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怪片 3題

2014.06.02 (Mon)
ロッカールーム

事情があって2時過ぎに会社を早引けしたんです。
3月の雨が降ってる日で、ロッカールームにコートを取りに行ったときです。
コートを脇に抱えてロッカーの戸を閉めたとたん、
自分のから左に4つ目の戸がパカっと開きました。
そのときは振動のせいかと思って気にもとめませんでした。
・・・いちおう鍵はあるんですが、かけてる人なんていないと思います。
近寄って閉めると、今度は右に8つ目の戸がパカンと開いたんです。
それでもまだ怖いなんてことは・・・むしろ面白いなあと。

人のロッカーですからね。中はちらっとしか見ませんでした。
やはりコートが掛かってるだけです。その戸は、ゆっくり静かに閉めました。
そしたらね、一番左奥のロッカーがスーッと開いて、中から外人の女の人が出てきたんです。
パーマをかけたような赤毛で、濡れたレインコートを着て傘まで持ってたんですよ。
思わずのけぞりました。人が入れるスペースなんて絶対にないんです。
その人は、こちらをチラッとも見ることはなく、
スタスタとロッカールームから出て行ってしまいました。
追いかけてみればよかったんでしょうが、呆然として一歩も動けませんでしたね。



仕事帰りに駅東口の噴水縁に腰かけて缶コーヒーを飲んでいました。
夕暮れ時で、西日がさしてものの影が長く伸びていましたね。
近くで5歳位の女の子が噴水に手を入れてあそんでいたんです。
それを見るともなく眺めていたんですが、
女の子が右足を上げて、かがんで自分の足首のあたりをさすり始めました。
そのとき気がついたんです。女の子の足の影に重なるようにして、
横から棒のような影が伸びていることに。

少し離れた道のほうで立ち話をしていた母親らしい人が、
女の子に向かって「◯◯ちゃん、いくよー」と呼びかけました。
女の子はすぐそちらに駆け出そうとしたものの、
さっき上げていた右足がその場に残って、前に突っ伏すように手をついてしまいました。
女の子は泣きもせず、そのまま立ち上がって母親の方に走っていきましたが、
転んだあたりで、手のひらの影だけが、
5本指がはっきりわかるように開いてヒラヒラ揺れてたんです。
手のひらの影は、自分が見ているのに気づいたように、フッと引っ込んで消えてしまいました。



チェーン店の床屋で理容師をしています。
この間、年配のお客さんを担当したときのことです。
60代後半くらいだったでしょうかね。
年齢にしては量の多い、ごわごわした白髪だったんです。
まずハサミどおりをよくしようと、霧吹きで水をかけました。
それから櫛でとかしていたら、何か大きなものがボロッと床にこぼれ落ちました。
目を疑いましたよ。足まで入れて20cmはある大きな蟹だったんです。
蟹は甲羅の下のあたりから硬い床に落ちて、汁が少し吹き出しました。

しばらくカサカサもがいていたんですが、体勢を立てなおして、
横走りにすごい速さで、店のタオル蒸し器の下に走りこんでいきました。
唖然としていたら、イスに座ってたお客さんの頭ががっくりと垂れ、
白目を剥いて気絶してたんです。
ゆすっても起きないので店長に声をかけ、結局救急車を呼ぶことになりましたが、
後日、そのままお亡くなりになったということを聞きました。
蟹のほうは、店長に話したものの一笑にふされ、
後で店の中を探してはみたものの見つかりませんでした。
でもね、蟹が落ちたときにこぼれた体液の染みだけは、こびりついたように床に残ってたんです。



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