道路工事

2014.04.20 (Sun)
いや、前の人の話ヤバイスね。「次」って次に死ぬ番って意味なんじゃないスか?
・・・バイトしてたんスよ建設会社で。いやそんな大会社じゃないっス。
地元には大会社なんてないんス。みな零細。
俺は高校を1年で中退してて、フリーターと言うと響きがいいけど、
まあ俺らの地元じゃプータローって呼ばれるんス。
3年ばかり遊んでると、親がいつまでもそんなことじゃダメだって怒りまして、
ムリヤリ知り合いの建設会社に行かされたんスよ。
で、そこの親父が1年真面目に頑張ったら正社員にしてやってもいいぞって言って・・・
別に土方になりたいわけでもないんスけど、自分としては真面目にやってたつもりっス。
1年くらい前の話っス。

その日は古いむき出しの側溝をフタつきの新規格のに変える工事で、
前も何度かやったことがあるそんな難しくないやつだったんス。
それに場所が私道だから、
通行止めとか交通整理とか気にしなくてもよくて楽なもんだと思ってたんス。
ただその日はね、なんか仕事がはかどらなくて・・・
機材が壊れたとか、資材が届いてなかったとか、妙にうまくいかないことが続いたんス。
こういうことはホントたまにあって、先輩たちは場所が悪いってよく言ってたスね。
土地ってのはずっと昔・・えー縄文時代とか?からいろんなことに使われてるっスよね。
ずっと同じ人が住んでるわけじゃあなくて。
古い地層ほど当然下にあるんスけど、なんでもない街角の下に
古代のお祭りの跡とかが埋もれてることがあったりするらしいんス。

先輩たちも嫌な気を感じてたみたいで、早く終わらせようとすればするほど
なんか厄介事が起きる・・・そんな状況でした。
それでもなんとか終わりが見えてきたとき、俺の掘ってた地面が、
50cmばかりボカッと陥没したんス。
最初は「あれ、ガス管とかか」と思いましたが、のぞいて見ると異様に深いんス。
声を上げて監督の先輩に知らせると、投光機持ってきて中を照らしてましたが、
「ここ、ダメだから」と皆に大声で言ったんス。
最初は、なんかの遺跡を掘り当てたのかと思たんス。
それまでそんな経験なかったから面白そうだなーって。
「ダメって、何なんスか?」と横に立ってのぞき込んだら、
「見るなこら」って肩を押されたんス。・・・でもね見ちゃったんスよ。

人っす。真っ裸の人が上向きで・・・背泳ぎしてるみたいに横切っていったんス。
いや、地下には水が溜まってるわけじゃなくてただの空洞。
女の人だったと思うっス。それも熟女・・・一瞬だったけどそんなふうに思たんスよ。
「ここ今日は切り上げるぞ、明日重機持ってきて埋める」先輩がそう言ったんで、
「あちゃー大事になった」って思たんス。
「先輩、今の何スか?教えて下さいよ」
「んー、ま、お前も今後この仕事続けるんならまた見ることもあるだろうから、
 今晩飲みに行ったときに焼き鳥何本か奢ったら教えてやる」
「それ、ちょっと・・・」
工事はいったん中止になり、
帰りに会社近くの居酒屋に寄ったときに教えてもらえることになったんス。

で、居酒屋でチューハイ飲みながらっス。
「お前が掘り当てたのはなあ・・・言って信じるかわからんが・・・生霊の通り道だ」
「生霊・・・生きてる人の霊ってことスか?」
「たまにあるんだよ。俺が聞いた話だと、死霊は上を通り、生霊は下を通るってことだった。
 死霊はまだ見たことないがな」「・・・下って地面の下・・・」
「そうだ。お前も見ただろうが、あれはどっかあの近所の奥さんで、まだ生きてる人だよ。
 まあ旦那の浮気とかじゃねえかな。
 嫉妬心が嵩じて嵩じて、ああやって地下を通ってどっか行って悪さをしてるんだと思う。
 おおかた浮気相手の女の家とかだろうな。
 でなきゃ、あのあたりの奥様どうしの見栄張り合戦からくる仲違いとか」
「信じられないっス、って言っても確かに見ちゃったスからねえ。穴はどうするんスか?」

「重機で土入れるよ・・・工事に関係がある部分だけな。側溝が陥没しない程度の通り道を残して」
「何で、全部埋めないんスか?」
「そりゃ通り道がなくなって俺らが生霊に恨まれるかもだからよ。
 人の恋路をじゃまするやつは・・・って話があるが、人の恨みもじゃましちゃいけねえんだ」
「はあ、そんなもんすか」
ってことで、焼き鳥奢らされるってのは先輩の冗談だったらしく、
払いは先輩がほとんどしてくれたんス。
まあ俺の話はこれでほとんど終わりなんスけど、それから数ヶ月して事件があったんス。
人死にはなかったけど、地元の新聞やテレビでも報道したんスよ。
いいとこの奥さんがラブホテルに乗り込んで旦那の愛人を刺したっていう傷害事件。
その奥さんの顔写真が、ちらっと見たあんときの生霊に似てるような気が・・・
やっぱ霊になるだけじゃダメなんスかね。


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コメント
 私の勉強不足ゆえか「死霊は上を通り、生霊は下を通る」は初耳でした。出典があるのでしょうか、オリジナル設定でしょうか、どちらにせよ興味深いです。
 それにしても、いつの間にか「数人が集まって体験談を語り合っている」という体になっているのですね。まさに「怖い話します」のタイトルどおり…と。新作ラッシュだったので他にも少し。

>次
 犯人は自分だった! というのは山小屋の死体移動ものを思い出しますが、この話では一捻りしてあって、真実がそうとは限らないのがいいですね。やっぱり怖いですよ、感染・伝播する系の話は。回避手段が提示されていないのも怖さを引き立てます。

>奇術合宿
 「心霊だろ!」「最後に消えたのもマジックなんか!」というツッコミが冷静すぎて少し笑えました。そういえば昔、奇術バー(?)で飲んだことがあります。コインやカードを用いたマジックをマスターが演じてくれるんですね。生で見る手品は、どこか心霊現象を見る驚きに似ているのかも知れません。
| 2014.04.22 00:22 | 編集
コメントありがとうございます
いつのまにか人が来て次々怖い話を語る体裁になってしまいました

生霊・死霊が下・上を通るというのはオリジナルです
ただ寝ている人の霊魂が体を抜けだして地下を進んでいくというのは
どこかで読んでいます 出典は思い出せません

「次」はどっちかというとリレーされる呪い系の話だと思います
犯人が自分だったというのは「過去から来る人」なんかの話もそうです
映画の「エンジェル・ハート」なんかもそうですが、
自分が知らないうちに自分の別の人格が人を殺したり傷つけたりしている
ような話は怖いです
まさかまさかと思いつつ真相に至る過程の怖さですね

「奇術合宿」は自分的にはファンタジー系の物語かと思ってます
bigbossman | 2014.04.22 00:46 | 編集
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