スポンサーサイト

--.--.-- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

小便小僧

2014.07.21 (Mon)
俺が神戸のバーで働いてたときのことだから、ちょうど10年前の話。
そのバーは雑居ビルの4階にあって、
いちおう営業は2時までってことになってたんだが、
実際は朝方まで開いてるときが多かった。
同じ水商売関係の人たちが、店じまいの後にちらっと寄ったりするんだ。
俺はずっとこの業界にいるけど、そのころはまだ駆け出しで、
飲み物の注文も、難しいのは裏に行ってカクテル辞典見なきゃ作れなかった。
今でもそんなに進歩してるわけじゃないけどね。

で、俺は実はいわゆる「見える人」なんだ。
子どもの頃から変なものが見える。
まあ・・・世間で霊とか幽霊と言われてるやつだ。
これがあるために、小中時代はだいぶ苦労したよ。
パニック起こして泣き出したりすることがよくあったから、
まわりからはかなり変な目で見られてたし、イジメを受けたこともあった。
中学校に入るときなんか、もう少しで養護学校に行かされそうになったくらいで、
その時分が一番ひどかったな。

なんとか霊というか、自分の能力とうまく付きあえるようになったのが、
高校入学のあたりだった。付きあう・・・ってのは、
何か見えても無視することだよ。その霊が目の前にいたとしても、
頭が半分欠けて脳ミソがはみ出していても、
何もいない、何も見えないふりをするってこと。
これはね、単にまわりの人に変に思われないためだけじゃなくて、
霊にも、こっちが見えてるってことを悟らせない意味もあるんだ。
霊はね「あ、こいつ見えてるんだ」ってわかると寄ってくるから。
それでますますトラブルが大きくなってしまう。

ああ、スマン、本題に入るよ。
その神戸のバーにいたとき、地下にフィリピン・パブがあったんだ。
ダンサーさんが15人くらいて、みな興行ピザで来日してた。
芸能をするために日本に来てるって建前だったんだな。
けどその翌年から、人身売買だって抗議をアメリカから受けてね。
たちまち制度が変わって、今じゃすっかり廃れちまった。
まあその全盛期の頃の話。
でね、バーの後輩の一人にやっぱり「見える」やつがいたんだ。
いやあ、これまで30数年生きてきて、
俺と同じように見えるやつに会ったのは4人だけだよ。

もっとも、俺と同じように能力を隠してる人が多いだろうからね。
実際はもっといるのかもしれん。
あああ、スマン。もうすぐ実際に見た霊の話になるから。
その後輩は俺の2個下でね、その前の店では俺が一番下っ端だったから、
自分より下のやつがいるのが嬉しくてね。
もちろんそいつが「自分は見える人です」なんて自己紹介したわけじゃなくて、
じゃあ何でわかったかっていうと、そのフィリピン・パブに関係があるんだ。
パブのほうは12時には営業終了になるんだよ。
で、ダンサーのオネエサンたちが、
集団生活してるアパートに帰るのが1時前くらいかな。
ビルの裏口から出るんで、ちょうどその時間帯をねらって、
俺とそいつでタバコ休憩に行ってたわけよ。

まあね、毎日そんなことはできないから。
客がいないか、いても数人のときだけだな。
裏口の繁みの裏でタバコを吸ってると、ぞろぞろオネエサン方が出てくる。
みな毛皮とか着てハデハデだったけど、
固定給は数万しかなかったってのは後でわかった。
で、いかにもたまたまを装って、オネエサン方にあいさつするんだ。
「お疲れ様でしたー」ってね。その後、ヤーのマイクロバスで送られていく。
いや、当時は俺20歳過ぎたばっかだったから、
もしかしたら、オネエサン方といい関係になれるかもなんて考えてたんだ・・・
まだね、世の中がよくわかってなかったんだな。

で、後輩と一緒にタバコをくわえてた最初のときのことだ。
(これね、オネエサン方が出てくるのを待って火をつけるんだ)
植え込みの上に、ぼやーっと煙みないなのが出てきた。
えーエクトプラズムって言うのかな、よくわからんけど。
霊ってのは最初はそういう白い煙状で現れて、
それからじわじわと人型に変形してくことが多いんだよ。
「あ、また始まった」と思って見てたら、どんどん人の姿になっていくんだけど、
それが小さいんだよ。・・・子どもの霊だな、3歳くらいの。
東南アジア系の顔立ちの男の子で、服は着てなかった。
俺がずっと中空を見てると、
(小さい子だから霊障があってもたいしたことないと思って)
後輩もね、俺と同じとこをにらんでるんだよ。

おや、と思って「お前これ、見えるのか」って聞いたら、
「はい、見えます」ときた。
嬉しかったね。ああ、これで大っぴらに霊について話せるやつができたって。
その子どもの霊は無表情に2mくらいの高さに浮かんでるだけだったんだが、
裏口の中からオネエサン方の声がし始めると、ニコニコし始めてね。
オネエサン方が出てくると、自分の小さいおちんちんを片手でつかんだんだ。
俺らが「お疲れさんでしたー」って頭下げて、
そこはせまい植え込みの間だったから、一人ずつ出てくるオネエサン方の3番目、
一番小柄で可愛い子が通ったときに、子どもの霊が小便をその頭に発射したんだよ。
・・・と言ってもね、それは霊の小便だから、オネエサンは濡れるわけじゃないし、
何も感じてないみたいだったな。

それで、そのオネエサンが歩き去るにつれてね、
その子どもの霊も空中を滑るようにしてついていく。じたじたと小便をかけながら。
その姿はまさにね、あの彫刻とかである小便小僧そっくりだったんだ。
・・・その子どもの霊はそのあと3回見た。
最初とまったく同じ場所から同じように出てきて、
特定のオネエサンに小便をかける。このくり返しだった。
後輩とは話はしたよ。やっぱりあれはあのオネエサンに関係がある霊なんだろう、
国で死んだ弟か、あるいは自分の子どもなのかもしれないって。
で・・・それからね、
1か月後にそのオネエサンはヤーの暴力沙汰に巻き込まれて死んだんだよ。

テレビの報道で知ったんだ。そのとき実名と年齢が出ててね。
14歳だったんだな。
小柄とはいえ、肉付きはよかったからそんなに若いとは思わなかった。
その事件の影響が直接原因になって、フィリピン・パブはつぶれ、
俺もほどなくしてそこのバーをやめてしまったんだ。
結局、子どもの霊が誰だったかも、
どうして小便をかけてるのかもわからずじまいだった。
・・・スマンねホント、わからん、わからんばっかりで。
だけどこのバーにいた間に、後輩と霊について話し合ってね、
わかったこともいろいろあるんだよ。
それについてはまた、機会をみて話しに来るつもりだけど。



関連記事
スポンサーサイト

トラックバックURL
http://scoby.blog.fc2.com/tb.php/454-8d51bdb3
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する