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ランニングメン

2015.01.07 (Wed)
ジョギングをしてたんです。早朝ですね、いつも5時半から6時まで。
ああ、早起きは慣れました。僕は地方公務員で定時に帰れますから。
ジョギングを始めてから早く寝るようになったんです。健康的でいいですよ。
それに、僕らの市は市民健康づくりに取り組んでいて、
僕の部署がそれと関係してるんです。そのせいもあります。
走るのは市庁舎の近くにある運動公園のまわりです。
一周約5kmで、慣れてる人なら30分もかかりません。
そのまま出勤するわけじゃなくて、いったんアパートに戻ってシャワーを浴びます。
近くなんです。でもこの季節は、走ることよりも着替えたりするほうが嫌ですね。
昨日の話です。5時半にスタート位置についたときはまだ暗かったです。
そんな時間でも、市のメインの通りの近くで車通りはけっこうあります。

走ってる人は、さすがに冬に入ってひと頃よりは少なくなりましたけど、
コースを途切れないで続くくらいはありますよ。
その日も顔見知りの人が何人も来てました。
走り始めて5分くらい、野球場の横へまわったときです。
急に空が明るくなったんです。いや、夜明けじゃありません。
だって光が緑色だったんですから。エメラルドグリーンっていうのかな。
あれに近い緑に、空も地面も街中が染まったんです。
思わず止まって頭上を見上げました。そしたら、その緑色の中央が白く輝く火の玉が、
宙を横切って西の山のほうに落ちていったんです。
隕石・・・だと思いました。でも、見にいくというわけにもいかないですし、
後でニュースでやるだろうと思いました。
走るのを再開すると、後ろからすごい勢いの人に追い抜かれました。

山田さん、という知ってる人でした。年齢は70過ぎてるはずで、JRを退職された方です。
普段はゆっくりご夫妻で走ってる・・・というかウオーキングに近い感じなのに、
まるで若い陸上部の子が短距離走をするようなスピードだったんです。
「そんな速いと、ケガするかもしれませんよ」って声をかけようとしました。
そしたら後ろから背中をドンと突き飛ばされたようになって、
前に膝をついてしまいました。さっき言った山田さんの奥さんです。
それがやっぱり、山田さんと同じような走りで僕を追い抜いていったんです。
右膝を打ちつけてしまい、立ち上がるのに時間がかかりましたが、
その間に2人に追い越されました。2人ともジョギングの恰好で、
若い高校生くらいの女の子と、50年配の男性です。2人とも短距離のスピードでした。
前に行った山田さん夫婦とはもう100m近く離れてました。

「何だこの人たち」って思いました。
「まさか、隕石が落ちたところを見にいくつもりなんだろうか」って。
でもね、西の山地の陰ってことは、数十km離れた場所なんですよ。そんなの不可能です。
ダダダッという足音が背後から聞こえて振り向くと、
30代くらいのOLらしい人が走ってきました。
この人とも何度かあいさつを交わしたことがあります。
それが目を剥いて歯を食いしばった表情で、全力疾走してきたんです。
「ああ、ちょっと」声をかけたんですが、あっという間に追い抜かれてしまいました。
でね、後ろからはまだまだ走ってくる人がいたんです。
・・・全部ジョギングの人たちでした。そこのコースの外は歩道になっていて、
早い出勤の人もちらほら通るんですが、そういう人は走ってはいなかったです。

あっけにとられたように、全力疾走していくアマチュアランナーを見てました。
そのときです。自分にも変化が起きたんですよ。
なぜだか「西の方角に急いでいかなくちゃいけない」
って気になったんです。うーん、言葉で説明するのが難しいです。
頭の中で、知らない誰かに命令された・・・とでも言うしかないですね。
膝が痛かったんですが、僕も全力で走り出してしまいました。
手の振りなんかもジョギングとはぜんぜん違う形になって。
それでね、僕はまだ20代ですから全力疾走もできますけど、
せいぜいもって100mですよ。それがいくら走っても疲れを感じなかったんです。
むしろ走れば走るほど気持ちがよくなってきて・・・膝の痛みも感じなくなりました。
ランナーズハイ? でもそれって、急に全力疾走してなるもんじゃ・・・
野球場の端まで来てコースを外れました。

そこは川があって橋がかかってるんですが、道路を横切って土手に上がりました。
そっちは西の方角で、どうでも行かなくちゃならないって気がしたんです。
前には点々とランナーの姿が見えましたよ。
さっきからぜんぜんスピードが落ちてなかったです。
それを見て、負けられない、追い越さなくちゃと思いました。
でね、走ってると土手に続く横道から合流してくる人が何人もいました。
みなジョギングウエアの人たちです。
僕らのとこは雪は降らないんです。でも土手は濡れて滑りやすくて、
吐く息が煙のように真っ白で。そこを5km以上は走ったと思います。
やがて下の河原の200mほど先、そこはバーベキューしたりする芝生になってるんですが、
白い大型車が停まってるのが見えてきました。

あれがゴールだと直感的にわかったんです。
もう車の前には何人もランナーが集まってました。
200mほどを、おそらく30秒かからず駆けて、
車のところにきたときは、20人ほどのランナーが2列になって並んでました。
で、僕も止まって、その列の最後尾についたんです。
僕の後から来たのは、顔を見たことがない4人だけでした。
不思議なことに、あれだけ走ったのにぜんぜん息がきれなかったです。
それどころか、心臓のドキドキもない。まあこれは、後になって考えたことですけどもね。
そのときは、「前に20人もいるじゃないか、間に合うのかな」と思ってました。
これも変でしょ。間に合うって、何に間に合うのかもわかってないんですから。
白い車は、献血車のような雰囲気でしたけど、
何かのマークがついてたりとか、そういうことはありませんでしたね。

車の後部のドアが観音開きに開いて、中から白衣にマスクをつけた人が出てきました。
その人は列の先頭に立って、「みなさんご苦労さんでした。ご協力に感謝します」
こう言ったんですが、外国人の日本語みたいに聞こえました。
アクセントが変という意味です。で、前に並んだ人から順に、
こめかみのあたりを白手袋でさわったんですよ。そのときに手と頭の間でバチバチっと、
火花が散ったように思いました。あの隕石のときと同じ緑色の火花。
すると、その人は草の上にしゃがみ込むんです。いや、倒れるんじゃなくしゃがむだけ。
みな、なんともいえないうっとりした表情をしてましたよ。
でね、その医者のような人が僕の2列前まできたとき、
「あ、ここまででジュウテンは十分ですね。残りのみなさんもお疲れ様でした」
こう言って、やはり同じようにこめかみをさわっていきました。

僕もさわられたときにはしゃがんでしまいました。スゴく気持ちよかったんですよ。
でね、どれくらい時間がたったのか・・・気がついて立ち上がると、白い車はなく、
人数は半分くらいに減っていました。僕もそのままアパートに帰ったんです。
これも変でしょ。普通なら自分の身に何が起こったのか、
まわりの人と話して確かめようとしますよね。
ところがそんな人はいなかったんですよ。・・・催眠術とかなんでしょうか。
アパートに帰ったあたりでは、ほぼ正気に戻ってたと思います。
テレビをつけてみたんですが、隕石のニュースはやってませんでした。
ネットでも何もなし。あれだけ、派手に光ったのにありえないですよね。
それと、僕のランニングウオッチですが、5時32分のあたりで止まってたんです。

今もって治らないです。シャワーを浴びてたら吐き気がしてきて、
連絡して役所を休んでしまいました。昨日は1日中寝てまして、
もう気分はよくなりました。それで今日の朝もジョギングには出たんです。
山田さん夫妻、それからOLの人、
・・・昨日僕を追い越していった人たちの姿は見ませんでした。
もしかしたら僕と同じように体調を壊したのかもしれません。
役所に行って、隕石と緑の光の話をしましたよ。
「はあ? お前何を言ってんだ」みたいな反応をされましたよ。
本当に知らない様子でした。だからねえ、もしかしたらあの出来事全体が、
僕の見た夢なのかなあとも思えてきたところなんです。だってあまりに異常だし、
もしかしたら転んだときに頭を打って、そのまま部屋に帰っただけなのかも・・・





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