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枝ぶり

2014.07.05 (Sat)
会社を退職してから体の衰えを実感しまして、早朝ウオーキングを始めました。
妻も誘ったんですが、やる気がないようだったので一人でです。
毎朝6時に家を出て、近くの小高い丘にある運動公園まで出かけて戻ってくる、
小一時間くらいのコースです。
始めてみると、私と同じようにウオーキングをしている何人かの人と顔見知りになりました。
その日は、そのうちの私より5歳ほど年上のAさんと一緒になり、
並んで林の中ハイクコースを歩きました。
Aさんは高校の校長で定年退職したということで、悠々自適の生活の人です。
その帰り道。

コースの右手の松の木に、ぶらんと、縄というか洗濯ロープのようなのがかかっていました。
やっと先端に手が届くくらいの高さで、
しかも先っぽが輪っかになっていて、首吊り用のように見えました。
「あれ、来たときにこんなのありましたか?」
「いや気がつきませんでした。・・・だれかのイタズラなんでしょうが、たちが悪いですね」
「まったく。それにしても・・・あの枝だとちょっと高いですよね。
 何か踏み台を持ってこなくちゃならない。それに枝も細いし折れそうな感じですよね。
 まあ、首吊りなどする事情はありがたいことに持っていませんが、
 ・・・もしするとしたら、もう一段下の奥の枝のほうが太いし、
 ぶら下がった姿がこの道から見えませんよね。そのほうがよさそうですが」

Aさんが、冗談だと思いますがこんなことを言ったら、すぐ、
木の枝の高いところから「了解」という声が聞こえてきました。
男の声だったと思いますが、目をこらして見ても木に登っている姿は確認できませんでした。
「こんな朝っぱらからあんなとこにまで登ってねえ。
 世の中には変なことをする人がいるもんですね」
Aさんはあきれたように言いました。

次の朝もウオーキングに出たんです。いつもと同じ時間でした。
その日は誰にも会わず、一人でハイクコースに入ったんですが、その松の木の横を通ったとき、
昨日のやりとりを思い出して、奥の枝を見ました。
人がぶら下がって・・・見慣れたジョギングウエアを着た・・・Aさんだと思いました。
腰を抜かしそうでしたが、勇気を出して近づいてみると、
目を剥いて舌を出しているのは、まぎれもなくAさんでした。
完全に事切れているように見えました。
後じさりしてへたり込み、なんとか携帯で警察に連絡したんですよ。



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