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影響を受けた短編②

2014.06.27 (Fri)
・「ふな屋」別役実
これはもともとNHKの番組用に書かれた童話で、怖い話ではないんですが、
このうら寂しいというか、人恋しいというか、
一種独特の作品世界の雰囲気は参考にさせてもらっています。
出てくるのはみな善い人たちで、しかもどこか心寂しい。
まるで生きていること自体が悲しいもののような気がしてきます。

・「手」クライブ・バーカー
『血の本』の中では自分はこれが一番好きですね。
バーカーというと、映画の『ヘルレイザー』や『ミッドナイト・ミートトレイン』
のイメージが強くて、ベタベタのスプラッタ作家と思う人が多いでしょうし、
実際そのとおりなんですが、正統派英国怪談やユーモアも書ける人です。
作品は多数映画化されてますが、本を読んでても、場面が詳細に脳内に浮かぶときがあります。
文章に視覚的なしかけが施されてあるんですね。

・「少女地獄」夢野久作
『ドグラ・マグラ』は長編なんでこれにしました。
この作者は奇想の人ですよね。どういう頭の中身をしてればこれを思いつけるのか、という。
あと偏愛、執着の人でもあります。
これも異論があるでしょうが、京極夏彦氏がこの系譜を受け継いでる気がするんです。
青空文庫で読めます。

・「海を見る人」小林泰三
この作品はホラーというよりSFとして評価されてますね。
どの話を読んでも、底にひじょうに知的なものが流れているのがよくわかります。
科学ベースでつくり出されたオカルトという感じで、自分はマネできないです。

・「死者の書」折口信夫
これも青空文庫にあったような気がします。
歌人らしく情景描写に優れているのと、古代への憧憬がひしひしと伝わってきます。
文章が難しいですので、お薦めと言えるかは微妙です。

・「九マイルは遠すぎる」ハリイ・ケメルマン
安楽椅子探偵物に分類されるミステリー短編ですが、これもかなり奇想です。
なんですが・・・読んでいる限りではチェスタートンより飛躍や作り物っぽさは感じません。
一本作品に論理の筋を通して、パーツを組み上げていくという技ですね。

・「百姓の足、坊さんの足」新美南吉
これも童話で、やはり青空文庫で読めます。仏教的な応報の物語ですし、
正しい一生を終えたと思っていた坊さんが地獄に落ちる予感で終わる結末は、
かなり皮肉で逆説的でもあります。
菊次が米を踏みにじる場面は子供心に怖かったですね。

・「桜の森の満開の下」坂口安吾
幻想小説です。同じ系譜の「夜長姫と耳男」も好きでした。
この傾向のをもっと書いてほしかったです。
これら安吾作品の影響を感じる短編は現代でも多くあります。

・「時間の墓標」J・G・バラード
これもニューウエーブSFの代表作の一つです。
バラード作品には科学的な知識はあまり出てこず、かわりに独特な比喩が頻出します。
あとたいへんにロマンチックな主題が多いと自分は思ってます。

・「きょうも上天気」ジェローム・ビクスビイ
古典に属するSFなんですが、怖いです。
下手なホラーよりずっと怖い。しかも上手いです。結末はまったく救いがありません。

こう並べてみると、かなり奇想天外な作品が並びますね。
自分の怪談は「実際にありそうもない」と言われることが多いんですが、
こういうのを好んで読んできたので、そうなるんでしょうか。
今回はこのへんで。




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コメント
別役実先生のショートショートは好きです。「探偵X氏の事件簿」なんかげらげら笑って読む中に、急に存在の恐怖じみたものが闖入してくるのでかなり影響を受けました。

クライブ・バーカー先生の本は「不滅の愛」と「ダムネーション・ゲーム」、それに傑作というか怪作というか人によって評価が真っ二つだろう名作「イマジカ」を読みましたが、血の本には手を出していません(^^;) あの人のスプラッタ好みはなあ(^^;) でも「イマジカ」は、日本であれに比肩できるファンタジーは「タルカス伝」くらいのものでしょう。もっと幻想文学で評価されてもいいと思います。

夢野久作先生は「ドグラ・マグラ」のほかには「瓶詰の地獄」くらいしか読んでいませんねえ。好みの題材を使っているはずなのに、なんとなく敬して遠ざけている作家さまであります。

小林泰三先生は、根がSF作家なのに無理してホラーを書いてる感じがたまりません(笑) 「酔歩する男」なんて、どこがホラーだ、と。宇宙戦艦が出てくるバージョンがボツになったのがいまだに悔しくてなりません(^^;)

ハリイ・ケメルマン先生のニッキイ・ウェルト教授ものは大好きです。それにしてもラビ・シリーズはどうして古本屋に置いてないんじゃまったく。

安吾大先生は「堕落論」と「不連続殺人事件」を書いてくれたからそれだけでいいや。純文学短編では、ナンセンスの極みともいえる「風博士」が好きですねえ。PoPoPoPo!

バラードは後期の作品ばかり読んでました。高校の図書室に入れてくれると楽しみにしていた濃縮小説の集大成「残虐行為展覧会」をタイトルだけ見て反故にした古文の教師、一生許さんぞあいつ。

「きょうも上天気」は、わたしも好きです。パクったのか忘れていたのか、平井和正先生が「赤ん暴君」というジュブナイルを書いてましたな。こっちも傑作。

この奇想を心理的にねちっこく書くと、リチャード・マシスンになるような気がします。マシスンは面白いんだけど読むとどんどん暗くなってくるのがつらい(^^;)
ポール・ブリッツ | 2014.07.05 18:17 | 編集
コメントありがとうございます
すごいお詳しいですね
自分は最近SFはごぶさたで、新しいのはあんまりわからないです
読むのを再開しようかなと思ってます
bigbossman | 2014.07.05 23:52 | 編集
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