クトゥルー神話について

2014.08.31 (Sun)
 今夜はブログの模様替えに時間をとられてしまったので、
(たいしたことはやってないですが)クトゥルー神話の話をしてみます。
もちろん、オカルトホラー好きの方はご存じでしょうが、
クトゥルー(クトゥルフ)神話は、
アメリカのパルプ雑誌作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトを
中心にして組み立てられた架空の神話体系です。
クトゥルー(Cthulhu)というのは邪神の一柱の名で、
蛸と蝙蝠のモチーフを持った巨大な海の怪物です。
この発音(カタカナ表記および英単語)は便宜的なもので、
本来は人間には発音不可能な言葉として設定されているんですね。

 ラブクラフト自身は、神話という意識は持っていましたが、
綿密に体系づけて書いていたわけではなく、神話の全体像については彼の死後、
友人であったオーガスト・ダーレスが作品の時系列や邪神の分類などを整理しました。
その後時を経て、この神話体系は多くの作家にリスペクトを持って受け継がれ、
新たな作品群が生まれています。
ラブクラフト自身は、自分の作品群を「コズミック・ホラー」と呼んでいました。
これは難しい概念を含んでいるのですが、あえて簡単に言えば、
絶対に理解も意思疎通も不可能な宇宙的存在に対する恐怖、というようなことです。

 自分は、仕事で外国、中国やインド、ロシアなどに行きますが、
最初にインドに行ったときは、宗教的な慣習の違いもあるんでしょうが、
あまりの考え方の断絶に絶句することがたびたびありました。
これが同じ人間の思考なのかと信じられない思いで、つねにカッカしていたんです。
・・・これと比べるのも変なんですが、
自分の理解を遥かに超えた異質のものが存在することを知って、
狂気に落ちていくことというのが、
ラブクラフト作品に共通したテーマとなっています。

 面白いと思うのは、ラブクラフトはアメリカでの心霊主義の流行を経験していながら、
その影響がほとんど感じられないことです。
むしろ幽霊などは、人間的な概念(恨みや無念、呪いなど)から生まれたものとして
積極的に排除しています。ではSF的になっているかというとそうでもなく、
科学的な単語も滅多に出てきません。
やはりホラーであるとしか言いようがない作風なんですね。
このあたりがラブクラフト独特の魅力なのだと思いますが、
実際に書いてみるには難しい面が多々あります。

 類型的なクトゥルー話は、まず図書館で古い本を見つけたり、
海辺で変な像を拾ったりして、それを調べるあたりから始まります。
で、調べ進むうちに人間の理解を超越した異形の神の存在に思いあたる。
しかし完全な理解はできません。目の不自由な人が象を触る逸話がありますが、
あんな感じでそのほんの一部だけを理解する、そして狂気に堕ちてしまうわけです。
やがて邪神のどれかが、自分を感知したものの存在を知り接触してきます。
そこで怪異が起こり、接触者は悲惨な末路をたどることになります。
ただ、こういう話の進行はやはり古めかしいため、
最近のクトゥルー作品はさまざまなバリエーションがあり、
設定がかなり自由に使われています。

 あと、クトウルー神話は実話怪談で出てくることはあまりありません。
これは当然で、ダゴンなどの固有名や、「ルルイエ、フタグン」などの呪文を出すと、
それだけで創作であることがわかってしまいます。
自分の場合は創作であることを明記して書いているので、
使っても問題ないし、試してみたい気もあるのですが、
話が大がかりになってしまいそうで、なかなか踏み込めないでいるところです。

関連記事 『ラブクラフトと映画「ダゴン」』

『大いなるクトゥルー』





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コメント
そもそも書いてもクトゥルーファンにしか面白がってもらえないような気がする(^^;)

方法があるとしたら、

① 「クトゥルー」「ネクロノミコン」などの言葉を使いながらも、「恐怖の焦点をそうしたものからずらす」

② 「邪神」だの「クトゥルー」だのといったものは一切使用せずに、誰にでもわかるようにコズミック・ホラーを書く

くらいでしょうかねえ。

今書く意味があるとしたら②かな。例えば、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの某作品が、「クトゥルー神話」として青心社のシリーズに入っていますが、ああいうノリでコズミック・ホラーとして読み替えていける作品を書く、という。まあ、あの読みはかなり強引だったように思いますが(笑)。おもしろかったからいいけれど。
ポール・ブリッツ | 2014.08.31 19:35 | 編集
コメントありがとうございます。
このブログに記事がありますが、小林泰三氏の「玩具修理者」なんかは、
「ようぐそとほうとふ」という名前は使ってるものの、
神話体系とはあまりつながりのない内容ですね
bigbossman | 2014.08.31 19:55 | 編集
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