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怪片 3題②

2014.06.08 (Sun)
ポリバケツ

自分はライターをしていて、原稿書きはほとんど自宅のパソコンでやってんですが、
同じライター仲間やフリーの編集者と共同で事務所を借りてて、そこで書くときもあります。
で、こないだ資料を取りに夜の7時過ぎくらいに事務所に寄ったんです。
もう電話番のバイトの女の子は帰ってたから自分で鍵開けて入って、
そこで2時間ばかり仕事をして出たのが9時過ぎ。
地下鉄の駅へ向かおうとしたら、となりの雑居ビルとの間のすき間に、
小学校高学年くらいの男の子が入っていったんです。

この時間に小学生を見るのは珍しいことでもなくて、
近くに10時頃までやってる学習塾があるんです。そこの子だろうと思いました。
でもこのすき間に入ってくのは変です。
なぜなら幅はそれなりにあるものの道ではなく、すぐに行き止まりになってるんです。
気になってのぞき込んでみたら、男の子はこちらに背を向け、
容量200Lのでかいゴミ箱のふたを開けようとしていました。
よくある水色の丸いやつです。

不審に思い「どうしたの?」と声をかけてみました。
すると男の子はこっちをふり向き、はっきりした声で「近道!」と言い、
人差し指を口にあててシーッのポーズをしてみせたんです。
それから蓋を半分ほどずらしてバックをほうり込むと、
自分も頭からズルッと入っていってしまいました。
で、中から手が出てきて蓋が閉じられたんです。
「!」ふざけてるんだろうかと思い近寄ってみました。
いちおう「おーい、開けるよ」と声をかけてから蓋を持ち上げると、
中は底に低く新聞紙の束があるだけで、あとは空っぽでした。



小学校の頃の話です。夏場のことでしたね。弟と庭で花火を見てたんですよ。
当時の家は河川敷に近くて、そこで打ち上げられる花火が見えたんです。
その途中で、家の中から母が、
「サイダーと枝豆ここに置くよ」と呼んだのでとりにいきました。
2人で縁側に腰かけて、足をブラブラさせながら枝豆を食べていると、
「あ、蚊がきた」と弟が言って、手のひらをパチンと打ち合わせました。
するとバチャッと生暖かいものが飛び散り、弟も私も上半身がかなり濡れました。

でも水ではありません。うす暗い中でも真っ赤なのがわかりました
それに生臭いにおいがしました。
「うわ、これなに?」「えー血じゃね!!!」騒ぎを聞きつけた母が見に来ましたが、
私たちの姿を見て大きな悲鳴をあげました。
それは、2人とも頭から真っ赤になってましたからね。
・・・バスタオルで拭かれ、水で洗われましたが、
2人とも、どこにも傷一つなかったんです。

父や祖母も出てきて不審そうな顔をしていろいろ聞いてきました。
縁側の軒の上で動物でも死んでるんじゃないかと調べたりもしましたが、何もなし。
結局、どちらかが鼻血でも出したんじゃないかという話になり、
明日までに具合が悪かったりしたら医者にいくということで決着しました。
その後2人で風呂に入ってから着替えていると、弟が、
「兄ちゃん、これ髪の毛の中に引っかかってた・・・」と言って、
マッチ棒ほどのものをつまんで見せました。よれよれでしたがちゃんと5本指のある、
人間そっくりの小さなちぎれた腕だったんです。

ペットボトル

アパートからアパートに引っ越したんですが、初日から夜中にうなされました。
午前2時ころに目が覚めて、なんとなく気になってベランダのほうを見ると、
カーテンの下のすき間に、
白っぽい顔がガラスの向こうからへばりついてるのが目に入ったんです。
「うわ、霊だ!」と思って、朝まで布団をひっかぶってました。
朝になってベランダを確かめると、人のいた気配はなし。
翌日大学で友人にこのことを話したら「霊感のある人を知ってる」と言って、
2年上の理学部の髭だらけの先輩を紹介されました。

偉ぶらない気さくな人で、その日の午後にアパートを見にきてくれたんですが、
ベランダに入るなり「ははあ、これはいるね」と言い、
バイクのバッグから、1Lのペットボトルを2本持ってきました。
どちらにも透明な液体が、半分くらいまで入っていました。
「ま、これをセットしとけばいいじゃろ」先輩はそう言って、
ベランダの窓に近いところに2本を15cmくらい離して並べて置いたんです。
「あれ、中身は何ですか?」と聞きましたが、「まあ明日」と言われました。

その夜は友人のところに先輩も一緒に泊まり、酒は飲みましたが、
早朝、みなでアパートにいってみました。
ベランダに出ると、向かって右のペットボトルの液体が糊のようにどろどろになっていました。
「フーン、話を聞いて男かと思ったら女の霊だったんだな」
「どうしてわかるんですか?」
「こっちは水酸化ナトリウムを霊的に特殊加工したもん。女の霊はこっちに入る」
「もう一方は?」
「クエン酸」先輩はそう言ってボトルをふりました。

「これ、どうするんです?」「浄霊する」
「どうやってですか?」「簡単、簡単。中和するだけ」
先輩はクエン酸のほうの中身を霊の入った水酸化ナトリウムのほうに注ぎ入れました。
予想に反して大きな変化はなく、どろどろが溶け出し少し熱が出たようでした。
「これで終わり、楽なもんだろ」先輩はそう言うと、
中身たっぷりになった片方のペットボトルをトイレに持っていき、
ジャーと流してしまいました。


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コメント
 三本目、こういうオリジナルの除霊法(しかもなぜか成功する)は大好きです。時空ものと同じく、作者さんの中で一つの法則が練り上げられているところに魅力を感じるんでしょうか。「怪片」どまりではなく、もっと話が膨らんでもよさそうですが、きっとナンセンス話に分類されちゃうんだろうなぁw
| 2014.06.08 23:42 | 編集
コメントありがとうございます
法則・・・というわけでもないんですが
感覚として、霊は水分、キラキラ光るもの、せまいところを好む
んじゃないかと勝手に思ってるんです
だからよくペットボトルが登場します
御札も出てくるんですが、それをメインにすると
牡丹灯籠のような時代がかった雰囲気になりそうで・・・
bigbossman | 2014.06.09 17:03 | 編集
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