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語り文について

2014.06.13 (Fri)
 自分の書いている話は大きく分けて怖い話(黒民話含む)と、
ナンセンス話に分かれているんですが、
そのどちらも1人称による独白体で書かれています。
今回はちょっとその話をしてみたいと思います。

 プロの先生方が書かれる実話怪談というのは、
取材した内容を、テープやメモを参照しながらリライトするという形がほとんどですよね。
つまり、取材対象があれこれしゃべったことの時系列や内容を整理して書いているわけです。
だからその時点で作者の文体として統一することができます。
また、話につじつまが合わないと感じる箇所があったり、
もっと詳しく知りたい部分があれば、
質問をして聞き出したというように書くことができますよね。

 ところが自分が書いている形式は、
実際に怪異を体験した人が、それを語る場にきて話した内容ということになっています。
怪異の体験者は、老人も若者も、男も女も、固い職業の人もチンピラもいるわけです。
ですから、それぞれに合わせて敬体にしたり常体にしたり、
文末を「~っスね」に統一したり、女言葉を用いたりしなくてはなりません。
これはなかなか難しいんですが、
 一方で話の雰囲気にバリエーションが出るということでもあります。
また書くほうの自分としても、気分転換になって飽きがこないという点もあるんです。
ただやはり、語り手を主婦や女子高生などにすると書くのに時間がかかってしまいます。
話を読んだ方の中には「こんな言い方フツーしない」
と思われてる方もいるだろうと考えると、冷や汗ものでもあります。

 それから、普通 語りというのは、途中で時系列が混乱したり、大事なことを言い忘れたり、
同じことを繰り返したりしながら進んでいくものです。
矛盾点やよくわからない部分を途中で聞き手に質問され、
それに答えて内容を修正しながら話すというのが実際だと思います。
ところが自分の話では、語りでありながら、
何が起きたかをきっちり説明しきらなくてはなりません。
そうでないと読まれる方が混乱してしまいます。

 ですから、一人称の独白体といっても、実際の語りとは様々な点で異なっているわけです。
それと「」の会話の部分なんてのも、語りにはあまり出てこないと思います。
他人の話した内容をそんなに詳しく覚えてるなんてこともないでしょう。
しかし、「」を入れず地の文だけで進めていくと内容が地味になる気がして、
多用はしませんが、実際の語りとは違うよなあ、と思いながら使ってはいます。

 あと、これはくり返し書いてるんですが、
情景描写と心情(心理)描写はできるだけ省いています。
一般に怖い話というのは、
雰囲気を書き込むことによって恐怖感が高まっていく面があると思うのですが、
語りの言葉として、
「暗い海が泡立つようにさざめき、そこに赤い夕陽が切れ切れの影を落としていました」
なんてことを言うわけがないです。(これは今考えた極端な例ですが)
 また、自分の感情を述べる場合も、
せいぜい「とても驚いた、やりきれない気持ちになった」くらいで、
心の中を絞りつくすように話すなんてこともあまりないと思います。
ですから、できるだけそのようなのを入れないで話を組み立てていくわけです。

 自分はわりと様々なタイプの本を読んでいて、
その中にある優れた描写や表現を学ばせていただいているつもりなんですが、
そういうのがほとんどこの形式では生かされないのは、少し残念に思っています。
3人称のホラー小説とかで書けばこの悩みは解決されるんでしょうが、そうする時間がない。
いつか技巧を凝らした本格的なホラーを書いてみたい、
と思いながら、いつまでもできないんですねw

『描く手』マウリッツ・エッシャー




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コメント
それは一人称の主体が「しゃべっている」か「手記を書いている」かで変わってくるでしょうね。

わたしは基本的に「話者が手記を書いている」というイメージや立場で小説を書いているので、時として妙にもったいまわった形容を話者にさせることがあります。

あまり不自然にならないように気をくばってはいるつもりですが……。
ポール・ブリッツ | 2014.08.30 12:41 | 編集
話にすること自体、創造・・。とまではいきませんが。
それでも、事実は喋るに当たっては物語や手記などのような形になるのは仕方ないところですね。恐怖を伝えることのむずかしさを教えてくれます。

LandM | 2014.08.30 18:34 | 編集
コメントありがとうございます
自分は最初のほうの話は某掲示板に書いたものなので
報告文みたいな文章になっていますが
だんだんに体験者がこの場所に来て直接語っている形になりました

これは一つには、どうせ一人称で書くのだから
語り形式にしたほうが臨場感が出るかと思ったのと
はっきりした小説形式にしてしまうと
複線などを入れて構成に時間がかかってしまうことからです
中には内容として、小説的に書いたほうがよさそうなものもあるんですが・・・
bigbossman | 2014.08.30 23:25 | 編集
コメントありがとうございます
ホラー小説の形式で怖さを出すには
自分の感じとしては、ある程度の長さが必要な気がするんです
自分の話は、短編小説までいかないショートショート程度のものですから
語り形式のほうがいいかと思ってやっています

本当はじっくり長めのホラーも書いてみたいとは思うんですが
なにしろ1日40分程度しか書く時間がないので・・・
だからその日思いついたアイデアを途中で変更することもできず
ああ、これはダメだなと思いながら書き進めて駄作ができてしまうという・・・
bigbossman | 2014.08.30 23:31 | 編集
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