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黒焦げ

2014.10.04 (Sat)
先月にアパート引っ越しまして。理由はバイト先に近いことと、
家賃が前のとこより安かったから。
大学には遠くなってしまったけど、来年4年でもうあんまり授業もないですし。
新しい部屋は、敷金、礼金もなかったんです。これでなきゃ引っ越さなかったと思います。
でね、引っ越しといっても荷物はごくわずかなんで、
軽トラ借りて友人2人に手伝ってもらってやったんです。
部屋は一間にキッチン、風呂トイレありで、築20年以上ってとこでしょうか。
なに、バイトが多くて部屋は寝るだけみたいなもんですから、十分です。
でね、荷物を運び込んで、テレビとかつないで一息ついたとき、
友人の一人が変なことを言い出したんです。
「せっかくの新居だから写真撮ろう。何か変なもんが写るかもしれんぞ。
 自分の部屋で心霊写真撮れたら怖いだろ」

そういうのが好きなやつでしたから、悪趣味、悪ふざけでやってると思いました。
俺はぜんぜん信じないタイプなんで「おー面白れえじゃねえか。ひととおり撮ってくれ」
こう答え、そいつが部屋を違った角度から4枚、
トイレ、風呂を1枚ずつ携帯のカメラで写したんです。
すぐに終わって「霊ちゃん、いてちょーだいよ」とか言いながら、
そいつが1人で画像見てたんですが、すぐ「あー、なんだコレ」って叫んだんです。
そんときもまだふざけてるんだろうと思いましたが、
集まってのぞき込むと、一枚の画像にありえないものが写ってたんですよ。
それは入り口のドアのほうから、部屋の奥についてるキッチンに向かって撮ったやつで、
画面の向かって左側、ちょうどガスコンロのある前の床に、
黒いものが長々とのびてたんです。それが、うつ伏せになってカメラ側を向いている人、
それも黒く焦げてガザガザになった人の死体に見えたんです。

「ウッソだろ~」口々にこう叫んだくらい鮮明に写ってました。
「お前、フォトショやってたよな。何か画像にトリック入れてないか?」
「無理だよ。ここに来たの始めてで、元画像持ってないから」
それにしても、見れば見るほど不気味で、
黒焦げの人はこっちに向かって右手をのばし、虚空をつかんでたんです。
「もしかしてここ、マジでヤバイとこなんじゃないか」
「そういえば部屋に比べてキッチンが新しい感じがするよな。
 窓のサッシもゴミついてないし、こっち側だけ改修したようにも見えるな」
「当然デジタルだから、2重写しとかのトリックもきかないし」
友人らが好き勝手に気味の悪いことを言い出しましたが、
そのうち写真撮ったやつが「うーん、これちょっと俺やってみるわ」こう言って、
画像に焼死体?のある部分にうつ伏せになって同じポーズをとったんですよ。

「どうだ、何か感じるか?」「うーむ、わからんな」とか言ってましたが、
突然「あちちいっ!」と叫んで跳ね上がったんです。
それも体操選手みたいにうつ伏せの状態から。
「あち、あちちちち」友人は蛇口をひねってシンクに頭を突き出し、
ジャーッと首筋に水を浴びたんです。1分以上そうしてましたが、こっちに向き直ると、
「・・・撮んなきゃよかったこんな写真、俺、死ぬじゃねえか」低い声でそう言って、
すたすた部屋を出てってっしまったんです。
あまりのリアクションに、こっちもしばし固まってしまい、
「追い待てよ!」と追いかけたときには、やつはバイクに乗って走り去ってしまった後でした。
「なんだよアレ」 「マジでこの部屋で焼死した人がいて、その霊が乗り移ったとかか」
「まさかそんなこと」 「でもよ、確かに写真に変なものが写ってたよな」

「・・・・俺、死ぬって言ったな」
その携帯は友人が持ってってしまったんで、画像はもう確かめることもできませんでした。
その日は引っ越しの手伝いの礼に、
鍋でもつついて部屋で飲もうって計画を立てて、金も用意してたんですが、
こんなことがあって気勢をそがれ、もう一人の友人も帰ってしまいました。
で、部屋に一人になったら、やっぱり気味悪いんです。
焼死体があったキッチンの場所もそうだし、部屋全体もね。
しかたなく発泡酒をあけて、ふだん滅多に見ないテレビを音量を高くしてつけてました。
で、9時過ぎ頃、俺の携帯にメール着信があったんです。
見てみると、さっき写真を撮った友人からで、
「気にするな あの画像はトリックだ 昨日ふざけて作ったのを重ねたんだよ スマン」
こんな内容だったんです。

そういうことが可能なのかどうか俺にはわからなかったですが、
なんかビビってたのが馬鹿らしくなって、電話して文句言ってやろうと考えました。
ところが、その友人につながらないんです。呼び出し音じゃなくて不在通知で。
でもメールが来てすぐにかけたんだから、
これもおふざけなんかと思いまた腹が立ってきました。
その直後です。別の友人から連絡が入り、
それは「○○(写真撮ったやつ)の家が火事になったみたいだ」というもんでした。
友人は自宅通学で場所は近くでもないんですが、部屋にいるのがホントに怖くなってきて、
チャリで行ってみたんです。そしたらマジに火事でした。
まだ煙と炎があがってる状態で、消防車が多数出てて近づくこともできなかったです。

ただ、野次馬が家の人はみな救出されたみたいだと話してたのを聞きました。
でもね、結果としては、友人は逃げ出したものの気道に大やけどをしていて、
その日のうちに病院で亡くなりました。それ以外の家族は軽いやけど程度でしたよ。
もちろん携帯の画像がどうなったかわからないし、
友人の葬式にも出たんですが、聞くことはできなかったです。
火事の原因は、火元は友人の部屋ってわかったんですが、
家は全焼でそれ以上はまだ不明のみたいです。煙草を吸ってたんであるいは・・・
あと俺のアパートのほうですが、これはケンカ腰で大家を問い詰めたんです。
返事によっては解約して出てもかまわないと思ってました。

ところがね、俺の前にはやはり一人暮らしの大学生が3年間住んでて変わったことはなし。
そいつは一流企業に就職したとか余計なことまで聞かされました。
その前は短期で工事の人が住んでて、
そのときボヤがあったのは確かで部屋も改修したが、
油を焦がして天井や周囲が煤けた程度で、死人どころかケガもなかったそうなんです。
それ以前は新築にまでさかのぼって、死人も火事もなし・・・
これは不動産屋にも確認したから間違いないです。でね、結局部屋は出たんです。
友人のことはもちろん、焼死体?のあったキッチンの部分が気になって、
そりゃいられないでしょ。アパートは今もありますよもちろん。
新しい人が入ったかどうかはわかりません。もう近づきたくないんですよ。



*この話には元ネタがあって、心霊オカルトに詳しい方ならご存じかもしれません。
2001年12月8日の朝日新聞の『おいしさ愛情便』という読者の創作料理を紹介するコーナーで、
焼死体と思しき奇妙なモノが写っているとして話題を集めました。

>記事:『冬の野沢菜カレー 〜意外に合う和風の具〜 』
6年前にインドに行って以来、様々なカレーを創作しては、友人らにふるまっています。
冬に、長野の実家から届いた野沢菜を付け合わせたところ、とても相性がよいことに気づき、
食感のバランスを考えながら、旬の食材を取り入れるなど、具や味付けに工夫を重ねています。
(江東区自由業 26歳)


下にその画像を載せておきます。
これは自分の見るところでは、壁に掛けた絵かポスターが写り込んでしまったものだと思いますし、
ネットでもそのような意見が多いです。もしかしたら彫刻の写真かもしれません。
美術に詳しい人なら元のが何かもわかるんじゃないでしょうか。
よく見れば、キッチンの床と、焼死体?の寝ている床の高さや角度が合っていませんし、
色彩のトーンも違いますね。
この画像だと不気味な感じですが、全体を見ないとわかりませんし、
自由業の方の好みとしてはありな気もします。
まあ、こういうあまり役にもたたないようなオカルト知識も頭に詰まってて、
自分の怖い話のネタになってるわけです。





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コメント
 これは怖いですね。不条理節が全開で、読後感の悪さ(褒め言葉)もほどよいです。元ネタの写真も心霊写真なら普通に怖いし、ポスターなら貼る人のセンスが怖いし、コラだとしても動機が怖い・・・
| 2014.10.07 19:44 | 編集
コメントありがとうございます
この画像はかなり評判になりましたが、コラではないと思います
新聞を見た人はぎょっとしたでしょうね
カメラマンは何も思わなかったのか?
bigbossman | 2014.10.07 22:01 | 編集
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