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スプラッター考

2014.09.01 (Mon)
 スプラッターというのは、基本的には映画で用いられる言葉で、Wikiでは、
「殺害シーンにおける生々しい描写に特徴のある、映画の様式のひとつである」
となっていました。この「殺害シーン」という部分には少し異論もあるのですが、
血しぶき、飛び散る肉体やこぼれ落ちる内蔵などが出てくるシーンは、
基本的にスプラッターと言われます。
代表的な作品としては、ジェイソンの登場する『13日の金曜日』
シリーズを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
ただ、ジェイソンやその亜流の殺害シーンは一瞬で、
おそらく被害者のほとんどは瞬間的な苦痛のみで即死してしまうように見えます。
斧が頭に食い込んだままバタンと倒れるようなシーンでは、
笑ってしまう観客もいますね。
 
 最近は少し傾向が変わってきて、『マーターズ』や『ホステル』シリーズのような
拷問映画と呼ぶべきものが多くなってきました。
被害者が例えば足を切り離されたままで、
苦痛を感じながら生きているシーンなどが出てくる作品です。
こちらの場合は、上記したようなスプラッターとは違って、
死の恐怖の他に、肉体損壊の恐怖というのが加わります。
例えば顔の皮を剥がされた被害者は、その場を生き延びて手術をしたとしても、
容貌が醜く変わってしまうでしょうし、
足を切り離された被害者には障害者としての生活が待っているわけです。
死では終わらず、その後の苦痛や苦悩を観客に感じさせるという手法なわけです。

 では、スプラッターはマンガや小説で効果的に用いることはできるのでしょうか。
これは個人的にはなかなか難しいんじゃないかと思っています。
マンガの場合は、作者の絵柄の個性によって、
独特の衝撃を読者に与えることは可能でしょうが、
文字だけで表現するのはかなり難易度が高いのではないのでしょうか。
映画の昔の作品ならともかく、特殊効果の発達した映像技術には勝てない感じがします。
小説は、どうしてもそのシーンを読者に想像してもらわなくてはならないからです。
例えば、「マスクの男は秋江の口に指を突っ込み、
ものすごい力で頬の肉を耳のあたりまで引き裂いた」
こういう描写があったとして、頭に浮かんでくるシーンというのは、
読む人ごとに違うのではないでしょうか。

 もし解剖学に詳しかったり、かつて映画で似たようなシーンを見たことがある人は、
頭に浮かぶ映像がかなり具体的でしょうし、
そうでない人は、顔の皮が紙のようにペロンと剥がれた、
ギャグマンガみたいなシーンを想像するかもしれません。
 では、文章で詳細に血の流れる様子や、
飛び出す血管や脂肪、骨などを書いたとしたらどうでしょう。
これだと映像では一瞬のことが数行の描写になってしまうので、
詳しく書けば書くほど、
読者がイメージ化するのに疲れてしまうのではないかという気がします。
このあたりのことは常々考えているのですが、
なかなか難しく、うまく手法化することができていません。

 日本だと、綾辻行人氏の『殺人鬼』シリーズは、
殺戮描写が詳細で、スプラッター的と言っていいと思います。
あるいは平山夢明氏の短編とか。
海外だと、クライブ・パーカーの諸作とかが有名です。
これらを読んで自分が感じるのは、あたり前の話かもしれませんが、
映像と文字表現は違った特性を持っているということです。
やはりその特性を生かしながら怖さを追求していくしかないんじゃないでしょうか。
舌足らずな話ですみません。
このテーマはもう少し考えがまとまったらまた書きたいと思っています。
 そんなわけで、自分の書く怪談はあまりスプラッターシーンを出していませんし、
生理的嫌悪感を用いたものも多くはないんですね。

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コメント
はじめまして、度々訪れては何も言わずに去るを繰り返し、不可解な思いをさせて申し訳ありませんでした。

ふとこの記事を読ませていただいて、文字表現の難しさという、自分も常々感じていたことに対して言及されていたので思い切ってコメントさせていただきました。

映像では一瞬で伝えられる情報も、それを文字のみで表すにはどんなに簡略化しても決して速さと明瞭さの点で勝つことができません。
それでも、あるいは読み手によって様々な受け止め方ができるというところは、きっと文字表現ならではの強みとなるのでは、と考えています。

個人的には自分の思い描く世界が適格に伝わるよりも、一人ひとりの価値観やその時々の感情によって無限に世界が広がっていくことの方が嬉しいです。
やはり読み手なくして小説は成り立たないと思うので……

乱文でのお目汚し失礼しました。
これからも活動の方がんばってください。
×丸@チルド | 2014.09.02 00:57 | 編集
友成先生はどうですか?
ポール・ブリッツ | 2014.09.02 15:42 | 編集
コメントありがとうございます
自分はひたすら恐怖というのを追求しようと思ってこのブログを始めたのですが、
他のジャンルもそうだとは思いますが、怪談の場合はとくに
人によって怖さのつぼが違っているように感じます
おそらくこちらの意図とは違うところで怖がってくれたり
ということもあるような気がします
特に自分の話の場合は、事実関係がはっきりせず
不可解なもやもやを残して終わるものが多いので・・・
そういう面も活字表現の強みではあるのかと思ったりもします

今後ともよろしくお願いします
bigbossman | 2014.09.02 21:47 | 編集
コメントありがとうございます
友成純一先生も、たしかにグロシーンの多い作風ですが
自分はあの異質な世界と奇妙な筋立ては
ファンタジー的でもるように思っています

bigbossman | 2014.09.02 21:49 | 編集
まことに勝手ながら、リンクさせてもらいました。

真摯な創作態度に感銘を受けて……。

事後承諾を迫るみたいな形になってすみません(汗)
ポール・ブリッツ | 2014.09.03 17:02 | 編集
コメントありがとうございます
真摯な・・・ということもないですが・・・
話を書く時間は1日1時間以内と決めているので
中途半端なものばっかりできます
リンクしていただけるのは光栄です
自分は、このブログもいつやめちゃうかわかんないので
ブロ友などはご迷惑をかけるといけないので
遠慮させていただいているんですが

bigbossman | 2014.09.03 21:51 | 編集
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