2014.08.14 (Thu)
* やや気持ち悪いかもしれません。

この3ヶ月間いろいろなことがあったのですが、
なんとか気持ちが落ち着いてきたところに、
また怖ろしいことがあったので、ここに話しにきました。
主婦をしていました、子どもはおりません・・・よろしくお願いします。
ええ、一連の出来事は3ヶ月前に始まったんです。・・・月曜日の朝ですね。
わたしがいつも新聞を車庫の前の郵便受けまでとりにいってたんです。
そしたら奥のほうに20cm四方ほどの包みがあるのが目につきました。
油紙と紐でくくられたそれは、
手に取るとにちゃっとした感触があったんです。

表にも裏にも宛名書きのようなものはありませんでしたので、
郵便物や宅配ではないようでした。
直接、郵便受けの蓋を開けて落とし込んだのだと思いました。
とにかく新聞とともに家に持って入ろうとしたら、油紙のはしのほうから、
ぽたぽたと茶色い液体がこぼれ落ちたんです。
「まあ、何かしら」と思い、キッチンの流しで油紙を開いてみました。
少し紙をめくったら、生臭い臭いが鼻をつきました。
我慢して油紙をはがすと、
中には赤黒く腐りかけた何かの内蔵が入っていたんです。

思わず大きな悲鳴を上げてしまいました。
声を聞きつけて、居間にいた主人がキッチンに入ってきましたが、
流しの中の物ものを見て「ヒドイ臭いだな、何だそれ」と言ったんです、
主人は総合病院の外科に勤めていましたので、
内臓などは見慣れているんですが、鼻を押さえながら近寄って、
「人間のじゃないな。動物・・・豚かなんかの脾臓だよ。
 お前だって看護師だったからわかるだろ。これ、どうしたんだ?」
と聞きました。

事情を話すと「ふうん、イタズラか嫌がらせなのかな。
 とにかく警察に知らせたほうがいい。
 警察の上のほうに知り合いがいるから、もう少し後で電話してみるよ」
ということになり、気持ちが悪かったんですが、
内臓は大きめのタッパーに入れて新聞紙で包み、冷蔵庫で保管したんです。
やがて主人は車で出勤し、その日の午前中のうちに警官が家に来て、
その内臓と油紙などを持っていったんです。
これほど素早い対応になるとは思ってませんでしたが、
主人の電話が効いたのだろうと考えました。

警官は、「また何か変わったことがあったら、すぐに知らせてください」
こう言って帰っていきました。
その日の夜のことです。主人に警官が来たことを話し、
11時過ぎごろに寝ました。
うちは寝室にダブルベッドを置いて、主人といっしょに寝ているんですが、
少しうとうとしたと思ったら、トイレに行きたい感じがして目が覚めました。
ところが起き上がろうとしたものの体が動かなかったんです。
俗に言う「金縛り」状態になっているのだと思いました。

感覚ははっきりしてて、横で寝ている主人のかすかなイビキが聞こえたんです。
数分くらい小刻みに体を動かしているうちに目が開きました。
同時に、朝に嗅いだあの内臓と同じ腐った臭いが足下から漂ってきたんです。
目だけでそちらを見ると、ベッドの後方の窓の横の壁から、
白っぽい毛のようなのが2カ所突き出てきました。
それは見る見るうちに大きな球状の毛玉に変わったんです。
何かはわかりませんでした。体を動かそうにも、
声を出そうにもどうにもならず、
目さえ閉じることができなくなっていたんです。

その球状のものは、あるところまで壁から出てくると止まり、
ぐうっと上に反り返りました。・・・豚の頭でした。
最初は頭頂部をこちらに向けていて、
それが正面を向くように顔を持ち上げたんです。
両目は白く濁って膜がかかり、水をかけたように毛が濡れて逆立っていました。
豚は、壁から生えた西洋の剥製のような状態で、
「ぶひひん、ぶひひ」と鳴きました。
豚の鳴き声とは思えませんでした。

人間が無理して豚の真似をしている声に聞こえたんです。
案の定「どうだ、豚の鳴真似までしてみせたぞ。上手いだろう」
こう、トンネルの中でエコーがかかったような男の声が頭から出てきました。
「ぶひひ、内蔵はどうした? 食ったか? 美味かったか?・・・また送ってやる」
続けてこう言うと、顔をこちらに向けたまま壁に引っ込んでいき、
最後に豚の鼻だけを残してしばらくとどまっていましたが、
やがて消えました。その途端、金縛りがとけ、
「嫌ーっ」と大声で叫びながら体を上げて、主人を揺り起こしたんです。

主人は「夢を見たんじゃないか」と言って最初は取り合おうとしませんでしたが、
わたしが「まだ残ってるでしょ、この臭い。感じないの?」と言うと、
起き上がって電気をつけ、鼻を動かしましたが、
「そうだな、腐った臭いがする」と答えました。
2人で、豚の頭が出てきた壁の傍にいって手で触ったりしたんですが、
特に異常は見つけられませんでした。
どうしようもなく、トイレの臭い消しを持ってきて部屋の中にふり撒き、
もう一度寝たんですが、その後は特におかしなことはなかったんです。

翌日、昨夜のことを思い出して怖くなりました。
それで、午前午後と大型ショッピングセンターに行って過ごしたんです。
6時半頃に携帯に主人か「今から帰る」というメールが入りました、
自分の車で家に戻り、鍵を開けようとしたとき、また携帯に着信がありました。
よく知っている、主人の同僚の外科医の方からでした。
出てみますと「とにかくすぐ病院まで来てほしい」という話で、
わけもわからず言われた通りに主人の勤める病院に向かったんです。
病院では同僚の方が玄関で待っていて、別室に通されました。
そこで、主人が亡くなったことを知らされたんです。

主人は駐車場に向かう途中、
たまたま来ていた救急車の車輪の下に体を投げ出し、
轢かれてすぐに起き上がって、エレベーターに乗り、
そのまま8階の女性の集団病棟に入っていって、
開いた窓から飛び降りたんだそうです。
警察も来ていましたし、大きな騒ぎになっていました。
「遺体は手術室に安置していますが、見ないほうがいいです」と言われました。
それからはわけのわからない状態になりました。

主人は自殺で事件性はないと判断され、火葬、葬式と、
まったく現実感のないままどうにかこなしてきたんです。
主人の実家から、義父母始め何人も駆けつけてくださり、
また病院の方もよくしてくださったので、
精神を壊さずに乗り切ることができたようなものでした。
10日ほどで、すべては一段落し、
泊まってくださっていた義父母も実家に戻られました。
くたくたの状態でベッドに寝ていると、
また金縛りになっているのに気がつきました。

前回と同じように豚の頭が壁から出てきました。
見たくはなにのに、どうしても目線がそちらに向いてしまいます。
臭いは一段ときつく、
それは豚の頭が前よりも腐っているからだと思いました。
口からはだらだらと汁がたれ、光のない目で豚は言ったんです。
「成就した、成就したぞ、ぶひひひひ。
 屠殺されたかわりに医者も屠殺してやった。
 これで済んだと思うな・・・まだ終わらないからな」
それを聞き終えて、気が遠くなっていくのが自分でわかりました。

気がつくと次の日の昼近くになっていたんです。
気が狂ったようにわめきながら、たくさんの知り合いに電話しました。
そのうち何人かは家に来てくれ、そのまま私は主人の病院に連れてこられ、
入院することになったんです。
2ヶ月ほど入院し、その間、心療内科の治療を受けていました。
退院してもあの家に戻る気になれず、衣類など身近な品だけとりにいって、
主人の病院のある市から車で1時間ほど離れた実家に戻ったんです。
その後はしばらく平穏な日が続きました。

そして1週間前です。実家の郵便受けにあの油紙の包みが入っていたんです。
わたしは見ませんでした。父が開けたのですが、
グズグズに腐って原型をとどめていなかったそうです。
それを聞いて、すぐに警察に知らせるように言いました。
・・・一昨日です、鑑識の結果が出たと警察から連絡がありました。
豚ではなく、人間の脾臓だったそうです。
状態が悪くてはっきりわからないが、
子どものものではないかという話でした・・・
みなさん、どう思われますか? わたしはどうしたらいいんでしょうか。

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コメント
 典型的な呪詛話かと思って読んでいたら、何か裏設定めいたものがありそうな・・・。管理人さんのルール(?)からすると、これも生きた人間が何かの目的を持って仕掛けているわけで、そう考えるとなかなかエグいですねえ。
 個人的には、二つ目の脾臓が呪いを発揮していたら「何が」出てきたのか気になるところです。
| 2014.08.15 04:57 | 編集
コメントありがとうございます
これは亡くなった方の職業(外科医)に関係あるのではないかと思います
呪いの後半部はこれから進行していくわけですね
この後半と、語り手の対抗手段を書いていけばおそらく全容がわかるんでしょうが
そこまで書くとホラー小説になってしまいますね
bigbossman | 2014.08.15 15:08 | 編集
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