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体 2題

2014.11.11 (Tue)
ほくろ

私の家族は、私が産まれるだいぶ前に沖縄から大阪に越してきたんです。
私が3歳のとき建築現場の事故で父が亡くなり、それからはずっとこちらで、
母と祖母、私の3人で暮らしています。
祖母は沖縄にいたとき、民間の霊能者のようなことをしていまして。
あちらには多いんですよ。その血を受け継いだせいか、
私が小さい頃からいろいろと不思議なことがありました。
これからその中のいくつかをお話しします。
最初は小学校5年生のときです。Sさんと友だちがいて、家が近所だったんです。
私の家はせまかったので、もっぱらSさんの家におじゃまして遊んでいたんですが、
あるときこんな話になりました。Sさんは鼻の下にやや大きめのほくろがあって、
それが近頃とても気になるということでした。

ただ黒くなってるのではなく、その部分だけ少し肉が厚くなって盛り上がってましたので、
年ごろになってくるとやはり気になったんでしょう。
私はその部分を見ているうち、なんだか自分にとれるような気がしてきました。
それで手の甲でなでてみたんです。
そしたら「冷たい」と言ってSさんは後ろに下がりました。
そのときはそれだけのことで、また別の話題に移ったんですが、
その日からだんだんSさんのほくろが薄くなってきたんです。
黒ずみがとれ、肉の盛り上がりも埋まってあたりの皮膚と同じになってきました。
もちろん本人はすぐに気づいて、とても喜んでいました。
そのときは2人とも、当然ですが、私がさわったせいだとは考えませんでした。
そして1ヶ月ほどたつと、ほくろはすっかり消えてしまったんです。

ただ、私の目にはそのほくろの部分が、
何だかまわりより白っぽく見えるときがありました。
本人にそう言ってみたこともあるんですが、鏡を見て、
「そうかなあ、そんなことないよ」くらいの反応でした。3日後、2人でSさんの部屋で、
ベッドの掛け布団の上に寝そべって雑誌を見ていました。何気なくSさんの顔を見たとき、
ほくろがあった部分の皮膚がぴんと張りつめているのがわかりました。
顔の内部から何かが出てきて外に向かって押しているように見えたんです。
「えっ」と思って見ていると、それは小さな顔でした。Sさんの顔の中にこびとがいて、
ほくろがあった部分を覗き窓のようにして顔を押しつけていたんです。
私が驚いて見つめ続けていると、Sさんが気づいて、
「どうしたの?私の顔に何かついてる」と聞きました。

正直に答えることができなくてごまかしてしまいました。
家に戻ってから、祖母に見たことを相談しました。
祖母は優しく、何でもを聞いてくれたんです。
私の話を聞いて、祖母はしばらく考え込んでいましたが、
「できるだけ近いうちにSさんをうちに連れてきなさい」と言いました。
うちは2間のアパートなので私がためらっていると、
「こっちに来てから力のあるところをあれこれ見つけたんだよ。外に出るから」
その週の日曜日、遊びに来たSさんと私を連れて祖母が向かったのは、
大阪の茨木市というところにある「疣水神社」でした。
ここは正式な名前を「磯良神社と」といい、何でも神功皇后という昔の人が戦いに出るとき、
この神社で必勝祈願をしたということです。

顔を霊泉「玉の井」のご神水で洗うと、
たちまちにイボや肌荒れがして荒々しい男の顔になった。
そこで男装をして戦いに臨み、敵をさんざんに滅ぼした。
やがて戦勝報告に返ったとき、もう一度ご神水で顔を洗うと元の美しい姿に戻った、
そういう言い伝えがあるところなんです。3人でお参りをしてから拝了所でお水を受け取り、
「美人になるんだよ」などと言いながら、祖母がハンカチを湿してSさんの顔をぬぐいました。
すると、イボのあった鼻の下が大きく盛り上がりました。
何か小さいものが中で暴れているように見えましたが、なおもぬぐい続けると、
それはだんだんにすぼまり、また元のようになったんです。
そこから一本白い小よりの先が出ているように見えました。祖母はさりげなくそれを引き抜き、
私の顔も同じようにぬぐってくれました。その後3人でお昼ご飯を食べて帰ったんです。
・・・このことについて、祖母に何かを言われたということはなかったです。



中学校に入ってからのことです。私はソフトテニス部に入りました。
うちはお金がなかったんですが、母が無理をしてラケットなどの用具を揃えてくれたんです。
1年生の夏休み、2泊3日の合宿がありました。
私が通っていた中学校はスポーツが盛んで学校に合宿所があり、
休み中にいろんな部活が交替で使用していたんです。
遠征に出かけるわけでもないのでお金はかかりません。
早朝のランニングから始まり、午後は日が落ちるまでのハードな練習でくたくたになりました。
私は1年生だけの6人部屋で3段ベッドの一番上でしたが、
夜に友だちとダベるなんてまったく不可能で、疲れのあまりすぐに寝入ってしまいました。
ふと嫌な気配がして、夜中に目が覚めました。
私が寝ている壁のあるほうから手がひっぱられているんです。

誰かが手首を握っている感触がありましたが、そっちは壁なんです。
何かがいるスペースなんて絶対になかったんです。
私の指をつかんでいる手は小さく冷たく、この世のものではない感じが伝わってきました。
私は心を落ち着かせるように、大きく息を吸っては吐きを繰り返し、
頭の中に祖母の顔を思い浮かべました。
すると少し引っぱる力が弱まったように感じられたので、
そちらの腕に思い切り力を入れて胸の上に持ってきました。
起き上がり、体を丸めるようにしてはしごを下りて部屋を抜け出し、
電気がついている食堂まで行きました。
そこには自動販売機や公衆電話があり、時計を見ると1時を少しまわったところでした。
家に電話をかけることのできる時間は過ぎてましたが、祖母に連絡しようと思いました。

しばらく呼び出し音があり、眠そうな声で母が出ましたので、
無理を言って祖母に変わってもらいました。
母もわたしの声の調子で、何かよくないことが起きているのがわかったようでした。
祖母もろれつのまわらない寝起きの声でしたが、
私の話を聞いているうちにだんだんと普段の調子に戻り、
「わかった、わかった。手を引っぱるのはたいしたものではないと思うけれど、
 遠く離れてるから祓えないと思う。お前の体のほうならなんとかなるから、
 応急処置だけど3本目の手を生やしてやろう」
こんなことを言って、両手の指を組み合わせる印の結び方を何種類か教えてくれました。
「これで大丈夫だよ。安心してお休み」
こう言って電話は切れたんです。

部屋に戻るのは怖かったんですが、そっと上に上りました。
他の子はみな寝ていて、私が抜け出したのに気がついた様子はありませんでした。
ベッドに寝て、祖母に言われたとおり両手をお腹の上にのせ、指で印を組みました。
それから、壁側の腕の脇の下にもう一本腕が生えているのをイメージしたんです。
私のと同じような細い腕です。特に何事も起こらず眠くなってきました。
そのうちいつしか寝入っていて、夢を見ました。
花園のようなところの丘の上から私は下を見降ろしていました。
女の子が遊んでいました。中学生ではなく、小学校にあがったばかりくらいの小さい子です。
その子が花をまき散らしているところに一本の白い腕が宙を漂って近づいていきました。
腕はさりげなくその子の手を握り、導くようにして花園のずっと向こうまで連れていき、
斜面に下りて見えなくなりました。

目が覚めました。早朝トレーニングが終わり、
朝ご飯を食べてから先生に断って祖母に電話をしました。
夢の話をすると、「それはおそらく、そのあたりで亡くなった近所の子だね。
 ゆっくり休めるところに腕が連れていってあげたから、
 お前がそこにいる間はもうこないよ。
 合宿が終わった日に迎えにいくから、そのときに本式のお祓いをする」
こんなふうに言われたんです。
確かにその夜は何事もなく、夢を見ることもありませんでした。
合宿は3日目の昼前で終わり、校庭で待っていると祖母がやってきました。
2人で学校のまわりを歩き、
ある交差点の前で祖母が立ち止まって簡素な儀式をしました。私も手を合わせました。
それからお蕎麦を食べて家に帰ったんです。




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コメント
bigbossmanさん、こんばんは!!^^

>*実験的にわざともたもたしたしゃべり方にしたので、読みにくいと思います。
あまりほとんど御ブログの怖い話に挑めなかったm(__;m私がしかも上から目線で失礼極まれりですがっ、、僕は読みやすかったです!!^^両話とも外食してから帰るところがなんか良いと、感じました。m(__)m
くわがたお | 2014.11.12 19:20 | 編集
コメントありがとうございます
うーん最近、しゃべり言葉とは何なのかをよく考えます
ずっと一人称の文章を書いているせいだと思うんですが
そうすると、実際の言葉って重複とか
何を指しているのかよくわからない代名詞とか
その人特有の表現とかに充ち満ちてるんですよね
でも面と向かっているからボデイランゲージその他でよく理解できる
そのあたりのことです
bigbossman | 2014.11.13 01:40 | 編集
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