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開ける

2014.05.08 (Thu)
ちょうど10年前のことでが、どう話していいかよくわかりません・・・
自分が20歳のときですね。
それまで年に1度か2度・・・奇妙な夢を見ていたんです。
夢というか・・・脅迫観念みたいなものですかね。あんまり具体的な内容じゃないんです。
一人で廃屋の中みたいなところに立っていて、
目の前に1m四方くらいの古びた金庫があるんです。
それを前にして足をかけてドアノブを引っぱってるんですね。
でも、鍵がかかってるみたいでぴくりとも動かない。
とにかく開けなくちゃいけない、開けないと大変なことになってしまう・・・
気ばかりあせるんですが開かない・・・そんな夢なんです。

目が覚めると冬でもびっしょり汗をかいていて、息もすごく荒くなってるんです。
寝ながらかなり力を入れていたみたいで、強く握りしめた右手の指が強ばってました。
そんな夢なんですが、だんだんに見る回数が多くなっていたんです。
2ヶ月に1度になり、月イチになり、やがては週に2度は見るようになりました。
頻度が多くなるにつれて、ぼんやりしていた夢の状況がはっきりとしてきたんです。
廃屋みたいなところは、中学校のときに一人で探検に行った鉱山事務所だと思いました。
自分の家から自転車で20分くらい行ったところにちょっとした鉱山跡があって、
坑道はふさがれていましたが、いくつかのコンクリ製の建物が残っていたんです。
そこに夏休み中なんかに何度か探検に行ったことがあるんです。

何年もかけて、だんだんに思い出してきました。鉱山事務所の最奥の部屋にある金庫なんです。
しかもです・・・この金庫を閉めたのは自分なんですね。
一人で奥の部屋まで入ったのは初めてで、そこに金庫を見つけたんです。
金庫の扉は半ば開いていて、黒々とした内部がのぞいてました。
闇がそこからわき出てるような感じがしたんです。何か入ってるんだろうかと、大きく開いてみました。
・・・そこで見てはいけないものを見たんです。何を見たかは覚えていません。
あまりに怖ろしいもので記憶が思い出すのを拒否してるんじゃないかと思います。
両方の手のひらを強くぶつけるようにして、一瞬で扉を閉めました。
そのとき、鍵がかかったようなカチりという音がしたんです。

夢の中と起きてから考えたので、ここまで思い出しました。
実際にあったこととしか思えません。
それと、そんな怖ろしいものが入ってた金庫なのに、なぜまた開けようとしているのか・・・
これも合理的な解釈が思いつかなかったんですよ、変な話でしょう。
で、夢の状況に変化があらわれました。
あれほどテコでも動きそうもなかった金庫の扉が、少しずつゆるんできたんです。
ノブを押し引きすると、ガクンガクンとあそびが感じられるようになりました。
そして最後の夢です・・・両手でノブを持ち、片足をかけてぶら下がるようにしていると、
チンという鐘の音のようなのが聞こえ、一気に扉が開きました。

ゴウと音がして、強い風と闇が金庫の中から噴き出してきました。
風の中にはたくさんの、たくさんの言葉が混じっていました。
「〇〇しっかりして」「目を覚まして」「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
「ちょっと考えられない症状ですよ・・・原因が見当たらない、脳機能はすべて正常なんです」
「どうしてこんなことに・・・」
「もう1年過ぎようとしてるんですよ、何とかならないんですか。お願いします先生!」
「高校入学の年なんだよなあ」「この子はきっとよくなるって信じています」
「お兄ちゃん、あたし高校に入ったよ」「昨日母さんが亡くなったよ・・・事故でね・・・」
「もう5年になりますか、体は健康そのものと言っていいんですが」
このような言葉が渦巻き、叩きつけ、波が寄せ返すように自分を翻弄したんです。

闇の奥に白い明かりが見えてきました。
明かりはだんだん強烈になり、まぶしくて涙が出てきました。
薄目を開けていたようです。それでも時間がたつと、ぼんやりと物が見えるようになりました。
自分は寝ていて、たくさんの管が周りを取り囲んでいました。
身を起そうと頭を上げたとたん、強烈なめまいと吐き気がしました。
うつ伏せになろうとしましたが、そのとき口の中にも管が入っていることに気がつきました。
手で管を引き抜こうとして、また吐き気が・・・
そのときドアが開く音がしました。白っぽい上半身が見えました。
「助けてださい・・・」と言おうとしましたが声になりませんでした。
女の人が「あっ」と驚く声が聞こえ、
「先生、先生・・・」と叫びながら駆け去っていったようでした。

これは後で聞いた話ですが、
中学生の自分は、廃事務所の奥に倒れているのを2日後に発見されたんだそうです。
強く頭を打った様子はないのに、昏睡が続きました。・・・6年間もです。
その間、小学生だった妹は高校生になり、母は交通事故で亡くなっていました。
今は普通です、何の後遺症もありません。学業のほうはだいぶ遅れてしましましたけど。
あのとき鉱山事務所の金庫に・・・自分の時間を閉じ込めてしまったんじゃないかと思います。
そして金庫を開ける夢を昏睡の中で見たのは、・・・許されたんじゃないかと思うんです。
許してくれたのが何なのかはわかりませんが。
まだ鉱山の廃墟は残ってるそうです。もしかしたらあの金庫もいまだにあるかもしれません。
とんでもない、確かめには行ってませんよ。
そんな怖ろしいこと絶対できるはずがないじゃないですか。



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