったんだ。

Fさんはドアに指で何かを書こうとしていた。「あ、なんかマズイかも」予定を変更し、
俺はアパート内に走り込み階段を駆け上がった。
U美も後を追ってきたようだ。「あの、Fさーん」
呼びかけた声も届かず、タッチの差でFさんは中に入ってしまった。
U美と一緒にドアの前で並んでチャイムを鳴らしたが、
インターホンの返事は返ってこない。
ドアの顔より上の高さに、赤黒い字で確かに「次」と書かれていた。

すごく嫌な予感がした。ドアノブに手をかけると開いていた。
そっと入って、玄関と部屋の仕切り戸を開けたとたんU美が絶叫した。
Fさんが部屋の反対側の窓際で首を吊っていたんだ。
首を吊ってから物干しロープをほどこうともがいたのか、
だらりと垂れた右手が乾いた血で黒く染まっていた。
俺は叫んでいるU美をドアの外に連れ出し、警察を呼んだ。
・・・警察へはまる1日拘束され、説明は困難をきわめた。

とうてい信じてもらえるような話ではないからしかたがない。もっと信じがたいことに、
午後からの警察の説明では、Fさんは死後8時間はたっていると推定されるということだった。
つまり、俺らがFさんの部屋を去った直後に首を吊ったということになる。
ありえないよ。朝、廊下で見たのは間違いなくFさんだった。
別々に聞かれた俺とU美の話の内容が一致していなかったら、
帰してもらえなかったかもしれない。
次の日もまた事情聴取されることになり、ため息をつきながらU美を部屋に送った。

ああ、トンデモないことにかかわってしまった。
俺らが殺したと思わないまでも、あの説明で警察がぜったい理解するはずがない。
事実とはいえ、当事者の俺自身でさえまったく納得できてはいないからだ。
暗い気分でモソモソ飯を食い、メールも何もせずに早く寝た。
夜中は特に物音とか聞かなかったと思うが、起きてすぐ戸を確認すると、
「次」の文字があり、右手の指先が黒く染まっていた。
で、今日も事情聴取があって、その帰りどうしても話を聞いてほしくてここでしゃべってる。
ああ、U美の部屋には文字はなかったらしいが・・・いったいこの後、俺はどうしたら・・・


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