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事故

2014.07.05 (Sat)
夜の7時過ぎ、風呂入ってビール飲みながらナイター見てたんだよ。
そしたら「ちょっとタバコ買ってくる」
ってさっき出ていった親父が血相を変えて飛び込んできた。
「大変だ、人を、子供を轢いちまった」こう大声で叫んだんで、ただごとではないと思い、
「何言ってんだ父さん。今のことか? 被害者の人はどうした?」
「気が動転して、そのまま家まで来ちまった」
「!?」轢き逃げか?こりゃたいへんなことになったと思ったね。
親父は76歳だったんだが、まだ運転してたんだ、2代前くらいの古いクラウンを。
もう歳だから、運転免許返納を勧めてた矢先のことだったんだよ。

瞬時思案して、女房に警察に電話させた。
それから親父の手をとって車まで引っぱっていった。
どうすりゃいいかわからなかったが、とにかく現場まで連れてこうと考えたんだ。
俺の車の横に、親父のクラウンが前後逆向きに停まってたんで、
ボンネットのほうを見てみた。へこんだり、血がついたりしてる様子はない。
とりあえず俺のレガシィの助手席に押し込んで聞いた。
「どこで事故起こしたの?」
「この先のコンビニの駐車場出たすぐのとこだ」
車で3分の場所なんだが、家までは警察も救急車の音も聞こえてはきてなかった。

おかしい、と思いながら親父を乗せて行ってみた。
警察車両が来てることもないし、人だかりもない。
「父さん、どこで」「・・・あのあたり」
「だれを轢いたん?」「小さい女の子だった。黄色い帽子被ってたから小学1年生」
コンビニの駐車場に車を停め、中に入って店員に事故が起きなかったか聞いたが、
「さあ、知りません」という返事。
ここらで、だいたい真相がつかめてきた気がした。
親父はボケかけてて、人を轢いた幻覚を見たんだろうと思ったんだ。
・・・親がボケるのはたいへんなことだが、
まあ人身事故を起こされるよりはましと言えるだろ。

その場で携帯で家に電話したが、
女房の話でも、この近辺で事故があったという事実は警察で把握していないようだった。
「父さん、幻だよ。夢みたいなのを見たんだ。ケガした女の子なんていない」
こう言うと、親父は頭を抱えながら、
「ああ、ああ、もう何だかわからんよ。・・・そう言えばこの間も女の子を轢いたんだ。
 今回と同じ子だったと思う」
「それも幻覚じゃないか。だからもう運転やめよう。あのクラウンも廃車にしちまおう。
 ここまで歩いたって12・3分くらいだろうし、そのほうが体にもいい」
こんなことを言いながら、念のために近くの側溝とかも見たんだ。
やはりなんもなかった。

親父は免許返納を承知し、これで一件落着。あとは病院につれていけばいいかと思ってたら、
その後、たいへんな事態になった。
親父は自分の部屋に寝てたんだが、夜中に大きな叫び声が聞こえた。
「たすけてくれ、ゆるしてくれ、ごめんなさい、ごめんなさい」
最後のほうは幼児のような声だった。
駆けつけてみると、親父が部屋の前の廊下に正座して、頭を床にこすりつけてた。
「父さん、どうしたんだよ」思わず大声で聞くと、
「女の子が来た。どうして轢いたの、どうして殺したのって言いにきたんだ」
「バカなこと言わないでくれよ。事故なんてなかったんだから。
 もし事故ってたら今ごろこんなとこで寝てられないぜ。それより、明日だ。
 明日休むから、必ず病院行こうな、なっ」

こうなだめすかして寝かしつけたんだ。
で、翌朝・・・親父が起きてこないんで見に行ったら、
両手をかきむしるような形で宙にあげ白目を剥いていた。息をしてなかったし、
脈もなかったんで、すぐ救急車を呼んだ。
救急隊員が担架に乗せる前に、親父の口をあけて何かを引っぱり出した。
・・・黄色い小学生の帽子だった。
病院で死亡が確認され、変死ということで医師が警察に連絡したようだ。
死因は窒息で、俺ら家族が疑われたが、
長いすったもんだのあげく、本人が自分で飲み込んだということで決着した。
警察に帽子の出どころを聞かれたが、わからないと答えるしかなかったな。
・・・どういうことだったんだろう。



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