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ショッカーシーン

2014.09.07 (Sun)
前回は、スプラッターという表題でしたが、残虐、拷問系の話が多かったので、
今日はショッカーについてちょっと書いてみます。
ショッカーと言っても、もちろん昔のヒーロー物に出てくる悪の組織のではなく、
映画の1ジャンルのことです。
この用語は実は混乱があって、もともとはスリラー映画という言葉ができる前に
その手の映画を称してショッカーと呼ぶことがあったようです。
自分の場合はこけおどし的なショッキングシーンを含んでいる映画、
という意味で使っています。

血の美学系、拷問系というか、被害者の苦痛を長時間映すようなタイプの映画は、
どちらかと言えばヨーロッパに多いです。
これは、ヨーロッパのほうがアメリカのハリウッド映画より規制がゆるいことや、
パゾリーニなどからの伝統も関係していると思われます。
それに対し、アメリカの場合は独立系には様々なものがありますが、
いわゆるハリウッド映画はショッカー系ホラーが多いようです。
つまり、音響や怪物の登場のしかたなどで観客を驚かすタイプです。

殺人鬼物でも、多くの場合、被害者は一瞬で頭を割られたり首を切られたりして、
その場面自体は怖いといえば怖い(というか笑いも出ます)ですが、
むしろそこまでの持っていきかたにハリウッドは多くのノウハウを持っています。
これは昔のスリラー映画(ヒッチコックのような)の全盛時代から、
長い時代をかけて培われてきたものなんですね。
その当時は、オカルトホラーはまだ市民権を得てませんでしたが、
むしろ最近は逆転?が起きて、オカルト要素のないスリラー、サスペンス映画でも、
ホラーと呼ばれることが多くなってきています。

前にも少し書きましたが、人を驚かすためには心理学が必要です。
観客の精神の緊張と弛緩が巧みに操られているんですね。
例えば、主人公が部屋に一人でいるとドアが何度も強くノックされる。
やがてノックの音はやみ、時間がたって主人公がおそるおそるドアを開けてみると、
そこには誰もいない。ほっと一安心して部屋に戻ろうと背中をむけたとたん、
上から化け物が落ちてくる・・・
まあ、これはわかりやすい一例ですが、この手のお化け屋敷のように人を怖がらせる
(縮みあがらせる)テクニックが映画では蓄積されています。

では、この手のテクニックは小説のほうでうまく使えるでしょうか?
自分でやってみた限りではなかなかこれも難しいんですね。
まず視点の問題があります。映像のカメラは、遠く引いて登場人物を映したり、
あるいは登場人物の視線になったり(ドアノブを持つ手を映したりする)
自在に切り替えることができ、違和感があまりありません。
ところが、小説では3人称から1人称に切り替えたとしてもそんなに効果的とは思えないし、
「ぎゃああああああああああああ」なんて書いても、まず驚いてはくれません。
あと、映画の場合は無意識に耳に入っている効果音や音楽の影響も大きいですし。

「背を向けたとたん、
 いきなりクローゼットの扉が開いて、斧を振りかざした殺人鬼が飛び出した」
こう書いて縮みあがる人はまずいないでしょう。
実際の怪談ではよく、「そして彼がそのドアを開けたとき・・・」ここまで話してから、
おもむろに聞いている人の耳元で「ワッ!!」と叫ぶなんてのがありますが、
これも映画に近い手法wです。

・・・違う物だと言ってしまえばそれまでなんですが、
やはり文字表現の特性を生かした怖さ、というのを工夫していかなくてはならないようです。
特に自分のようなショートショートに近い短い話の場合は、
人物に感情移入させるための十分な描写もできませんし、
やはり読者が深層意識に元々持っている恐怖のつぼを刺激して、
怖さを引き出すという手法を工夫していかなくてはならないかなと思っています。

関連記事 『スプラッター考』

『Black Christmas(暗闇にベルが鳴る)』




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コメント
 あまり関係ないですが、ヒッチコック御大の「サスペンスとスリルとショックの違い」論(列車のあれ)を思い出しました。ぜひ、ホラーも定義して欲しかったですね。
 そういえば「恋はスリル、ショック、サスペンス」という曲名を聞いたとき、万能すぎるだろ恋・・・とツッコミ入れたなあw
| 2014.09.08 11:20 | 編集
先日WOWOWで、懐かしの映画『死霊のはらわた』という映画を観ました。
高校生の時でしたが、当時はこんなリアルなえぐい映画があるのかと思って興味津々で観たものですが、今見てみると、リアルさでは現在のCGやメイクには勝てませんし、内容はシンプルなので分かりやすいと言えば分りやすいのですが、ま、ちょっと物足りないような。
しかし、手作り感満載ではあり、初期のスプラッタを考察するにはいい材料かもしれません。
日本では『ハウス』という映画が私には忘れられません。
コッポラ監督の『ドラキュラ』は正統派の手作りホラーとして好きな作品です。
makakaraten | 2014.09.08 19:11 | 編集
コメントありがとうございます
ヒッチコック全盛時は、オカルトホラーはまだまだだったんですが
そのコメントは自分も聞いてみたいです
氏の「サイコ」や「鳥」はホラーの分野でも多くのフォロワーを生んでますし
bigbossman | 2014.09.09 00:24 | 編集
コメントありがとうございます
『死霊のはらわた』は自分はリアルタイムでは見ていないんですが
その後スプラッターブームを巻き起こしましたね
ゾンビ物は低予算でも昔は作りやすかったんですが
今はみな大がかりになってしまいました
でもチープなものには味があります
bigbossman | 2014.09.09 00:27 | 編集
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