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オヌ

2014.08.01 (Fri)
わたしが中学2年生のときの話です。当時家は造園業を営んでいまして、
家の敷地の隣に、かなり広い資材置場がありました。
石灯籠のたぐいや庭石、植木などを置いてあるんです。
そこは、南向きに窓があったわたしの2階の部屋から見おろすことができました。
家の暮らし向きはまあまあだったと思います。
地方都市ですから、広い庭のある家はそれほど多くありませんでしたし、
行政に食い込んで公共事業を手がけるということもほとんどなかったんです。

それがその年、市の名士の一人が屋敷を改築することになり、
それに合わせて庭園にも手を入れることになりました。
わが家はその名士とは遠い親戚の関係にあったため、
造園工事に参加させていただくこととなり、急に忙しくなったのです。
毎日のように資材置場にダンプがのりつけ、石や土などを積み下ろしていきました。
ただわたしは毎日部活で遅かったですし、その頃には作業は終わっていましたので、
それほどうるさくは感じませんでした。

それよりも、大仕事を請け負って活気に満ちた父の顔を見るのが、
とてもうれしかったことを覚えています。
・・・夏の終わりの頃に、庭石がいくつも資材置場に運ばれてきました。
なんでも名士の持ち山から掘り出したものということで、
中には高さ5mに近い大石もありました。
9月の土曜日のことだったと思います。11時過ぎでした。
自分の部屋で勉強していましたが、
飽きてきたのでコミックでも読もうかと本棚にいきました。

そのときちらっと、下の資材置場が見えたのですが、強い青い光があったんです。
何かと思ってのぞいてみました。パトランプのようなのをつけたのかと思ったんです。
それくらい明るい光で、しかも明滅していましたから。
ところが光っていたのは、庭石として運び込まれたものの一つだったんです。
大きさは中程度で、それでも2mくらいはある縦長の岩の一つが、
2秒くらいの感覚で光ったり消えたりしていました。
そしてそれを見てすぐ、急に割れるように頭が痛くなったんです。

床に倒れて、トレーナー噛みしめました。
そうしないと転げ回ってしまいそうなほどの痛みだったんです。
何回も壁を握り拳で叩きました。その音を聞きつけて弟が駆けつけてきて親を呼びました。
わたしの様子を見た父が車に乗せて、病院の救急外来に連れて行こうとしました。
それが、家から少し離れただけで、あれほどの頭痛が治まってしまったんです。
いちおうは病院で検査を受けたんですが、何もわかりませんでした。
帰りの車の中で、資材置場で見た青い光のことを父に話したんですが、
あちこちにある防犯灯以外には何もつけてはいないということでした。

翌日の朝に部屋から見ても、光ってはいませんでした。
というか、どの石かわからなくなっていたんです。
それで資材置場まで行ってみました。
2m内外の石が10箇ほど、それより小さいのはたくさんありましたので、
部屋の窓を見上げながら一つ一つ見ていったんです。
そしたら、これじゃないかと思えるのがあって、凸面鏡のように表面が削れていました。
自然のものとは思えないつるつるした表面だったので、触ってみたんです。
上のほうの空でドーンという大きな音がしました。

近くで花火が上がったほどの音です。間を置いて近所の人が家から出てきましたので、
わたし以外にも聞こえたんだと思います。
思わず触った手を引っ込めたのですが、
そのとき頭の中で「オ・ヌ」という声が聞こえました。
力強い、映画で神様役の人がしゃべるような声だったと思います。
頭が痛くなりました。でもこの間よりはずっと軽く、家に入るとほとんど治まったんです。
居間で、母と弟が「さっきの音何だった?」と聞いてきました。
首をかしげることしかできませんでした。

翌週の水か木曜だったと思います。
造園工事の施主である名士の方が家に来ることになりました。
そのため、母はずっと料理をしていたようでした。
わたしと弟も、玄関先で出迎えてご挨拶をするように言われました。
その方は8時少し前に来られる予定で、わざわざ学校の制服を来て待っていたんです。
そしたら、その時間にドーンというあの音が響きました。
「あっ」と思って居間で立ち上がったときに、
「大変だ」という父の声が玄関から聞こえました。

駆けつけると、テレビでも見たことのある名士の方が、
庭先で手足を振り回して暴れていたんです。
お付きらしい男の方が、必死の形相で腰にしがみついていました。
名士の方はそれを振り払うと、
大声で「オヌ、オヌ」と叫びながら資材置場のほうに向かおうとしました。
父と、まだ残っていた家の従業員、それにお付きの方で取り押さえようとしました。
ところが、さほど大柄でもないのに、
手足を振るだけで若い男の人をはじき飛ばしてしまうんです。

信じられない様子でした。60過ぎの年齢なのに、身をかがめてものすごい速さで走り、
資材置場の柵を跳び越えて中に入りました。
父たちが後を追い鍵を開けて入り、わたしと弟もその後についていきました。
名士の方は例の石の前に立っていました。
そしてわたしが前に見たように石は青く光り始めました。
名士の方は「オヌ、オヌ、オヌ」と叫びながら、
前のめりの姿勢で両こぶしで石を叩きました。
層理というのでしょうか、わたしにはよくわかりませんが、
石の表面が縦にはがれるように割れ、細かい破片が下にばらばらとこぼれました。

そして、確かに見た・・・と思ったんです。
わたしだけじゃなく、父も従業員の方たちも弟も、見たと言ってました。
骨です・・・巨大な骨格、それが半分埋もれた状態で石の中にあったんです。
頭蓋骨は青く光り、20cmもある2本の角もてらてらと輝いていました。
名士の方が顔を輝かせ「オヌ」と叫ぶと、その骨格を抱きしめようとしました。
すると頭蓋骨が音を出しました。口が動いたかはわかりません。
その言葉は「オル」と聞こえました。そして骨はボロボロと崩れ始め、
粉のようになって下にまき散らされたんです。

名士の方は膝をつき、その粉を掬おうとしましたが、よく腕が動かないようでした。
なおも「オヌ、オヌ」と言っていました。
泣き声のように聞こえました。すっかりおとなしくなった名士の方を車に乗せ、
父もつきそってお屋敷に送り届けました。
その後すぐ名士の方は入院なさってしまい、工事は延期になりました。
2週間後に名士の方は亡くなりました。
話では、手足の腱のほとんどが切れ、内臓もぼろぼろになっていたそうです。
結局、そのまま工事は中止されたんです。・・・これで終わります。

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コメント
 大陸系か半島系の夫婦(親子?)が呼び合っているような印象を受けました。ググってもヒットしなかったので、謎の地底人や古代人、あるいは神族かもしれませんがw …でも、ちょっと物悲しい印象の話ですね。
| 2014.08.06 21:48 | 編集
コメントありがとうございます
なるほど・・・酒呑童子なんかも大陸から流れてきた人々、
ひょっとすると紅毛人(西洋系の人)という説もありましたね
正直そこまで考えませんでした
bigbossman | 2014.08.06 22:54 | 編集
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