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蛟2

2014.04.26 (Sat)
3日前のことです。彼女とレストランで食事してたんです。
その日は奮発して一人2万円のコースを予約してました。
ワインは別ですが、彼女はまったくお酒が飲めないのでこれは高いものは頼みません。
安サラリーマンにはもちろん金額的に厳しいのですが、実は魂胆がありました。

この後、ホテルの展望バーへ行って、その前後にプロポーズしようと思ってたんです。
指輪も準備してきてました、
事前にどこに行くか話してなかったので、店に入ったときには彼女もびっくりしてましたが、
初めて入った自分もびっくりしました。
お城みたいな内装だったんです。

緊張しながら食前酒をオーダーし、前菜からコースが始まりました。
彼女が言葉少なだったんで、ちょっと後悔が頭をかすめました。
もしかしたらもっと気軽なパスタの店とかのほうがよかったのかも・・・
でも、ポタージュが出た頃には笑顔が戻り、話もはずんできました。
自分は赤ワインを飲み、彼女は前にネットで一杯800円と言うことで話題になった、
有名なミネラルウオーターを飲んでました。

さていよいよメインの仔牛肉というときに、
水のグラスを持っていた彼女の手が顔の前でピタッと止まりました。
その状態が1分ほど続いたので、皿から顔を上げて見ると、
彼女はグラスの中の水を見ているような、
そうでないような焦点の定まらない目つきをしていました。

どうしたんだろう、気分でも悪いのかと思いました。
声をかけようとしたら、彼女は口をすぼめ、
「もうすぐミズチ様が通ります。くれぐれも無礼なことのないように」と、
一語ずつ区切るような棒読み口調で言ったんです。
「え、何だって?、水?・・・ミズチ様って何のことだい?」と僕。

すぐに我に返ったように彼女はグラスを置き、
「あれ、私、何か言った?」と逆に聞いてきました。
「今、水がなんとか、ミズチがどうとか言ったよ。グラスのミネラルウオーターのことじゃない?」
そう言って自分がグラスをとりあげてみましたが、
特に変わった様子はありません。
「何だか気分が悪い・・・」彼女が言いました。

「えー、そんなこれからの予定が・・・」と思ったとき、
オーンというかすかな音が店内に響きました。
そして確かに見たんです。僕の持っていたグラスの中の水が青白い色に変わるのを。
いえ、正確には何か青白いものが一瞬でグラスの中を通ったかのようでした。
ドンと腕に重い衝撃があり、グラスの水が盛大にこぼれ、そのほとんどが彼女にかかりました。
「キャッ、何を・・・」その言葉は最後まで続きませんでした。
なぜなら彼女が、それまで食べたものを吐き始めたからです。

店内の客がみなこっちを見ました。
・・・これで、ディナーは台無しになってしまいしました。
それはしかたがないんですが、問題は、彼女が僕が水をかけたと思ってしまったことです。
この後食事は中断して病院に連れていったんですが、ケンカになってしまいました。
もちろんプロポーズはできず、この2日連絡も拒否されています。
ミズチ・・・様って、なんだか知りませんがトンデモないものみたいですね。


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