初夢 3題

2015.01.02 (Fri)
土を買う

2日の午後に初売りに行きました。といってもデパートなどではなく、
趣味の植木市です。けっこうな人出でしたよ。なにしろ普段より安くなってますからね。
場所が近所小学校の校庭だったんで、歩いていきました。
いや、車で行くとダメなんですよ。積んで運べるからって買いすぎてしまって。
でもねえ、季節のせいかあんまりいい出物はなかったんです。
小一時間ほどぶらぶら見て回って、帰ろうかとしたところ、
学校のフェンスの裏側にね、こじんまりした店を広げてるジイさんがいたんです。
その姿が、この寒さなのに外灯も着ずに毛玉の出たセータ一枚だったので、
なんとなく哀れになりまして、つい鉢植えを一つ買ってしまったんです。
1m足らずの榊。そしたら、ジイさん喜びまして、おまけだからって言って、
ガラス瓶に入った土をくれたんです。

瓶はどっかから拾ってきた化粧品のもんでしょうね。高さ4cmほど。
ジイさんが言うには、「これはありがたい土で、
 今晩は初夢だから瓶を枕の下にしいて寝ると、よい夢が見られる。
 さらに翌朝、榊の鉢の土に混ぜると大きく育つ」って。
ま、じゃまになるようなもんでもないし、コートのポケットに放り込んでおきました。
それを夜になって思い出し、枕の下に置いて寝たんですよ。
ゴロゴロして寝にくいかと思ったら、小さいのでそうでもなかったですね。
で、見た夢というのが・・・ 暗いんです。夢の中で暗いというのも変でしょうが、
真っ暗な中に横たわっていて体を動かすことができない。
それが長い時間続くんです。これもおかしいでしょう。
夢の中の時間なんてあってないようなもんなのに。
なんとか体を動かそうともがいていると、足の裏に何かがあたる感じがしました。

固い物ですよ。チクチクと痛い。
必死になって頭を動かし自分の足のほうを見ようとしました。
どうやら自分は手を胸の上で組んで、体を伸ばした仰向けで寝ているようでした。
でね、上に向けた自分の足先が薄らぼんやり見えたんです。
その向こうに、白い大きなものがいて動いている。それは人ほどもあって・・・
だんだん目がなれてきて、何だかわかった気がしました。
よく枯木などを割ると出てくる、カミキリムシの幼虫だったんです。それが尖った口先で、
わたしの足の裏をカリカリやってたんですよ。思わず「うわー」と大声を上げ、
そこで目が覚めました。でね電気をつけたら、足の裏に実際に血がにじんでたんです。
その後は瓶を外して寝ましたから、夢は見なかったです。
翌日になって、日ごろ懇意にしていただいている和田先生という人のところに
瓶と榊の鉢植えを持参して、昨日の顛末をお話したんです。

この和田先生というのは、このあたりの名家のご隠居で、
敷地内に素晴らしい日本庭園があります。植木どころか造園に一家言ある方なんですよ。
先生は瓶と鉢植えを矯めつ眇めつ見ておられましたが、
「榊の鉢植えを正月にねえ」とおっしゃられました。
わたしが「いけないんですが?」と聞くと、
「いやあ、木に罪はないけれど、おんまり正月に売り買いするものでも・・・」
さらにつけ加えて、「この瓶の中のものは、おそらくどこかの古墳の玄室の土だろう。
 人に言えないような手段で入手したのではないかな。
 それはこれを鉢に入れれば、たしかに木は育つだろうけど・・・」
最後にカミキリムシの幼虫について、「古墳の被葬者の体液をすすった虫の中の一匹だろう。
 そこで目が覚めてよかった。じゃないともっといろいろ出てきただろうね」
こうおっしゃったんですよ。

宝船

ええはい、1日の日ですね。朝に賀状がきました。30枚くらいです。
仕事関係のものがほとんどで、郷里の高校の同級生などからちらほら。
忙しくて帰省できなかったので、アパートで元日を迎えたんです。
会社勤めのかたわら、小説を書いているんです。まだ駆け出しですけど。
それで、賀状の中に封書が一枚だけ混じっていて
それには差出人の名前がなかったんですよ。書き忘れたんだろうと思いました。
ほら、最近は何をするにメールで、せいぜいがファックスですから、
誰か知り合いの編集者でもうっかりして投函したのかと。
中を開けると、折りたたんだ見事な宝船の絵が出てきました。
印刷ではなく手書きみたいに見えましたね。マンガタッチではなく、
浮世絵のような本格的な筆致のものでした。

封書の中にはそれだけで、やはり差出人を示すようなものは見あたりませんでした。
それで、2日の夜、その宝船を枕の下に敷いて寝たんです。
そしたら夢を見ました。ふだんは寝不足で夢なんてほとんど見ないんですが。
その内容というのが・・・揺れていました。船の中にいるようでした。
青空が見えたので、船の甲板上ということでしょうか。
船の横板ごしに波しぶきがあがっていて、ずうっと海上のはるかに高い山が見えました。
富士山? いえ、違ったと思います。壺のような奇妙な形の山でした。
私の体のまわりにはたくさんの米俵が積んであって身動きがとれない状態でした。
赤珊瑚の枝や、金塊のようなものもあったと思います。
もしかして宝船の中にいるんじゃないか、と思いました。
そうしているうち、何段にも積まれた米俵の陰から黒い人が出てきました。

黒い人、としか言いようがないです。天気はよく晴れているのに、
全身が真っ黒いシルエットになってて。しかも、とても大きな人でした。
その人は私に近づいてくると、米俵越しに何かをふり上げて・・・頭に強い衝撃がありました。
そこで目が覚めたんです。自分の部屋にいて、割れるような頭痛がしました。
こぶになってるとか、血が出てるということはありませんでしたが。
すぐ頭痛薬を飲んだら、朝方までにおさまりました。
病院に行こうと思ったんですが、あいにく正月休みで。
それにそのときには痛みはなくなってましたし。
いろいろ考えて、和田先生のところにおじゃましようと思いました。
和田先生というのはご高齢の男性で、たいそうなお屋敷に住んでおられます。
神社や神道について研究されていて、歴史雑誌に連載なども持っておられるんです。

夢と関係があるのだろうと思い、宝船の絵も持参しました。
幸い先生はご在宅で、応接間で話を聞いていただき、絵もご覧になっていただきました。
「ははあ、正月早々縁起のよくないものを持って来られましたね」先生はおっしゃいました。
「これは呪いの絵です。ほら、ご覧なさい。七福神のうちの大黒天、
 これはインドのシヴァ神の化身とも言われますが、ふり上げた小槌の先が赤く染まっている。
 しかもその前におられる弁財天、サラスヴァティーですか。
 この頭が割れているように見えますよね。芸能の神様が叩かれている図ですから、
 だれかあなたの才能を妬んでいる人のしわざかと思われます。
 休み明けすぐに病院に行って、特に頭部の精密検査をしてもらわなくてはなりませんよ」
最近、長くネットに書いておりました作品の文庫化が決まりまして、
先生のお話には心あたりがないことも・・・

艦これ

2日の夜のことです。中学生の息子がいるんですが、夜中に部屋で大音響がし始めたんです。
2時過ぎでしたので、何事かと思いました。
いや息子は音楽などはほとんど聞かなくて、騒音を出したことはなかったんです。
しかも聞こえてるのは音楽ではなくて、「ドーン、ドカーン」という、
爆弾が炸裂するような音でした。階段を駆け上って部屋の戸を開けました。
息子はベッドに仰向けに寝ていました。電気をつけると大きく口を開けていて、
音はそこから聞こえてきているように思えました。
「ドカーン、ドン、ダダダダン」って。
側によって肩を揺すりました。しかし少し顔をゆがめただけで、目を覚ましません。
顔を叩こうとそいたんですが、そのとき大きく開いた息子の口から・・・
金属の筒のようなものが出てきました。潜水艦の潜望鏡・・・

まあ、実際の大きさのものなら喉が裂けてしまいますから、ミニチュアの潜望鏡なんでしょうが。
あっけにとられて固まってしまいました。
潜望鏡はくるりと一回転して、また息子の口の中に引っ込んでいきました。
そこで再び肩を揺さぶると、ゲホゲホ咳き込みながら目を覚ましたんです。
しばらくして息子の具合が治まってから、話を聞きました。
息子は海戦の夢を見ていたんだそうです。そして枕の下から一枚の紙を取り出しました。
息子は「艦これ」というゲームにはまってたんですが、それが最近さらに高じて、
太平洋戦争中の本物の戦艦に興味を持つようになったんです。
何隻か模型を買って与えましたし、枕の下から取り出したのも昔の帝国艦隊の図だったんですよ。
これを敷いて寝たから戦争の夢を見たんでしょうか。でも、ありえないことですよね。
それで、知り合いの和田先生という方に相談しようと思ったんです。この方は・・・

『百器徒然袋』より「宝船」







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