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時男

2014.11.02 (Sun)

えーゲーム関係のプログラマーをやっていて、年は28歳になります。
この場所に来て話をするのは2度目なんです。ああ、覚えていらっしゃる。そうですか。
あれからまた、おかしな体験をしたんですよ。
前回は、言葉に出さずに自分の意思を伝えるテレパシーの話だったんですが、
今日は時間に関係することなんです。
ほらあの、デジタル時計でゾロ目を見てしまうってことがあるじゃないですか。
3:33とか4:44とかそういうやつです。
これをよく見るようになったんです。といっても、昼間はまずないですね。
夜、寝てからのことですよ。

昔は、1回寝ると朝までぜったいに目が覚めることはなかったんですけど、
30近くなって歳のせいでしょうか、夜中に起きてしまう。
別にトイレに行きたいせいってわけでもないんです。
そのとき枕元にあるデジタル時計を見ると、2:22か3:33になってるんです。
別に実害があるわけじゃなくその後すぐにまた寝てしまうんですが、
何となく気持ち悪いでしょう。それで、会社の昼休み高崎先輩に相談したんです。
高崎先輩は、前の話にも出てきましたが会社の先輩の女性で、オカルトフアンなんです。
「先輩、デジタル時計のゾロ目をよく見るなんて話、オカルトで何かあるんですか?」
「うーん、あんた見るようになったの」 「ええ、まあ」
「あそう、けっこう繊細なとこもあるのね。これはオカルトというか、
 合理的な解釈が2つあるわ」 「合理的、ですか」

「そ、誰でも受け入れることができそうな説ってこと。
 まず一つ目は、無意識の忘却作用とでも言えばいいか。じつは自分で意識しないまま、
 何回もデジタル時計を見ているわけ。でもその多くは3:27とか意味のない数字で、
 そのまま忘れ去られて記憶に残らない。ところが3:33とかだとキリがいいので、
 そこで無意識から普通の意識に戻って記憶に残るってわけ」
「はーなるほど。でも、それってずっと起きてた場合ですよね。
 締め切りの時間とか気にしながら仕事してたときとかはありそうだけど、
 夜寝てるときにもあるんでしょうか。
 3:27に目が覚めて時計を見て、また寝てしまって覚えてないとか」
「うん、その場合はね、体内時計説ってのがあるのよ」 「はああ」

「ほら、規則正しい生活をしてる人は、目覚ましをかけなくても、
 毎朝同じ時間に目覚めるとかあるでしょ。
 これは人間の体の中に一種の時計のようなものがあって、
 その働きによるって言われてる」
「聞いたことがあります」
「これは専門用語で『概日リズム』って言うみたい。
 人間だけじゃなくほとんどの生物が持ってるんだって。約24時間周期のリズムで、
 カビやバクテリアでも持ってるの」
「どういう役割があるんですか?」

「私も詳しくは知らないけど、生物の進化と関係があるらしいよ。DNAってあるでしょ、
 細胞の中に入ってる。あれは日々複製されて新しくなってる。
 ところが昼、日光の下でその複製をすると、
 光に含まれている紫外線の影響で破壊されたり、突然変異の原因になったりするのよ。
 それを避けるために、だんだん進化の長い時間をかけて、
 遺伝子に体内時計のシステムが組み込まれたってわけ」
「スゴイ!難しい話知ってらっしゃるんですね。で、それと時計のゾロ目の関連は?」
「うん、あんたの部屋のデジタルって電波時計?」 「いえ、違います」
「そうすると、正確じゃないかもしれないわよね」 「おそらくは」

「あんたのデジタルが3:33だったとしても、日本標準時だと3:32かもしれない。
 そもそも時計で示される時間って、それほど意味があるわけじゃない」
「どうしてですか?」
「もともと1年というのは太陽の動きで決められたものでしょ」 「公転の周期ですね」
「そう。それで1日というのは太陽が登ったり沈んだりする時間が基準になってる。
 地球の自転ね。だけど、これって経度で違うから世界には時差があるよね。
 それに季節でも違ってくるから、
 日本ではやってないけどサマータイムなんてのもある」 「はあ」
「つまりね、時計が示す時間というのは、結局人間の都合によって決められたものなのよ。
 1分や1秒の長さだって、別に今のでなくてもかまわないし、
 1日を分けるのに24等分でなくてもいい」 「はー、確かにそう言われれば」

「だから、あんたの体内時計はあんたの部屋のデジタルに合わせてやってるのよ。
 あんたの脳が3:33とかのゾロ目を意識してしまっているため、
 体内時計がデジタルがその時間になりそうだってときに脳内でベルを鳴らして、
 それで起きて時計を見てしまう」
「うーんなるほど。すべて自分でやってるってことですか」
「そう。珍しく理解が早いじゃない」
「・・・それはそうと、合理的でない解釈もあるみたいに言ってましたよね」 「うん」
「それはそういうものなんですか?」
「これはねー、バカバカしいと思われるだろうからあんまり言いたくないのよね」
「ぜひ聞きたいです」

「時男ってのがいるの。妖怪というか妖精というか、時間のはざまに潜む人外の魔物 w
 これがね、3:33とかのゾロ目のとき、あんたに時計を見るようにしむけてる」
「何のために?」
「それがね、ある星占いの人から聞いたんだけど、あんたの時間を食べるためらしいよ」
「えー気味悪いな。どういうことです」
「本当は目が覚めたときには3:33じゃない。3:29くらいかもしれないのよ。
 そうすると4分差があるでしょ。その4分間を食べてしまうの」
「それはその分だけ時計を進ませるってことですか?」
「そうじゃなく、時間を食べるの。3:29に目が覚めて、
 3:33に時計を見るまでの時間が食べられてしまう」

「はー、とうてい信じられません。時間を食べて生きてるんですか?」
「そこはよくわからないんだけど、
 時男が自分の赤ちゃんの寿命として使うって話がある」 「・・・」
「時男はある程度の時間で死んでしまうけど、死期が近づくと自分の複製、
 赤ちゃんをつくり始める。
 で、いろんな人から少しずつ集めた時間がその赤ちゃんの寿命になるの」
「・・・いや、さすがにね、この話は信じられません。おとぎ話ですよ」
「まあね。そう思うでしょうね。でも、確かめる方法も聞いてきてるの」
「どうするんですか?」

「夜中に目が覚めるでしょ。そこを基点としてデジタル時計を見るまでの時間が
 食べられるんだから、デジタルを見なきゃいいのよ。そのかわり別の時計を見る。
 あんたの部屋、デジタル以外に掛け時計とかある?」
「あるんですが、電池切れたまま止まってます」
「あー、独身男の部屋らしいわね。それ電池入れ直して、
 ベッドで起きてすぐ見れるとこに掛け直しなさい。でね、起きたらそっち見るようにする」
「時男ってアナログ苦手なんですか?」
「時間の精だからそんなことはないけど、
 アナログの針が示す3:33はあまり意味がないし、
 いつもデジタル見ると思って油断してる可能性がある」

「ま、電池入れ直して場所を変えるのは簡単ですから、今晩にでもやってみますが、
 何が起きるんでしょう?」  「それはわからない」
とまあ、長々説明しましたが、こういうやりとりがあったんです。
でね、言われたとおりアナログのほうをセットして・・・
でもね、さすがに信じてませんでした。
確かに前のテレパシーは言われたとおりになったんですが、時間の妖精なんてまさかねえ。
・・・夜中に起きると寝ぼけてて、
デジタル見ちゃうかもしれないと思って一つ簡単な工夫をしました。
いつも壁のほうを向いて寝てるんですが、アナログ時計のある逆側を向いて寝たんです。

あと、寝返りをうたないように布団の中に予備の枕を入れて。
いつも通り電気を全部消して寝ましたが、電気製品のランプとかでそこそこ明るいんです。
ビール類は飲みませんでした。でもすぐに寝入って・・・
目が覚めました。やはり寝る前のことはすっかり忘れてて、
いつものように枕元のデジタルを見ようとして、壁じゃなく部屋のほうが見えたんです。
そのとき、視界を何かが横切りました。大きい蝙蝠のようなシルエット。
頭をあげると正面にずらして掛けた柱時計があって・・・
そ上にべったり、真っ黒な40cmほどの蝙蝠がはりついていました。
羽の上部にふり返ってこっちを見ている西洋の小鬼のような顔。
照れたようなにやにや笑いを浮かべてて、「あっ」と思ったときにはもう消えてました。
アナログ時計は3:24を示していて、デジタルのほうも同じ時間・・・

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コメント
 なかなか几帳面な妖精だったんですねw 時間をテーマにしたオカルトでは、どんな荒唐無稽なことが起きても許される気がしてしまいます。人類がいまだに征服できていない領域だし・・・
 それにしても高崎さん、魅力的な女性だなあ。かつては霊感少女だったりしたんでしょうかね。
| 2014.11.03 15:21 | 編集
コメントありがとうございます
そうですね、この話はかなりナンセンスです
でも、時間のことって科学でもほとんどわかってないんですよ
こういうセリフが多い話は書いていて楽です
bigbossman | 2014.11.03 23:27 | 編集
このコメントは管理者の承認待ちです
| 2016.11.06 17:13 | 編集
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