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影響を受けた短編作品①

2014.06.16 (Mon)
今日はネタがないので自分が影響を受けた短編作品について。
前に書いたのとダブってる部分もありますが、未読の方にはおすすめです。
あと、ホラー・怪談の範疇に含まれないのもあります。

・「夢判断」ジョン・コリア
これを読むと、この作者が天才であることがわかります。
自分も夢が出てくる話はたくさん書いてるんですが、
ただただこの発想に感服するだけです。

・「笑い男」J・D・サリンジャー
これを怖い話に含めると怒られるかもしれません。
短編集『ナイン・ストーリーズ』に含まれるサリンジャーの短編の代表作ですね。
コマンチ団団長のガールフレンドの人物像が、行動だけでとても印象的に描かれています。

・「くじ」シャーリー・ジャクスン
これはオカルト的な要素はないんですが、怖いです。
この作者の特徴である残酷性は、自分も参考にしたいと常々思ってるんですが、
自分はやっぱりここまで救いようのないことは書けないです。
あと、昔アメリカのハイウエイを車で旅したこともありますが、
次々に通り過ぎていく小さい町には、このような風習を残したところもあるんじゃないかと、
幻想がふくらみます。著作権が切れているようでネット上で読めます。

・「変身」フランツ・カフカ
えー古典的な名作で、ホラーではなく文学でしょうし、
短編というには少し長いかもしれません。
自分は中学生のときから、
J・G・バラードなどに代表されるニューウエーブSFというのを多読していて、
奇抜な設定には慣れているつもりだったんですが、
高校時代にこれを読んで衝撃を受けました。
現実には絶対ありえない話でありながら、
写実的な作品よりも鋭く現実を描き出すという手法に対してです。

・「開いた窓」サキ
サキは職人芸と言われることが多く、これもその典型なのだと思います。
ホラーのようでいて実際はホラー要素はまったくなく、嘘つき娘が話の中で躍動しています。
これなんかも、自分のナンセンス話の目標とするところです。
ネット上で読めます。

・「鍵」筒井康隆
敬愛する筒井康隆のホラーです。現実にこのようなことが起きるとは思えない内容で、
昔使っていた鍵が保存されていて、次々に見つかるなどということはありえないでしょう。
ですから、これは人間の持つ罪悪感をすくいあげた悪夢なのだと思います。
悪夢と現実の境目がわからなくなる・・・というより悪夢が現実を侵食してくる
というほうがいいのかもしれません。

・「世界の中心で愛を叫んだけもの」ハーラン・エリスン
カフカのところで書いたニューウエーブSFの代表作の一つでしょう。
暴力的な部分に目がいくかもしれませんが、
実に奥深くまで考えられ精密に組み立てられた話です。エリスン作品はみなそうですけど。
日本ではフィリップ・K・ディックの評価が高く、もちろん素晴らしいのですが、
この作者もけっして負けるものではないと思います。

・「棒」安部公房
これも一読、不思議な話ですが、不条理文学としては王道をいく設定だと思います。
ビルの屋上から落ちた男がいつの間にか棒になっていて、
人間ではないらしい教授と学生が、その棒について論評する。
その中で、棒になった男の人生がありありと見えてくるんですね。

・「失踪」W・デ・ラ・メア
Wikiにはこうあります。
『 恐怖の対象を直接描かず、言外の意味を以て読者の恐怖感を喚起する手法、
 いわゆる朦朧法を用いた怪奇・幻想作品は高く評価される。』

この朦朧法は自分の話の中でもよく用いられています。、
血まみれの生首なんかを出しても、怪談としては虚しい気がするんですよね。
何だかわからないけれど、とてつもなく怖ろしいものの一部分だけに触れている。
そんな気を読者に起こさせる手法です。

・「黒い本」シリーズ 緑川聖司
これは子供向けの本で、出てくる怪談もどこかで聞いたことがあるものが多いのですが、
書き方はたいへん参考にさせてもらっています。
自分のお薦めは「白い本」かな。


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コメント
「くじ」、ググって和訳を読んでみました。作者さんの挙げている中では筒井康隆くらいしか読まないのですが、ちょっと似ている気がします(新旧を考えると筒井の方が)。ここで外来人が迷い込んだりしたらもうw
| 2014.06.21 00:10 | 編集
コメントありがとうございます
ああいう発想はけっこうアメリカにはあるんです
映画の『2000人の狂人』とか・・・あれは幽霊の村でしたが
アメリカは大都会の話題が多く報道されるんですが
実は田舎の小さな町がハイウエイ沿いに点々と続いてて
中には古い因習を残したところも・・・みたいな
bigbossman | 2014.06.21 00:38 | 編集
個人的にはデ・ラ・メアでは「なぞ」がお気に入り。

小学生のころ読んでから、長いこと和訳タイトルがわからずに再読できなかったけれど、つい最近ようやく再読。


筒井康隆先生の作品では、「到着」がお気に入りです。ナンセンスギャグショートショートの装いはしているけれど、最初読んだときはものすごく怖かったです。あれこそ真の意味での「コズミック・ホラー」ではないかと思います。
あと不条理小説「乗越駅の刑罰」や、名作「走る取的」、タイトル忘れたけれど作家が取材旅行先から帰れなくなる話とか、いろいろ傑作を書いてます。ギャグがあれだけ鋭い人は恐怖を書かせても深いですね。

サキの「開いた窓」は絶対ホラーです。最後の一行で真実がわかりますが、あそこに見える少女の悪意はすさまじいものがありますね。それまでの展開も充分怖いですが、罪の意識をまったく感じていないのが恐ろしいというかなんというか。サキの最高傑作でしょう。

安倍公房先生の作品も好きです。とはいってもSFやミステリがらみの作品しか読んでいませんが。いちばん好きなのは「鉛の卵」です。あの人のブラックユーモア精神は筒井先生のそれに匹敵しますね。長編「箱舟さくら丸」とか。

ハーラン・エリスンはこれまたくやしいほどいい作品を書く人ですよね。「死の鳥」なんか最高です。ホラーとしては、現代のアクションホラーを先取りしたような「101号線の決闘」あたりが好みかな。

カフカは中学の夏休みの読書感想文の宿題に「城」を選んでめげた(^^;) なにぶんミステリファンなので、最後に理屈に落ちないと気が済まない。しかも未完だし。同じ未完の長編なら埴谷雄高先生の「死霊」のほうが好きだな。

ジャクスンの「くじ」は名作ですね。でも、犠牲者になる夫人が最初から殺す気マンマンでやってくるので、怖いというよりブラック・ジョークについにやついてしまいました。

日本で一番怖い話を書ける作家は半村良先生ではないかと思います「能登怪異譚」大好き。一番救いのない話を書ける作家は山田風太郎先生です。初期のミステリ作品を読むと、その徹底した人間不信と事態の残酷さに慄然とさせられます。
ポール・ブリッツ | 2014.06.22 13:04 | 編集
コメントありがとうございます
奇妙な味の短編の話はあちこちで出るんですが、
ハーラン・エリスン他のニューウエーブSFについては、
なかなかわかってくれる人がいないのでたいへんうれしいです
あの時代のは、今読み返しても知性を競い合ってたんだんあと思うすごい作品ばかりです

半村良は『箪笥』とか面白いですよねえ
山田風太郎は『幻燈辻馬車』などの明治物が好きです
bigbossman | 2014.06.22 23:04 | 編集
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