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異能者たちの系譜2

2014.10.14 (Tue)
前回、やや中途半端なところで終わってしまったので、続きです。
黒魔術からでした。

19世紀頃の西欧では、迷信、悪魔崇拝、神秘学や神智学、心霊主義なんかが
ごちゃごちゃに入り乱れていたんですが、(なぜそうなったのかは、自然科学の発展、
特にダーウィンの進化論により、キリスト教が力を失ったことが大きい)
これらから魔術を体系的にまとめていったのが、
近代魔術の祖と言われるエリファス・レヴィでした。
レヴィの影響から、黄金の夜明け団などの魔術結社、アレイスター・クロウリーなどに
つながっていくという流れだと思います。

エリファス・レヴィ Wiki

近代西洋儀式魔術 Wiki

怪談に西洋魔術師を出すのは難しいですよね。
ファンタジーっぽくなってしまいます。
あえて例をあげると、古賀新一氏の漫画『エコエコアザラク』とかになるんでしょうか。
主人公の黒井ミサは黒魔術を操る女子高生だったはずです。
一般に、西洋的なものは怪談に使うのは難しいです。
悪魔、吸血鬼、狼男、黒魔術師、妖精・・・
藤子不二雄Ⓐ氏の『魔太郎が来る!!』なんかも、あれは魔族なんでしょうが、
話としては、現実感を欠いた一種独特の雰囲気になってしまいますね。

神道系

神道系の神主さんは、よく怪談に登場します。
お寺さんとどっちが多いんでしょうかね。
神道の概念は茫洋としています。これには大きく二つの理由があると考えます。
一つは八百万の神がまします、と言われる多神教であること。
神々は自然や自然現象、亡くなった偉人が祀られたものなど多様ですが、
それぞれの属性が大きく異なっていて、上下関係などもはっきりしません。
同じ多神教でも、ギリシア・ローマ神話などでは神々の序列がきっちりしてるんですが、
日本神話では天照大神が最高神なのかというと、疑問だらけになってしまいます。

もう一つは、神道にはキリストや釈尊のようなカリスマ的創始者がなく、
(キリスト教の神はもちろん天地を創造する前から在るわけではありますが)
聖書のような教典もないことです。
あえて教典をあげれば『古事記』や『日本書紀』などでしょうが、
これらは8世紀に成立した書物で、
どれだけ原初の神道の様子を伝えているのかは疑問があります。
神道はそもそも、どういう形で成り立って、
何を目的とするのかもよくわからないんですね。
ですから他の宗教のように、積極的に布教するという態度も見られません。
「ハレ」と「ケ」、「穢れ」と「清め」なども簡単に論じられるものではありません。
考古学的な知見が必要です。自分は大学で考古学を学びましたので、
弥生時代の宗教的な知識を少しずつ溜め込んでいるところですが、
先は長いです。

あと、奈良時代以降、神道は仏教と混交しました。
神道の神は仏教の神が姿を変えたものであったとされるのです。
例えば、弁天様はヒンドゥーの女神サラスヴァティーであると同時に、
神道の宗像三女神の一人である市杵嶋姫命でもあるという具合です。
歴代の天皇も、神道の最高の祭祀者であったわけですが、仏教の隆盛により、
死後は火葬され、葬儀も仏式でとりおこなわれるようになります。
以後、この形がずっと続いていたのですが、江戸時代になって国学が興り、
神道が見直されるようになります。
平田篤胤らによって「かむながらのみち」が日本の古来の精神であったとされ、
これが明治維新の尊王攘夷運動のイデオロギーに取り入れられることとなったわけです。
ここで「復古神道」が産み出されました。

復古神道というのは、あくまでも「復古」であり、
原初神道を正確に再現したものではありません。正確に再現することは、
上記したように、日本は長らく文字による記録がなかったため不可能なわけですね。
加えて、復古神道には皇道の正当性を天下に示して、
天皇を祭祀の中心に戻すという政治的な役割がありました。
この理念を元に、神仏分離、廃仏毀釈、神道国教化が推進されていったんです。
ですから現在の天皇の国事や神社の神事には、
この江戸末から明治期にかけて決定されたものもかなり混じっているんですね。
さらには、太平洋戦争の敗戦により、GHQによって国家神道の政教一致は解体され、
ここで作法などもまた変化を余儀なくさせられてしまいます。

このような紆余曲折を経て存在しているのが現在の神道です。
ですから怪談に神道的な儀式を取り入れる場合も、
何をどうすればオカルト的に効果的であるかはよくわかりません。
怪談に出てくるお祓いも、現在のイメージをもとにして、
榊を振って祝詞を唱えたり、鈴を鳴らしたりの描写がされているわけです。
とはいえ、フィクションで登場する神道的なキャラクターは数多いです。
完全な神社神道でなくとも、その影響が見いだされる作品は枚挙にいとまがないほどで、
ここまで書いたような変化の歴史がありながらも、
やはり日本人としては最も自然な感じを受けるんではないでしょうか。

関連記事 『異能者達の系譜』

『祓い』





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コメント
怪談はその国の土俗宗教が基盤にあって成立するので、外国のものを簡単には輸入できないんでしょうね。
海外ものの小説を読んでいて、「妖精」がしばしば怪談的に語られるのでビックリしました。
それまで、妖精ってティンカーベルみたいなイメージしかなかったので(^_^;)

神道は、結局、土俗信仰を祭祀の形式だけ統一して、中身に対しては放置なんでしょうねえ。
宗教政策としては驚くほど大ざっぱですが、そこが日本人らしいのでしょうか。
仏教の方が宗教として機能してたから、土地神信仰にはそれほど重きをおかなかったんでしょうか。
椿 | 2014.10.14 13:02 | 編集
 私などは根っからのゲーマーなので、異能者を分類しようと思うと、宗教的バックボーンよりもフィクション的クラスをつい優先してしまいます。過程をすっ飛ばして結果だけ見ているんでしょうね。
 聖職者(プリースト)、魔術師(メイジ)、呪術師(シャーマン)、超能力者(サイキック)、科学者(アルケミスト)・・・陳腐ですねえ、いやお恥ずかしい。
| 2014.10.14 14:07 | 編集
コメントありがとうございます
土俗というのはどこの国にもあるんだと思いますね
ドイツ人は合理的で、キリスト教はともかく
幽霊や心霊写真(概念すらない)なんて信じない人が多いんですが
土の精みたいなのは別に考えているという本を読んだことがあります
グリム童話に出てくるようなやつです
bigbossman | 2014.10.14 23:45 | 編集
コメントありがとうございます
ゲームのパーティ構成で分類するのもありだと思います
ゲーム内で信じられている宗教などを含めた世界観を考えるのは
楽しい作業ですよね
bigbossman | 2014.10.14 23:47 | 編集
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