宇宙人ものを書く

2014.10.08 (Wed)
 怪談のジャンルの一つに「宇宙人もの」と分類される一群があります。
自分の書いた話だと『夜景』なんかがそうですし、他にもいくつかあります。
『夜景』は、自分としては言葉を抑えてよく書けたほうだと思ってます。
実話怪談の本ではちょこちょこ見かけますが、
ネットではあまり書く人はいないようです。
ふつうは宇宙人あるいは宇宙船が出てくる話はSFと呼ばれますが、
怪談の場合は、あたり前ですがSFになってはならないことが大切だと思います。

 では、どうすればSFにならないか、これはそう難しくありません。
オカルト宇宙人の持っている「うさんくさい」部分を強調すればいいのです。
例えば、たま出版社長の韮澤潤一郎氏を思い浮かべてもらえばいいでしょう。
氏の主張する、宇宙人は住民票を取って地球人の中にまぎれているなどの話は
まさにオカルト宇宙人ものの典型です。
ああ、これは眉唾だなという感じが全体に流れているほうがいいのです。
宇宙船を出す場合も、科学に基づいた複雑なものより、
ハリボテ感のある、昔ながらの単純な形態のものがいいようです。

 その他、ご存じの方も多いと思いますが、
キャトル・ミューティレーション
(動物の死体の一部が切り取られ、しかも血液がすっかりなくなるという
 異常な惨殺事件のこと。1960年代前半から、おもにアメリカで起きた。
 不思議な光線に捕獲され、牛馬が宙に浮かんでるようなイメージ)

エイリアン・アプダクション
(様々な方法で宇宙人にさらわれ、人体実験材料にされる。
 アメリカ人の4人に1人はアプダクションされているという研究者もいる。
 車で走ってたらUFOに追いかけられたなどもあるが、実際によく聞く話としては
 寝室で寝ていて気がついたら宇宙船の中にいたという場合である。
 どうやって連れていかれ、また帰ってきたかはあいまいであることが多い。
 これは思わず「金縛り=睡眠麻痺」ではないかと突っ込みを入れたくなるが、
 興味深いのは、日本人は金縛りの幻覚で落武者wとか、
 心霊的なものを多く見るのに対して、アメリカ人はUFO系が多いこと。
 宇宙人に調べられている間に体の組織を切り取られたり、
 体内に異物を入れられたりした・・・エイリアン・インプラント という証言も多い。
 中には宇宙人と性交したり、重要な予言を授かったとする証言まで存在する)

エリア51的秘密基地
(エリア51はアメリカネバダ州にある空軍の管轄地だが、宇宙人と合同で、
 超テクノロジーの研究が行われているのではないかという噂がある。
 この場合、宇宙人が地球に来ていることはアメリカ政府高官は知っていることとされるが、
 話に書く場合は宇宙人単独の秘密基地であってもかまわない)

グレイ
(特にアメリカで上記のアプダクション事件にかかわるとされることが多い。
 宇宙人の1タイプ。昔のアメリカでは宇宙人はタコ型のイメージが多かった。
 これがどういう理由でグレイ型に変わってきたかについては興味深い研究があるが、
 ここでは割愛)

メン・イン・ブラック 略してMIB
(UFOや宇宙人などの目撃者・研究者の前に現れ、警告や脅迫を与えたり、
 さまざまな圧力や妨害を行う謎の組織とされ、実在するしないに関わらず、
 その存在自体が一種の都市伝説や陰謀論となっている)

 うさんくさいですよね。
これらを効果的に使い、細部をぼかしながら書くと宇宙人ものの怪談になります。
ここで大切なのは、正確な科学タームや理論を使ってはならないということです。
そういう言葉を入れると全体に影響を及ぼして怪談ぽくなくなってしまいます。
地球空洞説やラジオニクス、次元断層などの疑似科学系ならいいかもしれません。
時間がとんだり、場所がワープするのもよくありますし、秘密を知ったがために、
MIBを思わせる秘密組織につきまとわれるなどの展開もお約束です。

 このUFOものが盛んになったのは、やはり『新耳袋』の「山の牧場」
という話の影響が大きいと考えられます。
有名なので当ブログをごらんの皆さんはご承知かとは思いますが、
いちおう概要を述べると、
(ふと未舗装の山道を見つけ車で登ると、頂上の「牧場らしき土地」にたどり着く。
 牛舎があるものの、牛を飼った形跡がなく、屋根の端の部分が半球型にくぼんでいる。
 草むらの中に屠殺された家畜を祀る碑がある。ひっくり返ったトラクターがある。
 実験室らしい建物があり、謎の機械がある。
 壊れたビーカーや試験管等の実験器具がある。2階建ての建物があり、
 一階には階段があるが途中で切れていて2階に入れない。
 坂の上から入った2階の和室には人形などが数体転がっている。
 神社のお札が何百枚と部屋に貼られている。
 白いペンキで「たすけて」と襖に殴り書きされている。
 別の部屋にはぶ厚い医学書が転がっていて、
 その壁には不思議な記号がびっしり書かれている)

 科学っぽいところ(実験器具)もありますが、
御札やESPカードを連想させる記号などの
オカルト小道具が混じり合っています。
そのために、えも言われぬ不気味さが出ていると思います。
この「山の牧場」は実際の場所が特定され、
動画サイトにもその様子があげられています。
それを見るとかなり話が盛られていることがわかりますが、
ネタバレになるのでここらへんで。

関連記事 『夜景』

関連記事 『やり直す』



 皆既月食があり、
みなさんのブログで様々な写真を拝見させていただきましたので一言。
日本神話だと、「月読命」が夜を統べる月の神として出てきます。
男神と考えられることが多いようですが、実際の性別ははっきりしませんね。
で、兄弟の天照大神や素戔嗚尊はたくさんの出番があるのに、
この神は記紀の中ではほとんど活躍しません。
それに日本神話にはギリシャ神話のような星辰の話もあまりないですよね。
これは占星術師として残念に思っています。
なぜ少ないのか、わが国での暦の発達史と関係があるのではないかと考えます。

 古代日本は農耕中心の社会で、そのため太陽暦による季節が、
種まきや収穫に関わることとして重要視されてきたと思われます。
これは太陽の観察以外に、開花や渡り鳥など生物季節も併用していたのでしょう。
2分2至(春分、秋分、夏至、冬至)がわかればよかったのです。
そして、ついたち、ふつかと日を数えることは、
あまり重要視されていなかったのではないでしょうか。
おおらかな生活であったと思われます。
「ツクヨミ=月読」は月齢を読むことと考えられますが、
完全な太陰暦でやってくと実際の季節とどんどんずれていき、
閏月などを設定しなければならなくなります。
農耕に支障をきたしてしまうのです。

 それと数学の発達です。
古代中国では早くから天文計算による暦作りが行われましたが、
日本ではそれが遅れたため、月や星の神話があまりないというのは考えすぎでしょうか。
ちなみに『日本書紀』では、
暦が登場するのは欽明天皇14年(553年)条が最古で、
同年6月に百済に暦博士を日本に派遣することを求めています。
また、推古天皇10年(602年)に百済から学僧観勒が、
暦本や天文地理書などを携えて来日し、
幾人かの子弟らがこの観勒について勉強したとあります。

『Catle mutilation』




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コメント
わたしの場合は理屈で落としたがるクセがありますから、「宇宙人」を出すとSFになっちまいますねえ。

二十年以上前、創作の怪談集で、「生物学実験所にひとりで居残り勤務している科学しか信じない頭の固い学者の卵」がなにものかから話しかけられる、という怪談を読んでも、「これただのSFじゃないか」と思ったくらいで。

わたしがクトゥルー神話を好きなのも、その通俗SF性にあるんだと思います。最初にハマったのはラヴクラフトよりもダーレスのほうだし(珍しいかな(^^;))

やっぱりわたしのホラー作品は、ホラーがかったSFなりミステリなのかもしれませんね、畢竟……。

まあコワかったらいいか!(笑)
ポール・ブリッツ | 2014.10.13 21:01 | 編集
コメントありがとうございます
自分は創作怪談ということで書いてるんですが
ホラー小説の場合はさまざまアプローチの方法があると思います
やはり「怖さ」が評価される大きなポイントになるでしょうね
bigbossman | 2014.10.13 22:26 | 編集
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