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駅の呪い

2015.02.06 (Fri)
先月の話ですね。その日は残業したんですが、なかなかキリのいいとこで片づかす、
帰りが終電になってしまいました。ホームの人影はパラパラでしたね。
家には「遅くなるからメシいらない」の連絡はしてましたよ。
疲れていたので、ベンチに座って目を閉じてました。
しばらくしたら、ズボンの裾に何かがあたる感触がしました。
そうですね。ネコくらいの大きさの動物がじゃれついているような。
のぞき込んでみたんですが、何もいませんでした。
そのときは風が通ったとかを勘違いしたと思ったんです。
ホームに電車が入るというアナウンスがあって、
起ち上がり白線のほうへ出て行きましたが、
そのとき、後ろから何か小さく素早いものに横を追い越されました。

黒いネコくらいの影です。明るかったんですが細部はよく見えませんでした。
「えっ、さっきのはやっぱり」と思いました。
その影は、ちょうど滑り込んできた電車の前の線路に飛び出し・・・
てっきり轢かれたと思ったんですが、その後どうなったのか。
電車が急停車するとか、アナウンスも何もなし。
そのまますぐに出発したので、下に潜り込むとかして難を逃れたのだろう、と思いました。
翌朝その駅で降りたときに、前夜のことを思い出したんですが、
特別に変わった様子はなかったんですよ。
でね、1週間ほどは何もなし。その後、飲み会で遅くなった日があったんです。
やはり終電でね、酔ってましたから、
この日だけのことだったら幻覚と思ったかもしれないですが。

今まさに電車がというとき、前と同じようにベンチの下から黒い影が飛び出したんです。
ええ、同じベンチだったはずです。
それは電車の全面のガラスの前に勢いよく飛び出して・・・
そう言えば前のときよりも細部はよく見えた気がします。
全体としては黒い煙のような固まりなんですが、4本の足があって、
それをせわしなく動かしていたのが。
「ああ、これは完全に轢かれた」と見えたんですが、
このときも電車の出発が遅れるとか、片づけをするとか、そういう放送はなかったんです。
「今度も無事に逃げたか、運のいいやつだ」その生き物になんとなく親近感を持ったんです。
駅に生き物がいるという話はあまり聞いたことがないですが、
そのあたりに住み着いているんだろうと。

もしかしたらネコではなく、タヌキの類なのかもしれないなと考えました。
この頃は、都会の住宅街にもタヌキが出没するなんて話もあるじゃないですか。
仕事が定時で終われば、だいたい6時前の電車に乗るんですが、
そのときには見たことがないので、夜行性の生き物なのかと。
それで、一週間前のことです。このときは終電の2本くらい前の電車でした。
前に出ようとしたとき、私の股間を生き物がすり抜けていったんです。
今回はずいぶんはっきりと見えました。
上から見おろした背中は黒いぼさぼさした毛が両側に広がってって、
大きさをのぞけばネコには似ていなかったんです。
それは電車の真ん前に飛び込み、今度こそ大きく飛ばされて宙を舞いました。
「あっ、やっちまった」それは円を描くように跳ね返って、私の足元に落ちたんです。

思わず後じさりしました。背中から落ちたそれは私に黒い腹を見せていましたが、
そこにゲジゲジって知ってますでしょう。
あれとそっくりな足が何十本も生えて、モゾモゾ動いてたんです。
ええ、動物の4本足の他にです。血が出たりしている様子はなかったです。
「うわ、なんだこいつ」そう思ったときに、頭の中に声が響いたんです。
「呪い、お前に対する呪い」って・・・
それはじわっとホームの床ににじむようにして消えました。
あたりを見回しました。終電ではないのでそこそこ人がいましたが、
誰もこちらを見ている人はいませんでした。
おそらく私にしか見えなかったんじゃないかと思います。
疲れが溜まっていて、幻覚を見たんだと思いました。

ええ、医者にも行きましたよ。かかりつけの家庭医に。
見たことを大雑把に話したんですが、そこの検査では特に異常はなし。
「心配でしたら、大病院に紹介状を書いて精密検査をしてもらいましょうか」
こうも言われたんですが、断りました。
明るい時間帯に考えると、なんだか馬鹿らしくなってくるんです。
だってねえ、ネコかタヌキに昆虫のような足が生えた生き物なんて。
それと「呪い」って言葉ですが、私には人に恨まれるような心あたりは・・・
まあ、もう一度見てしまったら、精密検査も考えようと思いました。
それで、昨日のことです。なるべく遅くなるのは避けてましたが、
終電一つ前になってしまったんです。いつものベンチ・・・の下はよく確認しました。
寒々とした空間があるだけで、何もいなかったですよ。

それが、電車が来たときに、また走り出てきたものがありました。
子ども、人間の子ども、私の2歳になる下の娘でした。いつものパジャマを着て、
上を向いた状態で手も足も私のほうに伸ばし、顔は笑ってました。
その姿のまま床から少し浮いた状態で、シャカシャカと線路のほうへ向かっていく。
背中の下から何本か横に広がった触手が見えました。あのゲジの足が生えてるんだと・・・
そして娘は、電車の角にあたって跳ね飛ばされ、私の足元に落ちてきたんです。
娘は相変わらず笑ったまま、その場に円を描くように這い回り、
じわじわと薄くなって消えたんですよ。
「呪いだよ、呪い、全部お前のせいだ」こういう声が響きました。
・・・いや、聞いたことがないというか、マイクを通したようにくぐもってて、
誰の声とは判別できませんでした。

その場ですぐ、家に連絡をしましたよ。
妻が出ましたが、娘たちは2人ともよく眠っているということでした。
これはやはり私の幻覚なんだろうか・・・自分自身に自信が持てなくなりました。
その電車をやり過ごして、もう一度それが出てくるベンチを確認したんです。
どこにでもある金属とプラスチックのやつですが、固定されていて動かせませんでした。
電車が出たばかりで人がいなかったのを幸いに、膝をついて下からのぞき込んでみたんです。
そしたら、さっき見たときはわからなかたんですが、
赤い折り紙くらいのを4つ折りにした紙が底にひっついていたんです。
引っぱると少し抵抗があってとれてきました、糊でつけていたようです。
それを開くと・・・中に干からびたゲジと、黒い毛の束が入ってました。
字は一切書かれていません。ほら、これです。

* グロ画像注意









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