2014.08.18 (Mon)
俺は小さい頃から、いわゆる霊感というのがあったんです。
それに関係した話をします。

これは小学校高学年のときのことです。書道塾に通ってました。
週2回だったかな。小学校より近いところに家から歩いて通ってたんです。
学校が終わってから夕食前までで、終わりが6時30分頃でした。
大きな家の板塀が続く区画を通るんですよね。
昔からの古い家が集まってるところ。
で、冬に入る前あたりの頃だったと思います。
高い板塀づたいに歩いてると、
塀と、別の家の塀の境にちょっとした隙間があって、
そこに霊がいたんです。

見ればわかります。霊は少し透けてますから。
うーん完全に透明なわけじゃなくて、たぶん霊が見せたいと思うところは、
普通の人間と同じく透けてないんですよ。霊の力があまり及ばないところ、
例えば足のほうや、手の先なんかが半透明になってることが多いんです。
ところがその霊は、頭も含めて体がほとんど透けてて、
両手の腕の先だけはっきりしてたんです。女の霊でした。
20代くらいじゃなかったと思いますが、
当時小学生だったんでよくわからなかったんです。

霊はそのせまい塀の間の隙間にいて、
両方の手のひらで塀のある部分を押さえてたんです。
ちょうど人の頭の高さよりちょっと低いくらいの位置でした。
だから手の先がはっきりと見えて、
それ以外の体の大部分は半透明のぼんやりだったんです。
最初は「あれ?」と思うくらいでした。他にもいくつも見てましたし。
ところがその霊は、俺がその場所を通るたび常にそこにいて、
同じ動作をしてたんです。
こういうのは、よほど何かそこに執着したことがあるんで、
あんまり近寄らないほうがいいんです。関係ができちゃうとマズイですから。
冬中ずっと、俺の書道塾の行き帰りは同じことしてましたね。

それが、春になるにつれて少しずつ変わってきました。
塀を押さえている力がゆるみ、
少しずつ顔が濃くなってきて笑みが浮かび始めたんです。
ああ、気味悪いなと思ってました。たぶん霊になにか意図していることがあって、
それが成就してきてるんだろうなって。
5月に入って、かなり日が長くなってました。
塾の帰りでもけっこう明るかったんです。
その日いつもの場所を通ると、その霊が塀から手を離してました。
それだけじゃなく、満面の笑顔で俺のほうを見てたんです。
「ああ、ヤバイ関係がついちゃった」と思いました。

霊は俺に向かって手招きしたんで、近寄っていきました。
こういうときに逆らうとよくないんです。家まで付いてこられたりするんで。
おそるおそる近づいていくと、女の霊は両手で塀のほうを指し示して、
ニコニコ顔のまますうーと薄くなりました。
完全にいなくなったわけではないんです。それは気配でわかります。
霊が指し示した先の塀には、
500円玉より大きいくらいの節穴が開いてたんです。
これは俺に見ろってことだろう、と思いました。
それでつま先立ちして覗いてみると、家の庭が見えました。
和風の大きな家の障子に明るく電気が映えていて、縁側が見えました。

その障子の一枚がバーンと倒れて、和服の女の人が転げるように出てきました。
女の人は霊の顔と少し似てたような気がするんですが、もっと齢いってました。
その後を追っかけるように、年配のやはり和服の男の人が出てきて、
手にゴルフクラブを持ってました。
で、庭に落ちた女の人の頭をクラブで殴ったんです。
ボクッという音が、俺のところまで聞こえてくるくらい強く。
「ああっ」と思いました。今から考えれば、
警察に通報するべきだったんでしょうが、
その当時は小学生で携帯も持ってなかったし、なんともできなかったんです。
下を向いた女の人の頭から地面に血がこぼれていると思いました。

男の人はクラブを今度は竹刀のように上に振り上げて、もう一発・・・
障子の奥から婆さんと若い男の人が出てきて、
クラブを持った人を後ろから抱きとめたんです。
男の人は手を振り回して暴れてました。
そこまで見たとき「くはははははっ」という声がして、
そっちを向くと、女の霊が大きく口を開けて笑いながら、
平泳ぎのように手を動かして夕闇の空に上がっていこうとしてたんです。
霊は俺の顔を見てもう一度笑い声を上げ、そして消えました。
遠くからパトカーのサイレンの音が近づいてきたんで、
俺は後も見ないで走って逃げ出したんですよ。

後で家の夕食のときに話が出ましたが、
クラブで叩かれた女の人は亡くなったそうです。
それをやったその家の主人は、もちろん警察に捕まりました。
原因は浮気がどうのこうのということでしたが、はっきりしたことはわかりません。
母親が「ちょうど、犯行時間のあたり、お前が塾から帰る頃だったんじゃない?
 怖いわね」と言ったんで、
「知らない、怖いね」と答えたんです。
この頃には、見えない人に何かを説明してもムダだとわかってましたから・・・
今から考えれば、あの女の霊は塀の穴を押さえてたんじゃなく、
そっから何か念のようなのを送り込んでたんでしょうね。

その霊ですか?まだしばらく、1ヶ月くらいは見えてました。
塀の上に立ち上がるようにして、ニヤニヤ笑ってたんですが、
俺のほうに視線を向けることはなかったんで、
あのときだけで関係が切れたんだと思います。
だんだん薄くなって、最後は霧の固まりみたいになって、やがて消えましたよ。



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コメント
怖いですね~
浮気相手の生霊かな?
痴情をこじらせて自殺した霊とか・・・・
makakaraten | 2014.08.18 19:36 | 編集
コメントありがとうございます
詳しい事情は自分もよくわからないんですが
霊体と殺された女の人の顔が似ていたというのは何か気になります
bigbossman | 2014.08.18 21:57 | 編集
 幽霊の見え方に関する解釈がとても面白いですね。「なぜ透けているのか」ではなく「なぜ見えているのか」に着目している感じでしょうか。
 あと、小学生当時の語り手氏が妙に大人びていますねw とはいえ、リアル霊感があったらこんな子供になってしまうのかも・・・
| 2014.08.20 17:15 | 編集
コメントありがとうございます
霊が集中してない部分はぼやけるというか
必要な部分がはっきり見えるんじゃないかというのは
昔から考えてはいたんです
bigbossman | 2014.08.20 21:06 | 編集
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