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蛇田2

2013.07.15 (Mon)
上で「蛇田」の話を書いたもんだけど、
あれを書いてから自分でも妙に好奇心がわいてきて由来を調べてみた。
で、わかったことがあるんで投下する。
うちの母親は教えてくれないし近所でも聞きにくい感じがあったんで、
この隣町に住んでる中3のときの担任の先生を思い出して話を聞きに行った。
先生は男で社会科担当、数年前に教頭で退職して、
今は市史編纂室というとこで嘱託で仕事をしている。
地元の新聞社から郷土史の本も出してるんで、もしや何かわかるかと思ったんだ。

久しぶりに会った先生は自分から要件を聞いてかなり驚いていたが、
スーパーの件は耳にしてたらしく、
それほど嫌な顔もせず昔のことをいろいろと話してくれた。
自分の住んでる町内は旧道と呼ばれる一本道沿いの家が昔からの集落で、
その一帯はほぼ同族だったために今でも、ある同じ名字の家が並んでる。

旧道はずっといくとだんだん山に登るようになってて、
突き当たりが集落の氏神だった小さな神社。
その手前に蛇田の持ち主だった老夫婦の家があった
ただ老夫婦の家はその昔は分家で、そこは本家だったということだが、
本家に養子に入るという形で何代か前に移ってきたらしい。

その本家は名主格で、かなり広い田地があってそのほとんどを小作人に貸していた。
分家は蛇田のあった場所にあり旧道からはだいぶ離れてる。
で、分家はわずかな田もあったが家業は薬屋で、
蛇・・・たぶんマムシから取った強精剤のようなものを製造して、
行商の薬売りに卸していた。そして薬を絞った後の蛇の死骸を、
大きな穴に投げ込んでいたのが、蛇田の祭壇のあった場所。
それだけではなく集落の拝み屋のようなこともしていたという。
・・・メモを見ながら書いてるんだがわかりにくかったらスマン。
ここからは昔話だと思って聞いてくれ。

時代はたぶん江戸から明治に変わるあたりだと思う。
分家は食うに困らない暮らしではあったものの、親族の中では殺生をする
賤しい家業ということで、つき合いではいろいろと差別されていたらしい。
で、あるとき分家の10歳くらいの女の子が、
本家筋の子らといっしょに川に遊びに出かけて、
本家の長男坊がその子が川に流されたと大声で叫びながら村に走ってきた。

村人たちが行ってみると女の子の姿はなく、
何日か後に下流で裸で引っ掛かって見つかった。
男の子らは裸で川で泳いで、女の子数人が河原で石拾いをやってた。
それがいつのまにか川に入っていて、
見ている前で流されていったと子供たちは口をそろえて言う。

当時はもちろん巡査などもいない混乱期で、
それは不幸な事故としてけりがついたんだが、分家の主人は納得できなかった。
臆病な子で自分から川に入るなんてまず考えられないと思った。
それで他の子供らの様子をうかがっていると、
村で主人に会うと非常にばつの悪い顔をしてこそこそ逃げていく。
で、思いあまってある日同じ分家格の子を一人家に呼んで問い詰めたらしい。
すると女の子は男の子らに嫌がるのを、
無理矢理川に入らされて流されたのだと白状した。

それから分家の主人は夜になると蛇穴の前に祭壇を築いて、
なにやら儀式をする。すると親戚の子らが死んでいくんだな。
何も不自然な死に方ではなくて当時ありがちな急な病気で、
2年で3人目の男の子が死んだあたりで本家でも事情を察して掛け合いにきた。
分家の主人を威したりすかしたりして呪詛をやめさせようとするんだが、
主人の恨みは強くて村を叩き出してもやめそうもない。
官憲に突き出しても、子供らははっきり病死で何の証拠もないし、
文明開化の時期で呪詛の話など相手にされないだろう。
そうしてる間に今度は女の子が1人死んだ。

で、親戚中で話し合って分家の主人に流されて死んだ女の子の弟、
その子は5歳くらいだったんだが、これを本家で養子にもらって
跡取りにするからもうやめてくれと詫びを入れて泣きついた。
すると主人は硬い顔で「・・・わかった、そうしてもらおう」と言って引っ込んでいった。
次の朝、蛇穴の中で無数の蛇の死骸の上にうつぶせに顔を埋めるようにして、
死んでるのが見つかったという。

それから本家では分家の家屋を取り壊して田地にし薬作りもやめてしまったんだが、
分家の妻が蛇穴のあったところに新しく祭壇を築いて供養をする。
そのうちに男の子が本家の跡を継ぎ、
ずっと何代も老夫婦が亡くなるまでこの供養が続いていたということなんだ。
・・・やっと最後まで説明できた。

この話は明治の中頃に東京から偉い学者が来て、
聞き取り採集していったのが学術雑誌に残ってたんだが、
こんな陰惨な話はとうてい市史には載せられないから、と先生は話し、
蛇田の場所はとにかく土地が悪い、スーパーの顛末も、
人に学問を教えるものがこんなことを言ってはいかんのかもしれんが、
昔からの因縁に関係があるんだろう。お前も近づくなよと言ってくれた。
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