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Through the・・・

2014.11.09 (Sun)
えーゲーム関係のプログラマーをやっていて、年は28歳になります。
ああ、ご存じですか。そうでしょうね、この間来たばっかりですから。
ところで、ここにいるみなさんって、いつも同んなじ方々なんですか?
みな仮面をつけていらっしゃるけど、前と同じのをつけてる方もいますよね。
「言えない?」ああ、そうでしょうね。「ここで逆質問したのはお前が始めてだ」って?
・・・今回もほとんどは自分の話じゃなく、先輩の高崎女史から聞いた内容なんです。
社員食堂で今日の昼休みにこんな会話をしました。
「先輩、こんどプロジェクトで鏡をテーマにしたゲームを作る予定なんです。
 来週ブレーンストーミングをやることになって、何かいいアイデアとかありますかね?」
「あら、打ち込み作業だけじゃなく企画までまかせられるようになったん?
 スゴイじゃない。そうねえ、鏡のホラーと言ったらよく出てくるのが合わせ鏡よね」
「ええ、知ってます。夜中の12時に合わせ鏡をすると悪魔が・・・」

「そうそう、それが一番有名かな」
「そういうことって実際にあるんですか?」
「うーん、ないと思うけど。あったとしても日本人にはあまり関係ないんじゃないかしら」
「どうしてです?悪魔がキリスト教由来のものだから?」
「そうね。キリスト教は厳しい一神教だから、異教の神を悪魔と見なすこともある。
 だから、キリスト教信者以外なら、悪魔と言っても堕天使のサタン、
 つまり元天使長のルシファーではなく、一種の神様かもしれないよってこと」
「でも、悪魔と言ってもいろんな種類がいるんでしょう」
「そう、だけど他の宗教の神を貶める意味で取り込まれたものも多いのよ」
「なるほど。あと他にどんなのがありますか?」
「同じ合わせ鏡で、無限に映る鏡の中に自分の体を入れて、
 何枚目に映るのが結婚するときの顔、何枚目が死ぬときの顔みたいなのもある」

「例えば4枚目に、年寄りの自分の顔があったりするわけですか。それは怖いですね。
 ところで、合わせ鏡って無限に像や鏡自体が映り込むもんなんですか?」
「原理的にはそうね。でも実際は、鏡の反射率によってだんだんに暗くぼやけていくの」
「ええ、自分でも数えてみたこともありますが、そのときは10枚前後まででした」
「あとね、結局鏡を見るのは人間なんだから、
 極端なことを言うと人間の視力の限界というのもある。
 それから、合わせ鏡の13枚目で自分の顔を見ると死んでしまうって話もあるわね」
「13・・・これもキリスト教由来ですね。鏡の怪談って西洋系が多いんでしょうか?」
「ま、現在目にする鏡はほとんど西洋のものだからねえ」
「東洋の鏡って歴史は深いんですか?」
「それはもちろん。中国では紀元前から使われていたし、水鏡ならもっと古いでしょ。
 昔の鏡は銅なんかの金属製が多いのよ」

「ああ、よく博物館で銅鏡を目にしますね」
「そう。銅は緑の錆が出やすいし、博物館では立派な紋様のついた
 鏡の裏面のほうを展示してあることが多いけど、
 本来は平らな表側はピカピカに磨かれていたのよ。
 4世紀頃の中国の古い道鏡本『抱朴子』には、
『道士は山に入るとき背中に9寸の鏡を掛ける』と出ているわ。
 9寸は当時の単位で、今だと24cmくらい」
「けっこう大きいですね。それはどんな役目があるんですか?」
「魔物が出たときに鏡の光をあてると正体を現すらしいよ。
 映画の『霊幻道士』シリーズ見たことある?」
「あります。キョンシーが出てくるやつ」
「そうそう。あれにも確かそういうシーンがあった気がする。
 あとね、日本の古代、3世紀頃の鏡はちょうどそのくらいの大きさのが出土してるのよ」

「中国では違うんですか?」
「中国だともうその頃は、鏡は化粧道具の実用品になってた。
 手鏡というかヒモで吊り下げて使うんだけど、
 もっと小さくて15cmくらいのが多く出てくる」
「ははあ。やっぱスゴイ詳しいですね。聞いたかいがありました」
「つまり、中国ではその時代、鏡は実用品として使われていたのに、
 日本では呪術の道具として活用されていたってことね。
 中国では鏡を日本にくれるとき、わざわざ大き目のを作っていたとも言われてるの。
 このことは古代史の邪馬台国論争とも関係があるから、
 ゲームに取り入れるのは難しいでしょうけど」
「どうしてですか?」
「クレームがついたりするのよ。このゲームは○○説のほうのひいきをしてるって、
 熱心な研究者の人なんかから」

「ああ、確かにそれは困ります」
「あとね、鏡には神秘性があるでしょう。例えば、自分が右手を挙げて鏡に映ると、
 中の自分は左手を挙げている。そういう不思議さがあるわけ」
「これってよく論争で見かけますよね。どういう理屈になってるんですか?」
「わたしもはっきりしたことはわからないけど、鏡のせいではないと思う。
 原因は人間側にあるんじゃないかしら」
「うーん、意味がわかりません」
「鏡自体は基本的に左右を正しく写しているのよ。
 そうね・・方位にそって作られた正方形の部屋があると考えてみて。
 東の壁に鏡を掛けると、西側が映るわよね」 「はい」
「その鏡を覗くと、右手側に南、左手側に北が映ってる。これは本来の通りでしょ」
「あ、そうですね」

「ところが、最大の問題は東にあるはずの鏡に反対側の西が映ってる。
 これどういうことかわかる?」
「・・・前後が逆ってことですか」
「そう。けっこう理解が早いわね。人間の体に前後があるってことが問題なの。
 あと体が左右対称になってることにも関係があるでしょうね」
「・・・・・」
「完全な球形の生物がいると考えてみて。その生物は空中をふわふわ漂っていて、
 くるんくるん好きなように回転することができる。
 つまり上下左右というのは、その生物にとって基本的には意味をもたないのよ」
「・・・・・」
「人間は目が体の前についているから後ろを見るには振り向かなくちゃならないけど、
 その生物は一種の超能力で360度の視界を持ってる」

「体がどっから見ても同じで、前後左右という概念を持たない生物にとっては、
 鏡の中で左右が逆転するってことにも意味はないと・・・」
「そうよ。頭いいじゃない」
「まさか、そんな生物はいませんよね」
「ふふ、それがね、いるって話もあるのよ」
「いや、信じられませんよーって言いたいところですが、
 この間の『時男』のこともありますし・・・」
「その生物は異次元に住んでいると言われてて人間の目には見えない。
 でも、時として見えるときがあるみたい」 「どんなときに?」
「これまでの目撃例はすべて鏡の中ね。もしかしたら鏡の中に住んでいるのかもしれない。
 それと人間が球形になってるときに見える」 「人間が球形???」
「ほら巨大な透明ボールみたいなのがあるでしょ。人間が入れる大きさの」
「はい。海で人が中に入って遊んでるのを見たことがあります」

「ああいうのに入って、さらに鏡を見た場合に見えるケースがあるらしいよ」
「それは特殊ですねえ・・・」
「うーん、あんただいぶ前にバランスボール買ったって言ってたじゃない。
 あれまだある?運動やってる?」
「ありますけどもう使ってないですね。三日坊主の悪い癖が出てしまって、
 空気を抜いて押し入れに放り込んであります」
「じゃちょうどいい。あれの下のほうをくりぬいて頭から被れるようにしてみなよ。
 腰の下まですっぽり入るでしょ」 「はい」
「で、鏡が見れないんじゃしょうがないから、目の目のところに穴を開けて・・・
 そのバランスボール何色?」 「青です」
「じゃあ、そこに青色のセロハンでも貼って・・・
 ああ、青い透明下敷きがどっかにあったはず」

「その恰好で鏡を見てみろってことですか」
「そう。運がよければ会えるかもしれないわよ、異次元の不可思議生物に。
 ちょっと変わった仲間だと思って近づいてくるんじゃないかな」 「・・・・・・・」
こんな会話をしたんです。今日の昼の話ですからまだ試してません。
「ぜひやってみて、結果を報告しろ」って?
うーん、そうしたい気もあるんですが、高崎女史にちょっと気になることも言われてるんです。
「ただね・・・気をつけたほうがいいかもしれない。
 この異次元生物と人間の失踪事件との関連が疑われるようなケースもないわけじゃないの。
 オカルトはね、悪魔を召還するなんてのはもちろんなんだけど、
 自己責任で研究するものなのよ。
 わたしもこれまでにさんざん危険な目に遭ってきたんだから」
こんなふうなことも言われたんですよ。ですから・・・

*題名はルイス・キャロル『鏡の国のアリス』の原題から

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コメント
 いやあ、いいですねえ高崎先輩。頼れるけど過保護でないところが素敵です。きっとルームにも固定ファンができつつあるに違いないw
 話に出てきた「球形の異次元生物」は、幽霊や妖怪とはちょっと毛色が違いますね。強いて言うなら宇宙人に近いような・・・まあ宇宙人だって本当に「宇宙」から来ているのか分かったもんじゃないですが。
| 2014.11.10 20:34 | 編集
コメントありがとうございます
このシリーズは怖い話ではないんですが、時間とか鏡の不思議について
いろいろ考えていただければ
bigbossman | 2014.11.11 00:04 | 編集
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