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叔母の家へ行く

2014.08.11 (Mon)
去年のお盆に帰省してたときのことだからちょうど1年前の話。
実家は北陸のほうにあるんだけど、詳しい場所は言わないでおく。
海沿いにある母親の生まれた家で、祖父母は70代だけどまだ元気だ。
あと両親が離婚してるんで、父親の実家とは縁が切れてるんだ。
俺の車に母親を乗せて行ったんだが、
仕事の関係で遅くなってしまって、着いたのが11日の夜8時頃だった。
車で3時間くらいかかるんだよ。
疲れて居間で一休みしてた。いつもなら祖母がビールを出してくれるんだが、
その日は「これから叔母さんの家に使われてくれないか」と頼まれた。

叔母さんは母親の妹で、小さいときに何回か会ったことがあった。
その頃は背の高いきれいな人だなと思ったのを覚えてた。
だけど、俺が中学に入る頃からほとんど姿を見なくなった。
母親には年に数回手紙が来てたみたいだけどな。
その叔母さんが、この近くに住んでるから届け物をしてほしいと頼まれたんだ。
分厚い封筒に入った土地の登記書ということだった。
「場所がよくわからない」と言うと、
「車にナビがついてるから、それに電話番号か住所を入力していけばいい」
これは母親に言われた。
面倒くせえなあと思いながら車の鍵を手にした。

時間は、往復で1時間あればゆっくり帰ってこられる距離ということだった。
電話番号を書いた紙を手にして、車に行こうとしたら、
祖母が仏壇にあがっていた菓子の袋を持ってきて俺に手渡した。
一口サイズよりも小さい最中がたくさん入ったやつで、
俺に食えということだろうと思って「ばあちゃん、いいよ」と言ったら、
強く俺の手に押しつけて「たぶん必要になるから。帰りはいらないから、
 勿体ながらずにくれてやりなさい。かわいそうなものなんだから。
 それから、車から出ちゃダメだからね」こんなことを言われた。
まったく意味がわからなかったが、聞き返すのも面倒で、
口を開けた菓子の袋を助手席において出発した。

ナビの指示どおおり市街地を抜けて、南に向かう海沿いの道路に入った。
そこは街灯もまばらな暗い集落の中を通っていく道で、
せまくてあまりスピードを出せなかった。
このもう一本脇に海の見える国道があったと思ったが、自信はなかったな。
ここらは海の潮の関係で瓦屋根の家が多いんだが、
その下はみな木造のボロ屋で、灯りが漏れている家は少なかった。
なんとなく見覚えのある道のような気もした。
50キロいかないくらいのスピードで流してると、
パジェロのボンネットがガコンと音をたてた。
子どもが乗っかって・・・いや、大きさが子どもというだけで、
人間とは思えなかった。

はっきりは見えなかったが、背中はカビが生えたような感じに肌荒れしてた。
思わず急ブレーキを踏んだ。いや、後続車がないことは確認してた。
・・・何もいなくなっていた。さすがに自分が幻覚を見たんだろうと思ったよ。
そろそろと発進させてすぐ、またボンネットにそいつが乗ってたんだ。
今度は止まらなかった。スピードを落として室内灯をつけた。
そしたらそれに反応したようにそいつが振り向いた。
顔の部分には目も口もなくて、房がたくさん下がってたんだよ。
変なたとえで申し訳ないが、
コンドームを軽くふくらませた先っぽくらいの房が、
何百も何千も、顔のある部分から重なり合って生えてたんだ。

「うわっ」と思ってハンドルを切ってしまった。車は路肩に曲がって停まり、
そいつは振り落とされもせずそこにいた。目があるみたいにこっちをうかがって、
フロントガラスに指先を伸ばしてきた。
そいつの指が車の中に入ってきたんだよ。指のあたったところのガラスが、
溶けたように盛り上がって緑っぽい色の指先が2本、3本と入ってきたんだ。
あと少しで俺の顔にさわりそうだった。
車外に飛び出して逃げようとドアに手をかけたくらいだったが、
祖母から「外に出るな」と言われてたことを思い出した。同時に菓子のことも。
菓子の袋に手を入れて一つ取り出し、窓を少し開けて後ろに投げたんだ。
その間、数秒。学生のとき以来あんなに早く動いたことはなかったな。

そいつは弾かれたように動いて、転がってった菓子を追うように消えた。
そのすきに車を発進させた。不思議なことに、フロントガラスには穴もヒビも、
何の跡もついてなかったんだよ。
それからは、そいつがボンネットに現れるたびに窓から菓子を投げるをくり返し、
袋の菓子が尽きかけた頃に、ナビが到着の指示を出したんだ。
叔母さんの家は、でかいJAの倉庫の陰の小さな平屋で、わりと新しかった。
車を停めて様子をうかがったが、そいつのすがたは見えず、
おそるおそる車から出て、叔母さんの家の玄関に立った。
呼び鈴を押すと、ややあって「はーい」と返事があり叔母さんが出てきたが、
記憶とは違って、すごく痩せていて小さかった。

書類の入った封筒を渡したら、俺の顔をじっと見て「○○ちゃんでしょ」と言った。
俺が「実家には戻らないんですか」と聞いたら、黙って首を振った。
あとは話すこともなくて、車に戻った。
菓子の袋には2つしか残ってなかったんで、
どっかで買ってから戻ろうかと思ったが、
コンビニどころか店すら見あたらなかったな。
そういえば祖母が「帰りはいらない」と言ってたような気がした。
びくびくしながら走ったものの、帰りは何も出なかったな。
実家に戻ると、祖父母と母親が居間で待っていて、
祖母が枝豆と瓶ビールを持ってきた。

「ばあちゃん、変な子どもみたいなのが・・・」と言いかけたら、
祖母は黙って首を振ったんだが、
その仕草がさっき見た叔母さんのとそっくりだった。
「怖かったか?」と祖父が声をかけてきたんで、
「じいちゃん、あれって?」同じ疑問を口に出した。
祖父は母親と顔を見合わせていたが、そのまま立って仏壇に行き、
引き出しから紙の箱を出してきた。
そして俺に一枚の写真を渡してよこしたんだ。
その写真はかなり古くなって黄ばんでて、背景はどこかわからない、
山のキャンプ場みたいな場所。
祖父母と俺の両親、叔母さん・・・まだ離婚してなかった父親もいた。

これが後列で、前には小学校低学年に見える俺と、3歳くらいの女の子が写ってた。
祖父は女の子を指さして「この子だよ」と言った。
祖母が小走りに隣の部屋に入っていき、泣き出す声が聞こえてきた。
母親が祖母を追っていって、なだめているようだった。祖父は、
「この子も叔母さんも、お盆に帰ってこれないようなことになってしまった」
これだけ言い、そそくさと写真をしまって口を閉じた。
翌日、祖父母がいないときに母親に改めて聞いてみた。
「叔母さんが亡くなったら教えてあげる」こう言われて、
俺がけげんそうな顔をしたからだろう、
「あの子はもう長くはないから」泣き出されてしまったんだ。
・・・これで終わり。またわかったことがあったら話しにくるよ。


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コメント
bigbossmanさん、おはようございます!!^^

怖いのは苦手なのですが夏なのでm(__;m読まさせていただきました。m(__;m読みやすかったです。^^;ウエカラメセン
悲しみの混じった怖い話だと感じました。

個人的には、お盆、親戚の家、夜の乗り物でのお使いは、、経験的に怖いっす。お盆は、怖い写真のあるお寺とかもあるし。^^;
くわがたお | 2014.08.11 12:01 | 編集
コメントありがとうございます
自分の話は最近、怖くなくなってきてというか、
なんかファンタジー要素が強まっている感があります
現実にいろいろ怖い事件が報道されてて
そちらに勝てないような・・・
お盆に入り、怪談も盛り上がる時期なんですが
bigbossman | 2014.08.11 23:45 | 編集
すごーいですね
さすが・・・・・!
わたしも変形してしまった哀しき妖魅は何度かお目にかかったことがあるのですが、誠に失礼ながらそこまでひどくはなかったです。
おかしな話ですが、伝統的?な姿でした。
供養しておられてもそんな感じなんでしょうか?
makakaraten | 2014.08.13 09:18 | 編集
コメントありがとうございます
この話は何か自分にもよくわからない
事情があるみたいです
bigbossman | 2014.08.13 13:37 | 編集
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