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御陵山のお堂

2014.11.05 (Wed)


わたしが子どもの頃だから、もう40年も昔のことです。
地元に御陵山という山があって・・・と言うと誤解を招きそうですね。
高さは20mほどしかないんです。だから本来は丘とさえ言いにくいんです。
ここは昔、古墳だったという言い伝えがありました。発掘調査などはされていないはずです。
明治の頃に、下半分を切り崩して道路にしてしまったんですが、
その当時は遺跡保存なんてあんまり言われなかったようで。
それで残っているのが、おそらく前方後円墳の後円部のほうだけ。
わたしも少し調べたことがありいますが、
墓所などは後円部のほうにあることが多いらしいですから、
掘れば何かが出てくるのかもしれません。
小学校5年生の時です。この御陵山の林に入って爆竹遊びをしていたんです。

もちろん禁止されていました。爆竹もだし、マッチを持ち歩くのも。
でもね、そういう遊びをしたい年ごろじゃないですか、ねえ。
仲間4人ほどと、最初は何本かまとめて土に埋め、
爆発して土塊が飛び散るのを見て喜んでいたくらいでしたが、
だんだんエスカレートしてきました。
・・・ここから生き物を殺す話になりますが、かまいませんよね。
カエルですね。これに爆竹を結んで火をつけると、
指先ほどのアマガエルなら跡形もなくなります。
それだとあまり面白くないんで、掌いっぱいほどのトノサマガエルをつかまえてきて、
これに数本結びつける。さすがに消えてなくなることはありませんが、
手足が四散して、飛んでくるのをよけて逃げるのが面白かったんです。

すみませんね、気分の悪い話で。2匹目のトノサマガエルにこれをやったとき、
体の一部がお堂の中に入ってしまいました。
ああ、お堂の話をしてませんでしたね。これは御陵山の一番高いところにあって、
太い一本足の角材の上に箱が乗っかったようなもんです。
箱には神社の屋根がついていまして、その下は両開きの扉になってました。
いや、小さいもんです。ミカン箱くらいの大きさ。
扉に鍵はかかっておらず、いつも半開きでしたよ。中は空っぽで白い埃が溜まっていました。
たまたまその中に、トノサマガエルの腹の皮がついた片方の足が飛び込んじゃったんです。
足はお堂の中で、粘液の糸を引きながらまだ動いていました。
まあ、数分くらいならそういうこともあるかもしれませんが、
その足は、わたしたちが山にいた2時間ほどの間ずっと、ひくひく動き続けたんです。
これは子どもの興味を引きますよね。

不思議だけど、気味が悪い。だから木の枝とかでつつくやつもいませんでした。
日が暮れてきたときに、明日どうなってるか見に来ようって約束して別れたんです。
翌日、家にランドセルを置くなり走って御陵山に向かいました。
わたしの家は少し遠かったので、もうみんな集まっているかと思いましたが、
来ていたのは竹村っていう、仲間のリーダー格のやつ一人だけでした。
登っていくと、その竹村がお堂の中に頭を突っ込むようにしていましたので、
「足どうなった?」って聞いたんです。
竹村はふり返って「ない、なくなってる」と答えました。
横からのぞき込むと、お堂の床の埃がねとついているだけで何もありませんでした。
「鳥に取られたか。扉閉めて帰りゃよかったな」
そうしているうちに昨日の仲間が集まってきまして、話を聞いてみながっかりしてました。

それからまた持ち寄った爆竹で遊んだんですが、いつもマッチを持ってて、
自分が火をつけないと気が済まない竹村が、なぜかその日はおとなしかったんです。
で、日が暮れて帰ろうとしたときです。
わたしは竹村の後ろを歩いて坂を下ってましたが、
右の耳のところに何かが引っかかってるように見えました。
枯枝だろうと思って取ってやろうとしたとき、それがひくんひくんと動いたんです。
確かに見ました。カエルの足が耳たぶから下がるように生えていたんですよ。
わたしは息を飲み、竹村に言おうかどうしようか迷っているうち下の道に出て、
腹減ってたみなが、散り散りに走り出しました。
それでね、竹村ですが、その夜に死んだんです。
夜中に寝間着のまま沼に行って落ちたということを、次の日学校で聞きました。



15年くらい前の話。俺らの地元に御陵山っていう古墳があって、
道路で半分にぶった切られてるんだ。
その上は別に立ち入り禁止とかじゃなく、恰好の子どもの遊び場になってた。
昔から爆竹なんかやるやつがいたみたいだが、さすがにそれはダメだったけどな。
というか、爆竹なんて子どもが気軽に買えなくなってたから。
こんもり木が茂ってて中は秘密基地みたいな感じだったよ。
その日も仲間2人と遊びに行った。
ビニールのゴミ袋を持って行って、山の脇の草地を統べる下りるんだよ。
で、てっぺんにお堂があるんだ。これが大きなものじゃなくて・・・
え?知ってるって?あんなものをよく知ってるな。あのあたりの出身者がいるんか?
地元でも知ってる大人なんてほとんどいないと思うけどな。

でね、その日お堂の脇にじいさんがいて、竹箒であたりを掃いてたんだ。
歳はそうだな。こっちが子どもだったからかもしれないが、すげえ年寄りだと思ったよ。
しわで目鼻が埋もれてたんだ。
じいさんは俺らが来たことに気づくと手を止めて、
「おや坊たち、遊びにきたんか?」こう聞いてきたんで、
「そうだよ」と言ってビニール袋を見せた。じいさんは、
「おお、草を滑るのか。じゃちょっとの間ここから離れててくれ、
 お堂の掃除をするんでな」
こう言って足下をあごでさした。見るとバケツとぞうきんがあった。
「これ、何のお堂なんですか?」俺が聞くと、
「うん、これはな。そうだな潜望鏡って知ってるか」

「知ってる。潜水艦についてるやつでしょ」
俺は乗り物全般が好きだったから、そういうのは詳しかったんだ。
「そうそう。この地下に部屋があって、そっから地上を覗く潜望鏡みたいなもんだ」
「嘘でしょ」さすがに子どもでもそれは信じられなかった。
からかわれてると思ったんだよ。
「そうか、じゃ見せてやるよ」じいさんはそう言ってお堂の扉を閉め、
口の中でもぐもぐ唱えていたが、「来てくださったようだぞ」そう言って扉を開けたんだ。
ミカン箱ほどの大きさのお堂の中に頭があった。
女の頭で堂の床から生えてるように見えた。
真っ白い顔色で目をつむって少し下を向いてた。見たこともない変な髪型をしててね・・・
今でも思い出せるような気がするよ。

みなはそれを見て、いっせいに後じさった。じいさんは「な、本当だろう」
自慢そうな声で扉を閉め、「さ、坊たち、向こうに行きな。掃除は小一時間もかからんから」
それで林から出て横の斜面に行ったんだが、
そんとき見たことが衝撃的すぎて草滑りどころじゃなかった。
3人で集まって話をしたら、見たのはみな同じだった。
紙のように白い女の頭。そうだな歳はちょっとわからんかったが、
今にして思えば十代でもおかしくない。林の外から覗うと、お堂の扉は閉まっていて、
じいさんがいっさんにぞうきんを濡らして拭いているだけだった。
それから30分ほどして、じいさんが木の間から顔を出し、
「終わったぞ。こっち来てもいいが、お堂にはイタズラせんでくれよ」
こう言って帰って行ったんだ。

でな、あんたらならどうする?
小学生3人以外誰もいない山の上で、不思議なお堂を目の前にして・・・
やっぱり開けて見るだろ。禁じられたわけでもないしな。
その前に隙間から中を覗こうとしたけど暗くてダメだったし。
2手に別れて脇に回り、いっせいので扉を開けた。
中には頭はなかったが、その代わり奥の板に白い細長い紙が張られてた。
でね、それには筆で「一人は30前に寿命をもらう」って書かれてたんだ。
・・・一人って俺ら3人のうちのか?寿命をもらうって、死ぬってことか?
さすがに子ども相手に、冗談にしてもたちが悪いだろ。
お堂を蹴飛ばしたいくらいだったが、あの頭のことを思い出してやめた。
そんときの3人だが、俺ともう一人は結婚したし、残りのやつもぴんぴんしてる。
してるが、もうすぐ30になるんだよな。あと4年だ。






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